ドラウ騒動
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ヴィロームの領主夫婦と夕食を終えた私たちは例によって私に用意された寝室に集まって相談が始まるわ。
「残すはこれでヴァリュームだけね」
「ヴァリュームへはフィンとアルバロ、ジークフリートとクローロテースだけで向かいなさい」
「え? サーラとブリーズお姉様は来ないの?」
なんだか2人とも気まずそうな顔をしながら用事があるからって断ってくるの。
その用事というのがドラウの調査と言われてしまうと言い返す言葉もなくなってしまうわ。
「というわけなので、城塞都市ヴァリュームへは5人で行ってきなさい」
「失礼、付き人がプリンセスに付き従わず、指図までするというのはおかしいと思うのですが」
サーラと私の事情を知らないジークフリートが、付き人が私から離れて行動する事に疑問を感じたようだわ。
「いいのいジークフリート、サーラの付き人というのは表向きのようなものだから」
「そうだったのですか、知らずとはいえ失礼しました」
それ以上突っ込んで聞いてはこなかったけど、おそらく付き人でなければなんなのか気にしているように見えるわ。
「まぁヴァリュームまでは3日の道程だけど、道中は比較的安全ですから大丈夫だと思いますよ。
それにヴァリュームには妖竜宿と言われる宿屋があって、そこには……珍しい食事もあるんです」
そこには、で一度口籠ったアルバロにフィンが気がつくわ。
「なんで今口籠ったんだ?」
「い、いやぁ……ああ、そうだ。 妖竜宿の女主人はとんでもなく美人ですよ」
誤魔化そうとするアルバロにサーラが助け舟を出すように、妖竜宿で食べられるクレープは美味しいって教えてくれるわ。
そんな話をしていたら屋敷が慌ただしくなって、私たちがいる部屋がノックされてヴィロームの領主が慌てた様子で駆け込んできたわ。
「大変です! ドラウが現れたそうです!」
詳しく話を聞くと、町の近くの湿原で漁をしていた漁師が襲われたらしいわ。
「その漁師はどうなったの!?」
「生きています。 というより、怪我もしていません」
それって襲われたっていうのかしら?
私の疑問をクローロテースも同じ事を思ったようで領主に尋ねるのだけど……
「漁師はドラウを見て怯えていると、荷物を奪って去って行ったそうです」
「しゅ、襲撃なの? それ……奪われた荷物というのはなに?」
「漁師が所持していた携帯食だそうです」
「ほ、他には?」
「何も……」
部屋に静寂が訪れて、しばらく口を開くものがいなかったわ。
その静寂を破ったのはジークフリートだったわ。
「それはその漁師の見間違いで、ただ腹を空かせたこそ泥か何かと見間違えた、ということはないですか?」
「本当にドラウであればその漁師は死んでいておかしくないですね」
付け加えるようにサーラが言って、困惑しているようだわ。
「やはり……付き人のサーラの言う通り、ここは調査と別れるべきですね」
この携帯食強奪事件によって、ジークフリートもサーラの考えに同意することになったわ。
ヴィローム領主も兵士を動員して今回の事件の調査を進めていくのと同時に、アルバロのアイデアである避難場所の設置を進めるって言って部屋を後にしたわ。
領主が出て行って間もなく、アルバロが何かを思い出したみたい。
「サーラさんは代行者様と仲が良いようなんで聞きたいんですけど……」
先ほど妖竜宿の話をして思い出したらしく、アリエルは普段どこかで働いていないかっておかしな事を言い出したわ。
理由はどうやら妖竜宿でそっくりな人を見た気がするとかいいだすの。
「世の中には似ている人が数名いるというから偶然でしょう?」
サーラがそう言うとアルバロもそうだよなぁって1人で納得していたけど、そんな話は初めて聞いたかも。
そんな中、考えている顔も素敵なジークフリートもヴィロームに残る考えを示すわ。
「プリンセスと同行出来ないのは残念ですが、私も少し調べたいと思います」
理由を尋ねると、代行者様がヴィロームに用があって来た事とドラウの件が関わりがありそうだからというもので、見つけられるようなら代行者様に確認したいっていう事らしいの。
「なので申し訳ないが、フィンとアルバロにプリンセスを任せたいと思う」
そう言って申し訳なさそうにフィンとアルバロに頭を下げてきたわ。
「決めるのは俺じゃなく姫様だろう?」
となると私に視線が集中するわけで……
「ドラウの調査も今回の目的の1つなのだし、せっかくドラウが関わってそうな事件が起こったのだから、調べるなら早い方がいいよね? 私はパパッとヴァリューム行って戻ってくるから、それまでに何か情報を掴んでおいてもらえるのは助かるわ」
そんなわけで、私はクローロテースとフィンとアルバロの4人でヴァリュームへ向かう事にして、サーラとブリーズお姉様とジークフリートはヴィロームに残って調査をする方針になったの。




