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アルバロと

 ルロスに言われた通り、日を開けた数日後に今度はアルバロにも散歩という口実の逢引に誘うと、凄く喜んで了承してくれる。 それでもって待ち合わせの場所は王都の中央広場に決まった。



「ねぇルロス、なんでアルバロはあんなに喜んだのかな?」


「それはデート……逢引のお誘いがあったからでしょう」


 ま、まぁ、アルバロには以前にもハッキリ好きだって言われてたもんね。




 そしてアルバロとの散歩……もういいや、逢引の当日になって、私はフードを被って身分を隠しながら中央広場に向かうと、アルバロが既に待っていた。



「おはようございます、ララさん」


 アルバロは公式の場なんか以外では私の事をこう呼んでる。



「おはよう、アルバロ」




 挨拶も終わると行きましょうかって、なんだか慣れた感じでアルバロがエスコートして歩き出した。



「どうかしました?」


「なんかアルバロってこういうの慣れてるみたいだったから驚いてる」


 頬を掻きながら、何度か経験がある事を話してくる。 ただそれはどれも転生前の話で、転生してからは無いって言い張ってた。



「少し早いですけど、あのお店に入りましょう」


 そう言って一軒のお店に入っていく。 なんでも老舗の人気のお店らしくて、1号店はヴォルフの町にあるんだとか。


 アルバロが注文を済ませて待っていると、お茶とフルーツの盛り合わせが運ばれてくる。



「わぁ、美味しそう」


 私がフルーツを口に入れるのをアルバロがジーっと眺めていて、思わず恥ずかしくなっちゃう。



「美味しそうに食べるララさんは可愛いです」


 なんて事を急に言いだすものだから、嫌でも顔が赤くなっちゃう。



「そ、そういえば、アルバロって転生前ってどんなだったの?」


 実はコレ、ルロスのアイデアで、困ったらこれで切り抜けると良いですって教わっていた方法なんだけど、照れ隠しに思わず口にしちゃった。



「僕の前世ですか?」


 楽しいかわかりませんがって言って、話してくれる。


 平凡な家庭に生まれて特にこれといった趣味らしい趣味も持たなかった普通の少年時代を送って、大学に通う日々を送っていたんだそう。

 同性異性にかかわらずたくさんの友人知人はいたらしいけど、特定の人、つまり恋人になると、どの人も長く続かないまま別れちゃうんだって。



「別れる時はいつも同じ事を言われるんですよ。 僕は優しすぎるって」


「優しすぎるから別れちゃうなんて意味がわからないなぁ」


 アルバロは苦笑いを浮かべながら、僕は八方美人なんだって言ってくる。 だから友達はたくさんできるんだけど、特定の人が出来てもそれは変わらない。 特別扱いしてくれないアルバロに嫌気がさすらしいの。



「でもみんな大切な友達だから蔑ろにはできないんです……それは転生した今も変えたいとは思わない」


 確かに今のアルバロも誰に対しても優しい。 私の事を好きだってハッキリ言うけれど、ルロスとも親しく話すし、クローロテースとも仲良かった。 もちろんフィンともジークフリートとも仲が良い。



「キュモヲタは別なの?」


「彼は…………正直なところ、ちょっと妬いてます」


 理由は毎回私にあれだけの事をしているのに、いつも許されているからなのだそう。

 そう言われてみればそうかもしれない。



「あ、あれは別に深い意味はないよ」


 わかってますってアルバロは笑いながら答えてくる。





 うわ、会話が途切れちゃった……



「他に何か僕の事で知りたい事はありませんか?」


 気を利かせてくれて、なんでも聞いてくださいって話題を振ってくれる。



「じゃあ、アルバロは私のどこが好きになったの?」


「ず、ずいぶんストレートに聞いてくるんですね」


 照れながらアルバロは、初めて出会った頃の事を話し出す。 どこの誰ともわからない自分を信じてくれて助けてくれたことが忘れられないんだそう。

 その時は良い子だなってぐらいだったそうなんだけど、神殿で生きる自信がなくなったアルバロに友達になろうって言われて、護衛をしながら見ていくうちに好きになっていったんだって。



「……そろそろお店でましょうか」


 急にどうしたんだろうって思ったら、席が空くのを待っている周りの人たちの視線が集まっていた。 と言うのも私もアルバロも既にお茶もフルーツも空っぽになっていたし、気がついたら相当長居してたみたい。



「そ、そうだね」





 外に出て顔を見合わせて笑いあう。



「待ってる人たちに悪いことしちゃったね」


「気づいたら視線が痛かったですよ」


 なんて歩きながら話をして、その後は王都を適当にぶらついて日も落ち始めたから王宮に戻ることになった。


 王都から少し離れたところで、アルバロが手を引いてくる。



「ん、なに?」


「これからもずっと一緒に居たい、僕はララさんの事、好きです」


「……それは国王になるって言う事だよ」


 思わず私は余計な一言を聞き返してしまう。



「そうですよね……いえ、ララさんの側にいられればそれだけで十分です」


 意外な事にアルバロの答えは弱々しかった。



 なんだか最後の告白で気まずくなっちゃって、王宮まで会話もしないで戻っていった。

 こうしてアルバロとの逢引も終わった。



 バカだな私……




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