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桜子の物語  作者: 樹木緑
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第23話 魔法陣3

「じゃ、あれって本当に魔法陣? 本物?」桜子がフルフルとして独り言を言っている。

「でも、なんで桜子だけに反応するんだろう?」そう奈々が切り出した。

「反応するのは桜子だけなの?」と加乃が尋ねた。

「そうなんです。私達、皆、直人さんも、誠さんも、皆触れたけど、反応したのは桜子だけになんです。」と奈々が答えた。

「これはあくまでも、仮説だけど、もし、ばあさんの言ってる異世界云々が真実で、どう見ても日本人じゃないその銀髪野郎がじいさんだとすると、俺達ってクオーターだよな?」と誠が言いだした。

「ま、割合からするとそうなるわね。で?」と桜子が聞く。

「もし、もしだぞ、その銀髪野郎が異世界の魔法使いだとしたら?」と誠が続けると、桜子が束さず、

「私達、魔法使いのクウォーターでもあるってことよね?」と興奮している。

「あくまでも、仮説な。」と誠が念をおす。

「でもそれだったら、マコ兄や、直兄にも反応しても良いんじゃ…」と桜子が疑問を持った。

「ま、早い話、その仮説が本当だとすると、たぶん、お前だけがその遺伝を継いだんだよ。」そう誠が言った。

「それだったら、全て辻褄が合うわよ。ね、桜子!」と奈々がはしゃいでいる。

桜子はその仮説を前にして頭がパンクしているようだ。

「もしかすると、もしかするかもな?」と言い出したのは直人。

皆が「何が?」と問うと、

「桜子が触れて魔法陣が光ったって事は、本当の魔法陣だという可能性が高いわけじゃないか?だとしたら、あの魔法陣、正しく使えば、本当に異世界へ行けるかも? な?桜子?」

あれ?桜子?皆が桜子の居る方を振り向いたが、桜子が居た場所に彼女は居なかった。


「え??桜子までも神隠し?」と奈々が言ったとたん誠が、「居たよ!魔法陣のまえだ!」と皆を呼んでいる。

「もう、桜子、びっくりさせないでよ、あなたまでお祖母ちゃんのように居なくなっちゃったのかと思ったわよ。」と奈々が心配して言った。

「桜子?ねえ、桜子?」と奈々が呼び掛けても、何かブツブツと独り言を言っている。

加乃が魔法陣に近ずいてじーっと見つめている。

そして、「ここはこうで~」とか、「ここはああで~」とかブツブツ言っている。

「おいおい、桜子もばあさんも、一体どうしたんだよ。」と直人が言うと、誠が「シーッ」と口に指を当てる。

そんな二人の姿に皆が息を飲んで見守っている。

そして加乃が、「ちょっとメモを持ってくるわね、私の記憶と少し違う箇所があるから見比べてみたいの。」と言うので、

「ああ、それが良いかも。」と誠が言ったので、加乃は自分の寝室までメモを取りに行った。

その間も桜子は何かブツブツと言っている。


暫くして、加乃がメモを持って温室に戻って来た。

「あ、それと、一つ忘れていたことがあるんだけど、私が見つかった時、指にしていたものがあって、それがこれ。」と言って、小さな白い花で出来た指輪も持ってきてくれた。

「え?これ? これってつゆ草?」と桜子が尋ねる。

「つゆ草に似てるわよねぇ? でも、違うの。」

「別の花なの?」

「全くの別物。調べてみたけど、地球上には無いわね。」

「え?でもこれ、どっからどう見てもつゆ草…」

「植物学者の私が言うのよ。間違いないわ。」そう加乃が自信を持って言う。

「それにほら、何か気付くこと無い?」

「え~?何だろう?」と桜子が首を傾げている。

「これ、お祖母ちゃんが見つかった時、はめていたものですよね?」と和人が尋ねた。

「そうよ、今から約50年前。」

「え~この花50年間枯れてないの?」と皆がびっくりしている。

「本物~?」と桜子が疑問を持っている。

「ちょっと見ても良い?」と誠が聞いたので、加乃が誠に指輪を渡した。

誠は少しの間指輪を色々と観察した後、「これ、本物の花だよ。香りまであるよ。」と言って、一人一人に花の香りを嗅がせた。

「ほんとだ~ほんのりと甘い香りがする。」と奈々が言った。

「と言う事は、これ、あの銀髪野郎にもらったって事?」と和人が尋ねる。

「分からないけど、左薬指に嵌めてたから、あなた達のお祖父さんで間違いはないと思うわ。」と加乃が言うと、

「50年も枯れない花って、異世界以外にないわよね?」と桜子が同意を求めると、

「魔法が掛けられてるって確率も高いな。」と誠が合図地をした。



「じゃ、早速このメモを…」と、加乃がメモ帳を確認するのを皆で覗き込んでいる。

「あ、これ、少し違うな。」そう言って間違った個所を素早く誠が見つけた。

皆が”何故分かる?”と言う顔をして誠の方を振り向いた。

誠は涼しい顔をして、「ちょっとこのメモ貸して。」そう言ってメモを加乃から受け取り、一通り見た後、加乃にメモを返した。

そして壁に描いた魔法陣の前に立って、間違って描かれたシンボルや文字を描き変えていく。

その姿はまるで、元々からその魔法陣の描き方を知っているようで、皆を驚かせた。


「これで全て描き終えたな。」そう言って皆の方を振り向くと、

「お前、一度見ただけで、何故そんなにスラスラと描けるんだ?」と直人が不思議がっている。

「何故だろうな?なんだか、頭に浮かんでくるんだよ。で、割と合ってたりしてるんだよな。」と誠が答えると、

「誠さんの受け継いだ能力って、魔法陣を描くこととか?」と和人が言うと、

「それ、あり得るかも?と、言う事は、俺も何らかの遺伝を受け継いでる可能性はあるって事だよな?」と直人が言い始めた。

「何で皆これが真実ってそう簡単にうけいれらるんだよ~。」と今だに疑問を持っているのは直行。

「ま~ま~遅かれ早かれ、これが本物かどうか分かるさ。」と直行は以前よりも受け入れ態勢が出来ている。

それを聞いた桜子が「ちょっと~、ついさっきまで、私の異世界好きをプッと笑ってたくせに!何なのその180度の違い!」とブウブウ言っている。

「ま~ま~それは置いといて、何か分かったのか?」と桜子に聞くと、

「いや、分からないけど、多分この魔法陣に描かれた文字?を読まないとダメなんじゃないかな?」と言うと、

「それ、諦めろって言ってるのと同じ。どうやってこんな文字読むんだよ。これ、この世界の文字じゃねぇぞ。」と直人が言うと、

「ちょっと待って、ばあさん、メモ、ちょっと貸して。」と誠がそう言って右手を差し出した。

誠はメモを受け取った後、魔法陣の描かれているページをめくって、そこに描かれていた魔法陣の詳細を紐解いていこうとした。

それを見ていた直人が、「また閃きってやつか?」と聞くと、「まあ、見ててみな」そう言って、

「桜子、魔法陣に手を当てて俺の言う通りに繰り返して。」そう言って、桜子に魔法陣に触れるよう施した。

桜子が魔法陣に手を触れると、魔法陣が光を放ち始めた。

そして誠が、一語、一語ゆっくりと発しだした。

それに続いて、桜子が言葉を発すると、魔法陣に描かれたシンボルが光り出した。

皆は「おおおおお~~~進歩してる!」と言って、その行く末を見守っている。

一つ、一つ言葉を発する度に、シンボルが一つ、また一つと光り出す。

そして、最後のシンボルが光った後で、全ての光が消えてしまった。

「何故?ここまで来て…」桜子はがっかりしている。

「多分、どこか間違ってるんだ。」そう言って誠はまたブツブツとメモを見直している。

その時、加乃が、「こう言ってみて。」とその続きらしき言葉を発し始めた。

桜子はそれに続いて、言葉を発した。

そうすると、魔法陣が光り出し、ピキピキ、パキパキと音を立てて歪み始めた。

そうして、ウィーン、ウィーンと空気のうねるような音がして、魔法陣が虹色に光り出した。

皆の額には汗がにじんでいる。

これが異世界へ通じる扉になるのか?

果たして、この扉はひらいてくれるのか?

皆は息を殺して魔法陣の行く末を見守っている。

そんな中桜子が、「皆、異世界へ行く準備は出来てる?」と元気よく尋ねると、皆は勢いよく、「おう!」と言って答えた。

そして皆が異世界への扉を潜ろうと構えていると、光り出した魔法陣は皆を異世界へ連れていくどころか、

なんと、光った魔法陣の中から、瓶底眼鏡をはめた髪がボサボサのみすぼらしいローブを羽織った少年らしき人物が魔法陣から抜け出してきた。

それを目にした皆が、「え~これ誰?!」と叫んだ瞬間、魔法陣から出てきた少年はびっくりして持っていた瓶を落として割ってしまった。

その瞬間加乃が「ギリアン!」と叫んだ。

その声に皆は加乃の方を振り向いて「?????」と言う顔をしていた。

そして皆に面会した、そのみすぼらしい少年は桜子を見て、「あなた様は、オーリン様!」と言って跪いていた。



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