コンサート
いつも読んでくれてありがとうございます。 ほぼ毎日更新で頑張っていきます。
王宮に帰ると何だか慌ただしい雰囲気だったの。 私とフィンが顔を見合わせて、王都に出たことが誰かに見られていたのかとも思ったのだけれど、それにしたってどうにも様子がおかしかったわ。
「ララさ……姫様、自分がちょっと聞いてきましょう」
「別にいいわ。 それに……」
私の位置がわかる魔法でもかけられているんじゃないかっていうタイミングでサーラが近づいてくるの。
「私と一緒の時以外は王都に行ってはダメだと言いませんでしたか?」
「うぅ、サーラごめんなさい」
「サーラさんすいませんでした。 自分がついていながらつい調子に乗ってしまって……」
「まぁ無事ならいいでしょう」
あれ、怒られなかったよ?
「それはそうとこの慌ただしさは……何かあったんですか?」
サーラはにっこり笑って後ろに控えている人物に合図をすると、フードを被った人物がヒョッコリ出てきて、フードをどけるとフィンが固まっちゃった。
「初めましてプリンセスララノア、わっちはブリーズ=アルジャントリーでありんすぇ。 サーラさんの言っていた通り可愛らしいプリンセスでありんすね」
「ちょっとアル! 余計なことは言わなくていいです!」
目の前にいる銀髪の綺麗な子が歌姫ブリーズ=アルジャントリーなんだ。
思わず魅入ちゃった。
「あ、あの! 自分はフィン=ミュラーと言います! 歌姫にお会いできて光栄です!」
「はい、よろしくお願いしんす。 フィン」
そう言って握手をしてもらったフィンは耳まで赤くさせて嬉しそうにしていたわ。 実はファンだったのかしら?
「それでなんでここにブリーズがいるの?」
「ええ、ヴォーグ様にここでコンサートをする許可を得に行った帰りです」
「すっげ……サーラさんって一体何者なんですか?」
サーラは笑って誤魔化したわ。 それにしてもブリーズはブリーズで、さっきから妙にサーラにベタベタくっついて、ずいぶん仲がいいみたい。
サーラはブリーズを送っていくらしくそのまま王都に向かって、フィンも報告に戻るからってここで解散したんだ。
「うまく親父には言っておくので口裏合わせはお願いします姫様」
だってさ。
1人残された私は部屋に戻って着替えを済ませていると、火蜥蜴が不貞腐れていたわ。
“俺っち暇なんですけどー”
「仕方がないじゃない。 それともフィンに正体明かすの?」
火蜥蜴が“それはマズい”ってウンウン唸りながら考え込んじゃったみたい。
そして自分の家に戻ったフィンは、今日の警護を無事に終えた事を父親であるマクシミリアンに報告に行ったのだけれど……
「親父、今日も姫様の警護は無事に努めてきたぞ」
「そうか。 それよりお前に渡したいものがある」
そう言ってマクシミリアンは受け取れとでも言わんばかりにヒラヒラとさせるの。
それを受け取ったフィンは歌姫のコンサートチケットだと知って驚くの。
「親父これは一体なんだよ」
「うむ、以前より姫様がそのコンサートに興味があるようでな、お前が警護をしていれば安心だろうとなんとか入手したのだ」
はい? 初耳なんですけどぉ。 興味があるなんてそぶりもマクシミリアンに見せてないんですけどぉ。
それにさ……
「親父、それなら心配に及ばないぜ! 実はな、サーラさんが歌姫と知り合いらしくて、王宮でコンサート開く事になったらしいんだ」
「なっ! なんだとぉ!!」
「そんなわけだからそいつは必要ないよ。 それじゃ、警護で疲れてるから先に休ませてもらうぜ」
なんていうか、フィンって礼儀正しいのか雑っぽいのかわからなくなってくるわね? やっぱり父親と接している時のフィンが素のなかしら?
それはそうと残されたマクシミリアンはと言うと……
「某の最高の策が! おのれサーラめ! 付き人の癖にこの国の将軍である某の邪魔立てするとは!」
「僕の苦労がぁぁぁぁぁ! 将軍、そのチケット2枚どうしてくれるんですかニャアァァァァ!!」
「ええぇい、うるさいこの馬鹿猫が!」
あらあら、仲違いしちゃったのかしら?
でもちょっと猫の女獣人の人には悪い事しちゃったかしら。
その翌日、王宮のホールで歌姫ブリーズ=アルジャントリーによるコンサートが行われたわ。
どの歌も踊りも音楽も素敵で……だけどその歌は誰かにブリーズの想いを伝えるメッセージのようだったわ。
ホールに集まる人たちが見惚れる中、隣で聞いていたサーラだけはなんだか気まずそうな顔を見せていたのだけどどうしたんだろう?
ちなみにマクシミリアンは来ていなかったみたい。
大盛況の中コンサートは幕を閉じて、最後にお父様と何かを話していたわ。




