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第3話 不幸せな大人たち(3)

令和! 令和になりました。せっかくなので0時投稿。


改元おめでとう!

昭和生まれの私としては、3つ目の時代です。

平和で幸せな時代になってほしい(切実)

でなけれりゃ、電子移行ですね。

本日、7時にももう一度投稿いたします。

「発信先の探知は出来るか?」

「はい、5秒ください……はい、出ました」

「どこだ!」


「第十七区画……西A4、商業ビルの7階!」

「どこが入っている?」

「待って下さい……解りました。財団法人 大規模植物工場研究機構……LPOです」

「居残り組の筆頭か」

「はい!」


 AM2C系の組織において、移行を行わずに地球上に残留を表明している団体は多数ある。そのうち、原理主義的な思想を持たず、現実的な対応として準備を勧めている組織は、通称「居残り組」と呼ばれ、なかでもLPOは国内最大級の組織である。


 そもそもは、第一次産業崩壊後の農産物供給維持を目的とした組織であったが、最終的には、移行しない者達への食料配給を意図しており、具体的な準備にも入っている。そして、その維持管理、受給調整という点で、極端な人口減少を伴う電子移行については緩やかに反対するという立場を表明していた。


 だが、設立当時に想定していた移行速度が大幅に加速された事で、大きく事情が変わってしまった。


 すでに受給調整では追いつかないレベルまで人口は減少する事が確定してしまった。人口の減少に合わせて、工場を維持管理していく立場にあるエンジニアの数も激減していた。首都圏ではまだしも、地方都市部では、何か問題が発生した場合に、即時にかけつけてくれるエンジニアの確保に苦しんでいるのが実情だ。


 そして、この傾向に歯止めがかかる事は無い。


 これは、技術者への複数回のアンケートを行い、対象者のほとんどが早期の移行を希望している事から、既定路線となってしまっている。よって、残される立場にあるLPOは、過度の電子移行圧力に対抗すべく、ロビー活動を繰り返しており、近年は、ややその言動が過激化してきている傾向があった。


 そして、その過激な言動が求心力となり、すでに一部の過激派は接触を始めている――


 というのが、情報部の見立てであった。


「教授の電話の内容は……スクランブルの解除にどのくらいかかる? そうか……」


 隊長は部下の報告を聞くと、警備部長の所へ向かった。


「部長。確定ではありませんが、タカガミさんへメッセージを送ったのはLPOの可能性があります」

「どこからの情報だ?」

「先ほど、教授の電話の通話先からの推測です」


 その言葉に部長は少し思案する。


「とりあえず、教授の言動、動きからすると、教授は限りなく白に近いグレーだと思われます」


 だが、隊長の言葉に後押しされたのか、


「やはりそうか……教授は穏健派のリーダとして、兄弟でもある総長との間でホットラインを持っているため、過激な行動は無いとみていたんだ。室長の進言がなければ、監視態勢を取る必要もなかっただろう。それが隠れ蓑になっていたんだな」


 という結論をだした。


「通話の内容までは把握したか?」

「いえレベル4の暗号化処置がされていて、音声ですので最低でも解析には2ヶ月」


 それを聞いて、部長は少し考え込む。


(LPOが何か準備をしているのは情報部からも聞いている。近々、大きな事をやりそうだという範囲だが、その糸口がみつからないという事らしい)


「わかった、保安局長と話をしてみる」

「お願いします。警備部はすぐ動けるように準備しておきます」

「警備部だけでは足りない。執行部を動かせるよう、局長に上げる。お前は現場レベルでネゴを始めてくれ」

「了解です」


 保安局には3つの部門がある。

 監視を含む、保安全般を主導する警備部。諜報活動を含めた情報収集を行う情報部。そして、打撃力のある実戦組織となる執行部。執行部は重火器を含め、守備だけでなくテロ組織に対する攻撃力を保持している。国内法への配慮もあり、敷地外へ執行部が出動したのは過去二度だけ、その際も実際の戦闘は発生していない。このため、執行部は訓練時間を除いては、暇なことも多く、他の部門の人材不足を補うヘルプとして活躍している。


「何かムズムズしやがる。こりゃ、大変な事になるかもしれない……」


 武力をもっている組織とはいえ、民間組織だ。上からの命令だけではスムーズな連携は取れない。こういう時こそ、横の繋がりが活きてくるのだ。


 隊長は、執行部に同期がいる事はありがたい。そう考えながら、一般開放エリア(PA)にある警備員の詰め所に顔をだす。そこには白髪の警備員が待機している。


「出番になりそうだ」

「そう……か……」


 白髪の男は、そう返事をすると、あっさりと上着を脱ぎ、奥の更衣室へ消えていった。

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