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城塞都市ヴァリューム

ブックマークありがとうございます。

 翌朝、サーラたちに見送られながら私たちはヴァリュームに向かい始めたわ。



「なんだか急に寂しくなったね」


 しばらく歩いているとクローロテースがそんな事を言い出すの。



「少しの間だけですよ、プリンセス クローロテース」


「うーん、確かに私はプリンセスだけど、私のところではみんなクローロテースとかクロちゃんって呼んでたから、アルバロもそう呼んでね」


 今更!? って思ったんだけど思えば意気消沈していたから、みんなあまり話しかけてなかったんだよね。



「クロちゃんはちょっと違うものを想像しちゃうんで、クローロテースで呼ぶようにしますね」


 そう言うとクローロテースがニッコリ笑顔を見せて、なぜかフィンの方にも顔を向けているわ。



「はいはい、クローロテース様」


「うわ、投げやりな言い方。 でもしょうがないかぁ、フィンはララノアひとすじっぽいもんねぇ」


「ちょっと待ってくださいよ! いつ自分がそんな事言いましたか!」


 悪い顔をさせながらクローロテースは女の勘よって言うと、フィンはそっぽを向いて警戒するそぶりを見せて誤魔化しているわ。



「ララノアはどうなの? こう言うのってはっきり早く決めないと……逃げて行っちゃうよぉ〜?」


「なんでそうなるのよ! っていうか今は視察とドラウの方が大事よ!」



 とまぁこんな感じで和気あいあいというかなんというかな話で盛り上がっていたんだけど、アルバロの一言で話は大きく変わったわ。



「じゃあクローロテースは誰か好きな人がいるんですか?」


 この切り返しでクローロテースが一度口をつぐんでから、顔を赤らめながらボソボソとその名前を言うの。



「ジークフリート……」


 当然、今度はクローロテースとジークフリートの話で盛り上がりを見せて、なぜかフィンとアルバロが2人をくっつかせるような流れになっていってたわ。






 3日目のそろそろ夕方ごろになると城塞都市ヴァリュームの代名詞でもある、王都よりも高く頑強な城壁がその姿を見せ始めるわ。



「すご〜い! まだこんなに離れてるのに城壁が見えるよ!」


 初めて見るフィンとクローロテースも驚きを隠せないで目を奪われていたわ。



「あれじゃあ確かにオークがどれだけ来ようがビクともしないな」


「赤帝竜対策っていうぐらいだからね。 でも噂だと赤帝竜相手だとあれでも役に立たないって話だよ」


 アルバロの説明に驚きの声を上げながら、近づけば近づくほど高くそびえ立つ城壁がさらに高く見えてきて、町の出入り口になる場所まで来ると、もはや頂上が見えないほどだったわ。


 入り口では兵士たちによる入念なチェックが行われていて、行商人や冒険者たちが並んでいて、私も並ぼうとするとフィンが呆れた顔を向けてきたわ。



「この国のお姫様なんですから列になんか並ばなくたっていいんですよ」


 そう言いながら私の手を引いて入り口に向かって連れて行かれて、アルバロは顔パス顔パスって嬉しそう。




「コラコラ! ちゃんと列に並ばないとダメだぞ!」


 そしていきなり兵士に怒られました……



「えーと、領地視察でヴァリュームに来ましたプリンセス ララノアです」


 うわっ! はぁ? みたいな顔されたわ。


 そこで移動中のまま城壁の凄さに驚いてて、すっかりつけ忘れていたティアラをポシェットから取り出して頭に乗せてみせると、兵士がん〜とでも言うようにまじまじと見つめた後、大慌てで片膝をついて頭を下げてきたわ。



「大変申し訳ありませんでした! プリンセスに対するこの非礼、死を持って償いますのでそれでお許しください!」


 言うなり兵士がダガーを抜いて首に突き刺そうとしだしたから、慌てて私がその手を掴んで止めてなんとか間に合ったわ。



「お、怒ってないから! ティアラつけ忘れた私が悪かったから! だから自害なんてしないで!」


 思いとどまってくれた兵士が感謝しようと私の方を向くと一箇所をじっと見つめていて、私もその視線の先を見ると自害を止めようとした時に少しだけ切っちゃったみたいで血が出ていたの。



「ウノォオオォォォオ! プリンセスを傷つけてしまったぁぁぁ! 斯くなる上は我が命を持ってお詫びをしなければぁぁぁ!」


 今回はフィンが兵士を止めて事なきを得たわ。


 も、もう嫌……なんなのこの人……



 それで領主の屋敷の場所を聞くと、門の方は他の人と変わって案内してくれる事になったんだけど、とっても不安だわ……



 で、案の定……


「そう言えばあなたの名前はなんて言うの?」


「ウオォォォオ! プリンセスに名乗らせておいて自分の名を名乗るのを忘れるとは! この非礼死んでお詫びをしなければ!」


 はいはい、スーサイドね……



「あれは何?」


「ぬおぉぉぉぉぉ! 案内に浮かれてガイドをしないとは! この非礼は死んでお詫びをしなければ!」


 この町を救った騎士団長ギャレットの像ねぇ。



「そうだ、妖竜宿(シェイディドラゴンイン)の場所はここから近いの?」


「うおぉぉぉぉぉ! この町最大の名所の宿を言い忘れるとは、死んで詫びる以外思いつけませぬぅ!」


 町のほぼ中心にあるんだぁ。 便利なところにあるわねぇ……




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