マルボロ侵略
何かが近づいてくる気配を感じた私が顔を向けた時は既に遅くて、火蜥蜴が蹴飛ばされて助けようとした私は捕まえられて、首に刃物のような何かを押し当ててきたんだ。
「大人しくしろよ? 動くと怪我するぞ!
いいぜ! お前ら入ってこい!」
私を掴んだ人が叫ぶと、後からたくさん王宮のお庭に入ってきて、反対に私の正面からは兵士を引き連れた父様が来たの。
「ララ!!」
「父様ー!」
「おおっと感動的な再会だが、大事な娘が傷つけられたくなかったら、おとなしく武器を捨てて手は頭の上、で、地面に膝をつきな!」
どうするか一瞬悩んだ父様が、ゆっくりと剣を地面に投げて頭の上に手を上げて膝をついたの。
それを見た兵士達も父様にならって武器を手放して膝を落としたよ。 私のせいだね、私が捕まっちゃったからいけないんだ。
「ハハッ! マルボロの王が聞いて呆れるぜ!
おい、お前ら! サッサとあいつらを縛っちまえ」
おぉっと声をあげて父様たちの方に向かって行ったの。
「父様ー!」
次々と兵士達が縛られていって父様も縛られて身動きが取れなくなったところで、私を押さえつけている人が私の耳元で囁くように話しかけてきたんだ。
「悪りぃなぁお姫様よ。 今日からここは、俺ん家だ」
「なんで? どうしてこんな事をするの?」
「んなこたぁ決まってる……楽しいからだよ!
でもまぁ安心しな、お前の親父は殺さないで牢屋にでもぶち込んでおくからよ」
「……あ」
「んだぁ?」
そのとき私の頭にグリフィンが空から舞い戻っている光景が見えたと思ったら、バサァって羽音がして私を押さえつけている人が悲鳴をあげて私の事を放したんだ。
振り返るとそこにはグリフィンがいて、私の事を捕まえていた人を突いたり引っ掻いていたの。
ピッピ!
『乗って!』そんな声が聞こえた気がしたんだ。
意を決してグリフィンに飛び乗ってしがみつくとすごい勢いで地面を走り出して、地面に転がっていた火蜥蜴をくちばしで咥えたあと、ブァサァァって大空に舞い上がったの!
「お願いグリフィン! 父様たちを助けて!」
ピーーッ!
グリフィンがそう鳴いて父様の方へ行こうとした時、悪い人達のうちの1人が弓を構えていたんだ。
矢を放とうとしたとき、父様が弓を構えている人に体当たりをしてくれて見当違いの方へ矢は飛んでいったよ。
「ララ! 父様はいいから逃げろ!」
「でも、だって!」
「いいから早く!」
“ララっち今は逃げようぜ”
「……うん、わかったよ。
父様ー! 必ず助けに行くからね!」
直後グリフィンがものすごい速さで空高く舞い上がって、私はその場から離れていったんだ。
そのころお城の中ではログェヘプレーベが騒ぎを聞きつけて、いち早く母様を連れて脱出を試みようとしていたの。
「ベネトナシュ王妃様、早くこちらへ!」
「待って、ヴォーグ様を助けないと……」
「それは王妃様が逃げやがった後で私が行きやがります。
だから今は逃げやがってください!」
母様とログェヘプレーベは秘密の通路に入り込んで、しっかりわからないように閉めてから暗くて長い通路を進んで行ったんだ。
「この先は外になりやがりますが、魔物が出てもせいぜい野生動物か昆虫の類でやがりましょう」
「……あなた、……ララ、ごめんなさい。 お祖母様、サハラさん……ララを、ヴォーグ様を助けて」
そしてあとに残された父様のところでは、私を捕まえていたリーダー格っぽい人が次々指示を出していたんだ。
「餓鬼1人逃げたところで問題ねぇ、逃げた餓鬼なんざほっといて、サッサと王妃を捕まえろ! 王宮の入り口を押さえておけ!
王を抑えたとなれば、外の軍も大人しくなるだろうから、仲間を引き入れる準備だ! それから牢屋にいる仲間もちゃんと出しておけよ!」
それぞれがリーダー格っぽい人の指示に従って行動に移っていったんだ。
「おい、随分とふざけた真似をしてくれたじゃねーか!」
「ッハ! 我が子を必死に守ろうとしない親がどこの世にいるっていうんだ!」
「まぁいい、どうせ小娘1人じゃ何もできねぇし、誰も助けちゃくれねぇよ」
グリフィンの背に乗って空高く飛んでいる私は、父様をどうやって助けるか考えて、秘密の通路の事を思い出したんだ。
「ねぇグリフィン、私達が初めて会った場所覚えてる?」
ピピピピピピッ
「うん、じゃあそこに行って」
“おいおいララっち、俺っちらだけで行ったところでどうにかなるもんじゃないぞ”
「大丈夫! なんとかなるよ。
それに急がないと母様も危ないよ」
“ララっちのその自信はどこからでてくんだか知りたくなるよ”
グリフィンに咥えられたままの火蜥蜴が何か言ってたみたいだけど、今やれる事をしなかったらきっと後悔しちゃうよね!
「待っててね、母様、父様」




