陽ちゃん登場
「だっはっはっはっはっ!」
私の話を聞いた陽介さんは、カウンターにうつ伏せて盛大に笑った。
「なに、あいつ、まじで……っははっ、ははっ…っく」
最後には笑い過ぎたせいで咽せかえり、しばらく古場さんに背中をさすってもらっていた。私はそれをなんとも言えない気分で見る。
そんなに笑うことか。……ことなのだろう。彼を幼い頃から知る立場からすれば。
「けほっ、けほっ。っあー、悪ぃな古場。もう大丈夫だ」
「……笑い過ぎだろう。いくらなんでも」
陽介さんの言葉に、呆れたような表情で古場さんは手を離した。
「しっかし、アイツの告白シーンなんて想像もしたことなかったからなぁー」
ようやく収まってきた咳に、陽介さんは眼に溜まったままの涙を拭った。
「なんだ? その熱烈な台詞回しはじいちゃん譲りか?」
と言いながら喉の奥で笑い、
「お前にもその血は流れてるだろ」
と古場さんに指摘される。
ライターを手で弄びながら、「じゃあ違うな」と陽介さんは一人頷いた。
というか、熱烈も何も、あれは。
「告白じゃないんですよ」
「アナタを見つめてました宣言が?」
面白そうに目をくるりと回す陽介さんに、その時のことを思い出しつつ、少しだけ眉間に皺を寄せて私は強く頷いた。