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境界:常闇の世界にて

 青白き炎がまた一つ消えた。残るは一つ。

 黒一色の世界で、青白い炎のみが光となる世界に、彼女はいた。

 彼女は黒き世界で独り祈り続けていた。炎を消さないために。

「幽々子、後どれくらい持つの?」

 姿はなく、声だけが世界に存在を示した。

 幽々子はゆっくりと、はっきり言う。

「夜明けまでは大丈夫よ」

 それは自信ではなく、それまでしか無理と言っているのだ。

「充分よ。予定より少し早いけど、『魔王』は既に動き、『勇者』も旅人に鍛えられて成長した」

 けれど、と前置きして声が響く。

「『魔王』は狂ってるから、どうなるかは分からないわ」

 幽々子は少し間をあけて、声に尋ねる。

「いい人材は見つかった?」

 また少し間があいて、声が響く。

「『予知者』に『鬼の子』、『龍人』に『あの子の子供』が」

「充分ね。それだけ居たら、少なくとも世界が動くものね」

「・・・じゃあね、幽々子。後少しだけ頑張って」

 その言葉を最後に、声はなくなった。

 誰に聞かせるでもない声を、幽々子は呟いた。

「頑張ってね。紫」

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