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BLACK D●T  作者: 笹舟
六月十日 くもり 時々 ●。
12/87

「ただの」

今回いつにもまして短いです。

 定価の七割の代金を中谷会長に手渡しながら、私は尋ねる。


「バイトしてるんですね、中谷会長。『BLACK D●T』で」

「休日だけ。部活動には入ってないしね」

「生徒会って忙しいんじゃないですか? ましてや、会長なのに」

「周りが優秀だから、俺はそれほどでもないかなー。中でも特に副会長は真面目によく働いてくれてるからね、大助かりだよ」


 というか。


「禁止されてはないけど、アルバイトって認証状が要りますよね」


 ――持ってるんですか?

 

 言葉に出さない私の追求に、中谷会長は指を一本たて、それを左右に振ってみせた。


「……笠見さん。俺のやってることはね、」

 その答えは、ズルいけど、これもいい手だった。

「親戚のお兄さんのお手伝いです。だから、アルバイトじゃないんだよ」


「………。生徒会長なのに」

 やられた感が少し悔しくて、聞こえよがしに呟いてやる。 

 中谷会長があっさり返してくるだろうというのは、薄々と分かっていたんだけど。


「生徒会は、生徒の模範じゃない。ただの代表だよ」

 

 嘯く中谷会長は、笑顔だった。



次回で一部終わりです。

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