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境界:鍛錬
「いやー、災難だなお前」
目が覚めた朔が一番に見たのは元だった。
実際はそれ以外ないのだが。
朔は周りを確認する。辺りは白一色。自身の格好はいつもの黒ジャージ。右手には抜き身の刀がある。
「今度はなに?」
「鍛錬」
「・・・はい?」
「安心しろ。ここでは時間の流れは関係ない。腹は減らないし眠気もないし疲れもない。好きなだけできる」
「いや俺はなんで鍛錬するのかって聞いてんの!!」
叫びはするものの元はニヤニヤ笑うだけで何も言わない。説明はしないということだ。
「だったらお前をぶった斬って終わらせてやる・・」
「お、いいなそれ。じゃあ俺に一発当てれるまで鍛錬な」
「・・・いや、まて。なんだか凄くやっちまった感が」
「いっくぞー!」
「待てやこらぁぁぁぁぁぁ!!!?」
とてもとても長い時間が過ぎ。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「んー、俺に一発当てるのにどれだけかかったか知りたい?」
「お断りだ!」
あははと笑う元。朔はもうツッコミを入れる気力もない。
一発当てるためだけに随分頑張ったが、達成感も何もなかた。(その一発も刀がすっぽ抜けて当たっただけという結果)
「とりあえずこれで扉は開いた。後は行くだけだ」
しかしそんな言葉も朔の耳に入っていない。意識が薄れていく。
「じゃあな朔。自分に負けるなよ」




