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スリングショット!

 1度今晩寝る部屋の方へ通されて私の部屋に集まった、私とクローロテースとブリーズお姉様の3人でジークフリートの事でキャイキャイ盛り上がり始めるわ。



「素敵! まるで物語に出てくる王子様のようだったわね」


「これは強力なライバル出現だよね」


「まこと今頃慌ててありんす様が浮かんできんすね」


 ん? あれ? 話が噛み合っていないような気がするんですけど? ライバル? 慌てる?





 そして場所はフィンとアルバロの寝泊りする部屋では……



「な、なにあの完璧超人のような人は!」


「俺だってエーリヒ様の事は知っていたけど、あんなのがいるなんて聞いてなかった、って、なんだその完璧超人ってのは?」


「あ、あぁ、そこは気にしないで」


 2人もさすがにジークフリートに見惚れていた私の顔も見られていたから、なおさら焦っているようだわ。


 サーラ? なんだか町の方に用事があるって出て行ったわ。




 身体が不自由なヴェニデ領主のエーリヒに変わってジークフリートが応対するのだけど、話を聞いてみればフィンと同い年と聞いて驚いたわ。 フィンも確かにしっかりしていると思うけど、ジークフリートは更にもっとしっかりしていてもっと年上に見えたんだもの。



「ははは、プリンセスは私がそんなに年寄りに見えましたか」


「え!? うううん、そうじゃないの、ただしっかりしてるなぁって思っただけよ」


「たぶんそれは私が父に変わって領地経営からを任されているからでしょうね」


 そんな話をしているとブリーズお姉様にこっそりと、あまり人と比べるのは良くないよって言われて、思い出したようについてきているフィンを見ると心なしか元気がなさそうに見えたわ。


 気をつけなきゃ……





 早速向かった場所は訓練場で、ヴェニデ領の兵士たちが訓練に勤しんでいて、ジークフリートと私たちの姿を見ると一斉に訓練をやめて頭を下げてきたわ。



「それじゃあ早速だけどフィン、手合わせをお願いできないだろうか?」


 フィンは挽回のチャンスとばかりに木剣を手に取って、重さなんかを見始めているわ。



「勝敗のルールはどうする?」


「そうですね……1本先取というのでいかがでしょう?」


 そう言ってジークフリートが手にした武器はフィンと同じ木剣だったわ。


 向かい合う2人に開始の合図を兵士が出すと、私も見たことがないフィンの本気で戦う姿を目にするの。



「ジークフリートさんもかなりの腕けれど、実戦経験の差でありんすね。 フィンが圧倒的に押していんす」


 うん、私から見てもフィンの方が圧倒的に有利に見えたわ。 それでその見立ては間違ってなくて、少しするとフィンがジークフリートの木剣を弾いて勝利をつかんだわ。



「フィンやったね!」


 思わず駆け寄ってフィンの手を取ると顔を赤くさせながらそっぽを向かれちゃったよ?



「姫様を守るのが自分の役目ですからね、弱かったらその役割だって果たせないですよ」


「そっか、そうよね。 頼りにしてるよフィン」


 握っていた手が少し強く握り返されて、任せてくださいって。



「完敗です。 さすがですね、これでも結構自信はあった方なのですけどね」


 そして言い訳や負け惜しみを言わないで素直にフィンの強さを称賛するジークフリートもまた素敵だわ。




 そのあと少し訓練場を見学していると、私の興味をそそる訓練をしているものがあったの。

 それは発射台から発射された目標を弓で撃ち落とすもので、アルバロがクレー射撃みたいだって言ってるわ。



「ねぇジークフリート、あれ私もやってみてもいいかな?」


 たぶん目を輝かせながらいう私に、ジークフリートがどうぞって弓を渡してくるのだけど、ポシェットから出したスリングショットを見て驚いているわ。



「プリンセス、まさかスリングショットであれをやるおつもりですか?」


「そうよ? 何か変だったかしら」


 弓でもいいんだけど、このスリングショットは姿勢もある程度自由が効いて小回りが利くから好きなのよね。



 というわけでスリングストーンを腰に下げて準備に入ると、兵士たちも訓練の手を止めて見学しに集まってきたわ。



「それでは始めさせていただきます」


 スリングストーンを1つセットして身構えると、的がパシューンと射出されるんだけど、頂部に来る前にスリングショットでスリングストーンを飛ばして落とすと周りから歓声が上がったんだけど、これは簡単すぎでしょう?


 そのあとも次々撃ち抜いて10個の的全てを落とすと拍手と歓声が上がるのだけど、私の顔が相当不満足そうに見えたのか、ジークフリートが心配して聞いてきたの。



「もっと早くできない? 退屈なんだけど……」


「ジークフリートさん、わっちが的の射出をやるのでやり方を教えてもらえんすか?」


 私の気分を察してくれたブリーズお姉様が、的の射出の仕方を教わりに行くのだけど、一緒にクローロテースも見に行ってしばらくすると、ブリーズお姉様から合図が送られてくるわ。



「ララちゃん行きんすよ〜」


 そんな声が聞こえると同時にパシュパシューンと2つ的が別々の方角に射出されて、1つの的を頂部に来る前に落として、もう1つも頂部に来るか来ないかの辺りで撃ち落としたの。



「ララノアこっちも行くよぉ〜」


 ブリーズお姉様の場所とは違う反対の位置からクローロテースが声を上げて、パシュパシュパシューンと3つ飛ばしてきて、それと同時にブリーズお姉様もパシュパシュパシューンと3つ飛ばしてきたの。


 6つの的はちょうど私の前後に飛ぶため、片方の3つを撃ち抜いていたら間に合わなくて、クローロテースの射出した的1つを撃ち抜いてスリングストーンをセットして構えると同時にブリーズお姉様の射出した的1つを撃ち抜いて……という具合にくるくる回るようにしながら撃ち抜いて行って、最後のブリーズお姉様が射出した落ちそうになっている的を横っとびに倒れこみながら何とか撃ち抜いて、全て落とさずに撃ちぬききったわ。



「やったパーフェクトよ!」


「ララちゃん、さすがでありんす」


「ララノア、カッコいい〜」


 って、周りを見ると先ほどのような歓声は上がらなくて、変わりにみんな口をポカンと開けて見ていたわ。



「す、素晴らしいです! プリンセスはスリングショットの天才でしたか」


 立ち上がってドレスローブについたホコリを叩いていると、ジークフリートがそんな事を言ってきたわ。



「うううん、別に弓でも剣でも何でも平気よ?」


 さらっと私が答えると、ここで初めてジークフリートが引きつる顔を見せたわ。



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