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将軍家の懐事情

 少し時間は戻って、ここはマクシミリアンの家よ。



「おい馬鹿猫、お前確か冒険者だったな」


「ハイですニャ」


「これだけ稼げる仕事を探して取って来るのだ。 期限は出来るだけ早くだ」


「チケット代ですニャ、見れてないのにニャア……」


 猫の女獣人は「結局自腹みたいなものニャ」ってブツブツ文句を言いながら、その指示された金額を見て驚くの。



「こんなのこの短期間になんて絶対に無理だニャ! 将軍はアホですかニャ! アホですニャ!」


「命の恩人をアホアホ言うな馬鹿猫が! それにお前1人にやらせるとは言っておらん。 フィンとアルバロにも手伝わせるから心配するな」


 そうは言っても猫の女獣人は素性を隠さないといけないらしくて、依頼を見つけても一緒には出来ないみたいで、フィンとアルバロ用の依頼と猫の女獣人自身で受けれる依頼を受けるようにしないといけないみたいなの。



「フィン様の実力はわかるけど、アルバロの実力がわからないとどの程度まで受けれるのか想定できないですニャ」


「フィンが出来る依頼に少しだけ難しいものを選べばよかろう」


「鬼だニャ、人の皮を被った鬼ニャア」


「いいからさっさと受けてこい!」


 だけど猫の女獣人はマクシミリアンに冒険者ギルドの依頼はついででもない限り、1回につき1つしか受けられないことを訴えるの。

 マクシミリアンは少し考え込むと、猫の女獣人を連れて冒険者ギルドに足を運んだわ。





 冒険者ギルドに着いたマクシミリアンは受付嬢の前まで来るとウルヴィスを呼ぶように命令口調で言ってから、冒険者が集まっているそのフロアのシートにどっかりと腰を下ろして待ち始めたわ。


 一国の将軍が冒険者ギルドに姿を見せてギルドマスターを呼び出したことで、何か起こるのかとその場に居合わせた冒険者たちがコソコソ話しているのを聞きながら待っていると、部屋の奥からウルヴィスが姿を見せたわ。



「これはマクシミリアン将軍、あなた自身がここに足を運ぶとは珍しい」


 チラッと猫の女獣人の姿も確認して、マクシミリアンに話しかけてきたわ。



「ここでは説明しにくい。 奥を使わせてもらおう」


 よほど重要なことなのだろうと思ったウルヴィスは2人を連れて、マクシミリアンと猫の女獣人をギルドマスターの私室に招くわ。



「それで? マクシミリアン将軍自ら来るということは、国の一大事ですかな?」


 マクシミリアンは咳払いを一つすると、お金が要りようになったから本来のルールを抜きに複数いっぺんに依頼を受けさせてほしいことを話すの。

 さすがにウルヴィスも腕組みをして困ったように唸ったわ。



「例外は作れない。 だが、マクシミリアン将軍自らこうして頼みに来たのを無下にもできませんな。 今回だけ特例として許可しますが、代わりに条件を出させてもらいます」


「言ってみるがいい」


 ウルヴィスの条件とはなかなか受け手のない依頼を中心にやってもらうというもので、マクシミリアンは自分がやるわけじゃないから迷うことなく了承したわ。



「この馬鹿猫と息子のフィンとそれとアルバロが引き受ける。 あとは適当にそちらで見繕ってくれればいい」


「しょ、将軍、それはあんまりだニャア」



 マクシミリアンと猫の女獣人が言い合っているところで、アルバロの名前にウルヴィスが反応を示したわ。



「アルバロは元気になったんですかい?」


「一時期かなり伏せったらしいが、王女がどんな魔法を使ったのか今はすっかり元気になったように見えるな」


 言い合っているのをやめてマクシミリアンは答えるの。

 ウルヴィスもそれを聞いてホッとしたのか顔に笑みが浮かんだわ。



「お前の知り合いなのか?」


「いえ違いますがね、冒険者っていうのは少人数で事を成すためにお互いを信頼しあう……軍で言うところの小隊ってとこですな、そんな中で自分1人だけ生き残っちまうっていうのは負い目を感じてしまうもんで、大抵の奴は冒険者をやめちまうもんです」


 ふむ、とマクシミリアンは思い当たることがあるみたいで黙り込んだわ。



「すんませんね、つまんねぇ話をしてしまいましたね。 アルバロがいるなら安心して任せられそうですわ」


「それはどういう意味かね?」



 実は……ってアルバロの事を話し出したのだけど、大勢の冒険者がいる中でも名を馳せていればギルドマスターも覚えているのはごく普通らしいのだけど、アルバロの場合はまだまだ駆け出しの冒険者。 にもかかわらず覚えられるには理由があって、若さの割に頭が非常に働くみたいでもしかしたら転生者かもしれないらしいの。 って、転生者って私はよくわからないのだけどね。



「転生者……確か英雄にして【魔法の神エラウェラリエル】の代行者のキャスも転生者で、先の戦争の首謀者も転生者だったと聞いたな」


「そうですな。 ただ当の本人がその素振りを見せないので確証はないのですが、アルバロの仲間だった連中からの報告を聞いてましてね」


「ふむ……」


 マクシミリアンは私の身を案じたようだけれど、すぐに何かを思いついたのか依頼の方へと話を戻すの。


 ウルヴィスが依頼を取ってくるために部屋を出ると猫の女獣人がマクシミリアンに思ったことを尋ねるわ。



「王様に報告はどうするニャ?」


「アルバロの事か? 別に言わん。 もし王女がフィンではなくアルバロとくっついたのならば、その時は王位から引きずり下ろす情報を得たようなものだ」


「また邪なことを考え出してるニャア……」


「何か言ったかね?」


「いい加減繰り返さないニャン、でもあまり邪なことを言ってばかりいるとさすがの僕も将軍を見限るニャよ」


 マクシミリアンが何かを言い返そうとしたところにウルヴィスが戻ったため、そこで口をつぐんでやめたわ。




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