将軍家の家庭の事情
ブックマークありがとうございます!
今回はフィンの家庭での話になります。
今日はブリーズ=アルジャントリーのコンサートに行く日よ!
開場はお昼からだから、午前中はアルナイル先生に勉強を教わってから王宮の入り口でフィンと待ち合わせになったわ。
「良いニャ、良いニャ、僕もブリーズ=アルジャントリーのコンサートに行きたかったのニャア……」
「おい、馬鹿猫! こっちへ来い」
トボトボと猫の女獣人がマクシミリアンのところまで来るけれど、よっぽど行きたかったみたいで目にはたくさんの涙を浮かべているわ。
「しっかりと2人を見張るんだぞ」
「わかってるニャア……」
「よし、ならこいつを持っていけ」
マクシミリアンが猫の女獣人に何かを手渡すのだけど、それがなんとコンサートチケットだったわ。
「しょ、将軍、こ、これはブリーズ=アルジャントリーのコンサートチケットじゃないですかニャア!!」
「うむ、それが無くてはコンサート中の2人を見張れぬであろう」
悲しい表情だった猫の女獣人が一変して、喜びの表情に変わったわ。
マクシミリアンって意外に優しいところがあるのね。
「将軍! 大好きニャ! 愛してるニャ! 一生ついていくのニャア!」
「馬鹿者! 誤解を招きかねん言動は慎まぬか! 某には妻子ある身だぞ!」
「わかっているニャン、言葉のあやニャ」
でも入手困難といわれるチケットをマクシミリアンがどうやって手に入れたのか当然不思議に思うわよね?
「うむ、罰則を破った兵士の1人が持っておってな。 罰則を免除する代わりに頂いたのだ」
「鬼だニャ……」
「何か言ったかね!?」
「何も言ってないニャン」
そこでふと猫の女獣人がここ最近罰則を受けた兵士がいない事を思い出したの。
猫の女獣人が何か言おうとしたところへ……
「あなた〜」
「む! マズい。 お前はさっさと部屋から出て行け!」
「もう間に合わないですニャン! 隠れているニャ」
マクシミリアンは何が何でも猫の女獣人を追い出したかったみたいだけど、間に合いそうになくて諦めたみたい。
そこへガチャッとドアが開いて、マクシミリアン=ミュラーの奥さん、ミュラー夫人が姿を見せたのだけど、こめかみに青筋がハッキリと浮き上がっていてどうにも様子がおかしな感じよ。
「ど、どうしたのかね?」
「最近お金使いが荒くありません? 特に昨日なんかあまりの減り具合に、私思わず殺意が湧いたほどだわ」
こめかみに青筋を浮き上がらせたまま笑顔を見せてきて、マクシミリアンはサーッと血の気が引いていってるわ。
「あなた、お金の使い道をちゃんと説明してもらえるんでしょうね?」
「こ、これはだな、我々の……そう! 我々の未来への投資なのだ!」
シュピーンと決まったとでもいうポーズをマクシミリアンは見せるけれど、ミュラー夫人の今の顔は般若の様になっていたわ。
「まったく、部下に威張るしか能が無いくせに……無駄使いばかり一人前ねぇ……」
パキポキとミュラー夫人が両手の指の関節を鳴らしながらマクシミリアンににじり寄ってくるの。
「うわ! ちょっ! 待て! やめてくれ!」
うひゃー、マクシミリアンがミュラー夫人に馬乗りにされてボッコボコにされてるよ……
「これに懲りたらあなたの大好きな冒険者ギルドにでも行って、無駄使いした分でも稼いできなさいねっ!」
ああっ! マクシミリアンが死にかけのカエルみたいにぴくぴくしてるよぉ。
ミュラー夫人は怒りが収まったみたいで、部屋から出て行ったわ。
「しょ、将軍……」
「見るな、見ないでくれ……」
なんだかマクシミリアンが哀れに見えてきたわ。
ちなみにミュラー夫人だけど、結婚前は元マルボロ王国兵士で大人気の美人兵士だったらしいわ。
マクシミリアンのしつこい求婚に折れて結婚した……っていうのは実は王宮内では有名な話よ。
「親父! お袋! ちょっと行ってくるわ!」
「しっかりお姫様を守るのよぉ」
「おう! 任せておけ! ところで親父はどうしたんだ?」
「書室で寝てたわよぉ〜」
「そっか、じゃあ寝かしておいたほうがよさそうだな」
そう言ってフィンは家を出て、私と待ち合わせの場所に向かったわ。
……なんだか凄い家族ね。
「しょ、将軍! 大丈夫かニャ!?」
「うぅ……王女を……フィンを……後を頼む……」
「しょ、将軍の死は無駄にしないのニャ!」
猫の女獣人もそっと部屋を抜け出してフィンの後を追っていったの。
ミュラー家の事情、いかがでしたでしょうか?
それにしても、ここまで書いてきていて全てララノア視点で書いていると、ごちゃごちゃしてきて知らないはずのことを知っていたりさせそうで不安になります。
気をつけてはいますが、そのようなことがあったら、お知らせしていただけると助かります。




