第27話 メッセージ2
ジャンによると、動画の人物は魔法使いの長のダンテで間違いない事。
これには桜子も誠も同意した。
それは、ダンテが二人の父親の健吾にそっくりだったからだ。
二人はダンテがどうやってI TUBE に現れたのか分かるような気がしたので、そこはあえて聞かないでおいた。
ダンテはI TUBEの中で、魔法言語を使い話をしていた。
「お前、この言葉分かるのか?」誠が聞くと、
「はい、私たちは生まれた時から、魔法言語を学びます。魔法使いであれば、だれもが話せ、理解できる言葉です。」と答えた。
「で?長は何と?」と誠が聞くと、
「ちょっと待ってください。」そう言って、誠の部屋の押し入れをゴソゴソと探り出した。
そして、「あった、あった、無くさないようにこの扉の奥にしまっておいたんですよ。」
と言って、探し出してきたものは、魔法使いの杖だった。
その先には、奇麗な透明のオーブがはめ込まれていた。
桜子が、「あなた、こんなの持ってた?」と聞くと、
「は?最初から持ってましたよ。」とジャンが答えた。
誠が、「俺も覚えてないけど、まあ、現れ方が強烈だったから、目に入らなかったんだろうな。」と言った。
「で、その杖が何なの?」と桜子が聞くと、
眼鏡をクイッと人差し指で上げて、
「少し静かにしていて下さい。」と桜子にお願いした。
桜子は、「何よ、ジャンのくせして!」そうブツブツ言いながら、プイっとそっぽを向いた。
「おいおい、ここはジャンは関係なだろ。」と誠が言うと、ジャンがオーブに手をかざして、何やら唱え始めた。
そうすると、オーブが光り出して、その中に魔法陣が現れた。
それを誠と桜子の前にかさして、「これが異世界移動の魔法陣です。」と二人に見せた。
誠と桜子は顔を見合わせて、目をパチパチとしている。
「誠さん、しかっりと見て覚えてください。恐らくダンテ様はあなたの事を言っていたのだと思いますが、彼はこちらの世界に魔法陣を素から描ける魔法使いが居ると言いました。あなた以外考えられません。ダンテ様はあなたに一度これを見せると描けるはずだと仰いました。まもなくこの魔法陣は消えます。もう私の世界と通信を取ることは出来ません。あなた達のみが頼みの綱です。そうダンテ様が仰いました。」そうジャンが言うや否や、突如としてオーブから現れた光が誠を包み込み、魔法陣はオーブの中からす~っと消えて行ってしまった。
そして誠を包んだ光は誠の体内に吸い込まれるようにして消えていった。
全てを見届けた後も、桜子は誠を見守るように見つめていた。
その時だった。桜子が「ギャ」っと叫んで一歩下がった。
それは、誠の額に小さな水晶のような球が浮き出ていたからだ。
そして誠の目は金色に光り、周りの事が聞こえない様子だった。
ジャンは桜子の肩に手をポンと置き、
「大丈夫ですよ。彼の体が魔法使いの体へと書き換えられているのです。ダンテ様が私のオーブを通して、誠様に魔法の洗礼を行われました。」と伝えた。
「それって?」と桜子が尋ねると、「オーブを持たない魔法使いは、長の魔法により、洗礼が行われ、その魂に刻み込まれるのです。
それが私のオーブを通して行われたのです。彼は正真正銘魔法使いになったのです。ですが、額の水晶は見たことありませんね~」とジャンが言った。
「それって大丈夫なの?マコ兄、死んだりしないわよね?」桜子は心配していが、ジャンは一向に平気そうだった。
「ね?ところで私は?マコ兄が受けた洗礼って受けなくても良いの?私も魔法使いなんでしょう?」と桜子が尋ねると、「いえ、桜子様の事は何もおっしゃっていませんでしたが、魔法陣が開いた暁には、あちらの世界へお連れする様にと…」と答えた。
「え?そうなの?私、招待されたの?それって、長、直々に洗礼が受けれるって事かしら?」と桜子がウキウキしている。
「あ、それから直人様も一緒にお連れする様にと…」と付け足すと、
「何?家族会議でもしたいのか?」と誠が正気を戻した。
「マコ兄!」そう言って誠に飛びつくと、「気分はどう?」と尋ねた。
「すこぶる良好だよ!なんだか今までの中で今が最高の気分だね。」とそう答えた。
「どう?魔法陣は描けそう?」そう桜子が尋ねると、
「ああ、今存在している魔法陣とその呪文が全てさっきの洗礼でインプットされたよ」と言うと、
「あ~やはりあなたが古の魔法陣のルナーだったんですね。」とジャンが言うと、
「なに?ルナーって」と桜子が尋ねた。
「ルナーは魔法陣を操る魔法使いで、素の状態から、魔法陣を生むことが出来ると言われています。そして、これまで存在してきたすべての魔法陣を操ると言われています。ただ、もう何百年とルナーは現れなかったのです。」とジャンは教えてくれた。
それを聞いた桜子は、「マコ兄、凄いね。何だか私達って異世界魔法使い界の救世主?」とジョーダンぽく言って笑っていた。
そしてまじまじと誠の顔を見て、「マコ兄、額のオーブはどうなったの?」と聞いた。
誠の額に現れていたオーブはいつの間にか、消えていた。
「ねえ、ジャン、マコ兄の額のオーブ消えてるんだけど…」と尋ねると、
「フ~ム」と顎に指を当てがって、まじまじと誠の顔を見た。
確かに誠の額には、今まで浮き出ていたオーブが無い。
「はっきりとした事は分かりませんが、向こうへ行けた暁には長に尋ねることが出来ますよ。」とジャンは余り気にしていない様子だ。
そんなジャンの態度に、桜子はまたイラっとした。
そして、ジャンの背中を「あなたはお気楽でいいわよね!」とポーンと押した瞬間、ジャンの腰に巻いていたソレがパラりと落ちてしまった。
それを真正面から見てしまった桜子は泡を吹きながら倒れてしまったというのは大げさだが、
「ギャ~」っと大声をだして、ジャンの頬をバチーンと叩いた後、自分の部屋に駆け込んでいったのは言うまでもない。




