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事の顛末

ブックマークありがとうございます。

 落ち込むフィンとアルバロを宥めながら待つ私たちの元へサーラたちが戻って来たのは、やっとフィンとアルバロが多少元気を取り戻した頃で、サーラたちの無傷の姿を見るとまた落ち込み出しちゃった。


 退けとばかりに赤帝竜(ルースミア)が長椅子ににじり座って、フィンとアルバロを奥へと押し込むとサーラを隣に座らせようと満面の笑みで手をパタパタ振りだしたわ。


 ぎゅうぎゅうになりながら椅子に全員が座ったのを確認するとサーラが報告をし始めるの。



「聞きたいことや言いたいことはあると思いますが、まずは私の話を全て聞いてからにしてください」


 前振りをしてから、先ほどの蜘蛛の話から言える限りの情報を私たちに話してきたわ。



「ちょっと待って、それじゃあサーラたちはもしドラウが攻めてきても助けてはくれないの!?」


「そうなりますね。 ただし代行者のアリエルは含まれないので安心してください」


 種族間の戦いに神が加わることは許されないらしくて、代行者のアリエルだけが戦力として加われる状態らしいの。

 間接的な相談なんかであれば問題ないって言ってはくれたけれど……



「私はどうなるのでしょう? もし父と同じようになるのであれば迷惑をかけると思うので、できれば苦しまずに死なせていただきたいと思うのですが」


 父親が目の前であんな死に方をしたというのにルロスは落ち着いていて、私たちに迷惑がかかるなんて事を訴えてきたの。



「そんな!」


「ララ、黙って。 ルロス、貴女は大丈夫です。 あれは男のドラウにだけ行う忠誠心の証です。 女のドラウには子を育む阻害にならないようにしないようです」


 この知識はサーラの持つ知識かららしいから、この世界でも同じなのかはわからないけれど、ルロスを安心させるためも兼ねて言ったみたい。


 安心したのか胸を撫で下ろして、それであればこの後はどうしたらいいか聞いてくるの。



「貴女は『転生者』なのだから創造神の執行者たる私の観察下に置かれます。

目の届くところにいていただけるのであれば自由に生きてもらって構いませんが、この世界にないものを創造する事は禁じます。 もしこれが守られなければ……」


 そこでサーラが話すのをやめてお店の入り口を見つめると、そこにはジークフリートの姿があったわ。





 ジークフリートもこちらに気がついて席に来るのだけど、既に席はいっぱいいっぱいで座れそうになかったの。



「それでは私は報告もあるので戻ります。 サハ……サーラさんに後で伺いますね」


 町に入ってからフードを深く被っていた【魔法の神エラウェラリエル】が席を立ってお店を出て行こうとするとジークフリートが止めてきたわ。



「席を空けるために理由をつけていただかなくても構いません。 私は後から来たのですから後ろで立たせていただければ構いませんので」


 うーん……やっぱりジークフリートって紳士だよねぇ。


 迷った様子は見せたのだけど、サーラが頷くと素直に席に戻ってきたまではいいのだけれど、ジークフリートがいる事で今までの話をするわけにも行かないで言葉が詰まっていると、



「失礼ですが、私がいない間に随分と知らない方が増えたようですね。 是非紹介していただけると嬉しいのですが」


 気を利かせてくれたつもりなのだろうけど、その質問も実は答えにくくて、まさか代行者と神と竜とドラウだなんて言えるわけがないわ。



「ジークフリート・ヘイへ、貴方の忠誠はララノアにあると誓えますか?」


 返答に困る私に代わってサーラが訪ねてくれるのだけど、付き人がプリンセスである私を呼び捨てた事に疑いの眼差しを見せてくるの。



「お願いジークフリート、質問に答えて」


 これ以上ゴタゴタさせたくない思いで、私からもそう聞いてみるとジークフリートは私に向かって片膝をついて頭を下げてきたわ。



「私の忠誠はこの国にあり、現国王ヴォーグ様に捧げております」


 うわっ! さらっと言ったけど、これって私に忠誠は無いって言い切ったも同然よね?


「プリンセス ララノアには忠誠ではなく、我が命を捧げ守りたいと願うお方です」


 はぅ! は、は、恥ずかしい……


 顔が真っ赤になるのが自分でもわかるほどの愛を口に出してジークフリートが言ってきて、改めてこの人が平気で愛を吐く人だと思い出させられたわ。



「ララノア、モテるよね〜」


 茶化すようにクローロテースが言うのだけど、これってはっきりとクローロテースがフラれちゃったようなものでもあるのよね。


 気になってフィンとアルバロを覗き見ると、2人はまだ落ち込んだままのようだったわ。



「わかりました。 愛を育むのは勝手にしていただいて構いませんが、今は優先すべき事があるので後にしてもらいます。

ここでこれ以上は話せませんので一度王宮に戻りましょう」



 お店を出る頃にはもう日も落ち始めているにもかかわらず、サーラは町の外へと向かっていって、人気が無くなったところで【魔法の神エラウェラリエル】に頷くの。


 詠唱を唱え始めて青白い光が現れて、魔導門(ゲート)赤帝竜(ルースミア)、アリエル、それとブリーズお姉様がさっさとくぐり抜けて行って、サーラに言われるがままにフィンとアルバロ、クローロテースの順に入っていって、ルロスも後に続いたわ。



「これはまさか魔導門(ゲート)ですか!? 失われた魔法で使える者はごく僅かと言われていたはずですが……貴女はたちは一体何者ですか!」


 残されたサーラと【魔法の神エラウェラリエル】の顔をジークフリートは順に見てきて、最後に説明を要求するかのように私の顔を見てくるわ。



「その話を含めて王宮で話します。 だから今は黙って付いてきてもらえないかな?」


「……わかりました、プリンセスがそういうのであれば従います」


 ジークフリートが振り返って魔導門(ゲート)を抜けて姿が消えると、サーラは懐かしむような顔を見せていて、



「立派な騎士だな……なんだか懐かしく感じる」


「懐かしい? サーラはジークフリートとは知り合いじゃなかったわよね?」


 独り言が声に出ていたのを私が指摘しちゃったから、サーラはその場を逃げるように魔導門(ゲート)を抜けていっちゃったわ。



「サハラさんはたぶん……彼の中に昔の仲間を思い出しただけですよ」


「昔の仲間?」


「ええ、人類史上最強と呼ばれた方です」


 【魔法の神エラウェラリエル】が言った人類史上最強と呼ばれた人の事は誰もが知っている昔話で、名前はセッターっていうの。 今のセブンスター騎士団の礎を築いた人で、星剣七つ星の剣を手に右に出る者がいないと言われた英雄中の英雄の物語。


 サーラがその英雄の仲間だったなんて!



「皆さんが知っている物語は、セブンスター騎士団が結成されてからの物語で、サハラさんはそれ以前の時の仲間でした。 いいえ、師匠(マスター)だった、ですね」


 嘘!? サーラがあの伝説の英雄のお師匠様だったの!


 驚く私に【魔法の神エラウェラリエル】が魔導門(ゲート)の時間がそろそろ終わるから入るように言われて、慌てて飛び込んだの。



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