話すべきこと
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ありがとうございます!!
私は包み隠さずフェイに話した。
フェイも口を挟まずに話を聞いてくれた。
今から話すことは、全て真実なのだと一言告げて、生まれた場所やこの世界のことをまったく知らないことなどを出来る限りわかりやすく伝えたつもりだ。
話した時間は長かったのか、短かったのか私には分からない。
一言付け加えるなら、側に居たはずのリーさんとローさんが話す前から居なくなってて、話し終えても帰ってくる気配を見せないことだけ。
伝えるべきことを伝えて、私は彼を見つめる。
やはり見飽きることなど到底出来ない紫色の瞳。
どうしてこれ程までに私を魅了するかなんて分からなかったけど、そんな理由なんてこの瞳を見ていられる時間を削ってまで考える必要性を感じなかった。
飽くことなく見ていたら――笑われた。
笑ったときに細められた瞳にまた囚われて、「ああ…重症かも」などと声無く呟いた。
そういえばと気付く。
話したことへのフェイの感想を聞いていなかった。
「どうした?」
私の表情が変わったことを目ざとく見つけたフェイが聞いてくる。
限りなく優しい声。
いたたまれなくなって、耳が熱くなる。
きっと赤くなってる。
隠したい衝動を何とか引き止めて、口を開く。
だけど、喋ったのはフェイの方が先だった。
「耳が赤いぞ」
余計なお世話だ。
耳だけでなく、顔中が熱くなっていく。
今度は隠したい衝動を止めることなど出来なかった。
ぱっと両手で顔を隠す。
その途端、フェイの笑い声が聞こえた。
むかつく。
でも、手をどけて反撃するなんて今は出来ない。
歯を噛み締めて唸る。
余計に大きくなる笑い声。
本当に…どうしてくれようか。
復讐方法を1つ2つと考える。
やばいことに10以上は軽く考えられそうだった。
笑い声が急激に止まる。
なんで?と思った矢先に、手首を掴む感触と共に目の前が光で覆われる。
目をつぶって開いてみれば、そこには意地悪そうなフェイの顔が間近にあった。
「!!!?」
驚いた驚いた驚いたっ!?
慌てて自分の手を引き戻して距離をとろうとした。
でも阻まれてそのまま。
ワタワタと腕を動かすが、いっこうに思うようにならない。
悔し涙が浮かぶ。
唸って睨みつける。
私を拘束している犯人は、ジッと私の顔を見てニヤリと笑った。
今までで一番悪そうな笑みだった。
顔が寄ってくる。
顔を俯けて視線から逃れる。
でもフェイは止まらなくて、耳元に呼気を感じた。
「ユキの泣いた顔もいいな」
固まった。
本当に見事なほどに固まってしまった。
涙もひっこむってもんだ。
そんな私の耳に零すようにフェイは言葉を落とした。
「ユキがこの世界の住人じゃなくても構わない。――オレはユキが好きだ」
読んでくださった方、ありがとうございます!
少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
リーとローがどうしていないのかは前の活動報告内にてちょっと記載してあります。よければお読みください。