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励はその部屋で過ごす他なかった。
ふと、部屋の扉がノックする。男だろうと思い、「はい」と励は返事する。しかし、男は入ってこなかった。不思議に思い励が扉を開けると、そこに一人の少女が立っていた。彼女はミディアムヘアで背が高い。白のシャツを着て、青のショートパンツを穿いていた。
「こんばんは」と、彼女は笑顔で手を上げる。その後、彼女は励を見てビックリする。
「小木曽くん!?」
その少女はクラスメートの羽鳥さんだった。
「羽鳥さん!?」
「ビックリした!」と、彼女は言って笑顔を見せる。
励もビックリしていた。彼女がここにいたからである。
「僕も……」と、励は言う。
「私たち、誘拐されちゃったみたいだね……」
羽鳥さんが言った。
「そっか……」
「私たちだけじゃないみたい……」と、羽鳥さんが言った。
「他にもいるの?」
励がそう訊くと、羽鳥さんが口を開く。
「うん。他にも男の子とか女の子が……」
「へー……。あ、ねえ。羽鳥さん、今こんなところに居たら、あいつに見つかるんじゃない?」
励がそう訊くと、羽鳥さんは言う。
「今、あいつは外出ているみたいだよ。新しい人が来たから、どんな子かなって思って見に来たの。そしたら、知り合いだったからビックリしてる」
彼女はそう言って笑う。
「なるほど」
ふと励は思い出す。「あ!」
「あいつが今、外へ出てるなら、外へ出られるんじゃないの?」
励がそう訊くと、羽鳥さんは答える。
「ううん。それが……鍵が掛かっているのよ。外側からみたい……」
「外側から?」
「そう」
「それじゃあ、本当に出られないのか……」
励は残念そうに言う。
「うん……」
羽鳥さんも残念そうに頷いた。
「ねえ、羽鳥さん」
「何?」
「ここから出たいと思う?」
励がそう訊くと、「それはもちろん」と、彼女は頷いた。
「小木曽くんは?」
「僕もだよ」