第19話 彼津野第三迷宮 Update!
# 彼津野第三迷宮
*かづのだいさんだんじょん* 【固有名詞】
## 意味
1. 宮浜県彼津野市に、ある日突然現れた迷宮だわん。市内で三番目に確認された、比較的新しい迷宮で、オーソドックスな迷宮型なんだわん。元々は五階層までの小型だったけど、最近の迷宮再構築によって十階層まで拡張されたわん。かつては初心者の探索者が訓練のために潜ることが多かったけれど、今は深層に強力な魔物も現れるようになった、侮れない迷宮だわん!
## 解説
彼津野の地に現れた迷宮の中で、三番目に発見されたから、この名前がつけられたんだわん。以前は五階層までで、新米の探索者が迷宮探索許可証を取得して、初めて潜る場所として最適だったわんね。一階層にはスライム、二階層にはツノウサギ、三階層にはゴブリンが生息していて、三階層までは罠もほとんどなかったから、安全に経験を積めたものだわん。しかし、最近の迷宮再構築によって、第三迷宮は大きく変貌したわん!なんと十階層まで拡張され、深層には新たな強敵が出現するようになったんだわん!再構築後の各階層には、こんな魔物たちが確認されているわん。一階層:スライム、ゴブリン。以前はスライムだけだったけど、今はゴブリンも低層に出るようになったから注意するわん!二階層:ツノウサギ、オーク。ツノウサギは相変わらず可愛いけど、オークは侮れないわん。三階層:ゴブリン、コボルト。以前は罠がなかったけど、今は簡単な罠も確認されているから油断は禁物だわん!四階層:アースワーム、ロックゴーレム。硬い敵が増えてくるわんね。五階層:スケルトン、リビングアーマー。ここまでが、以前の最深部だったわん。六階層:シャドウウルフ、ダークエルフ。この辺りから、探索者の腕が試されるわん。七階層:フレイムリザード、アイスゴーレム。属性攻撃のスキルが有効だわん。八階層:ワイバーン、ミノタウロス。かなり手強い魔物が出現するわん!九階層:グリフィン、オーガロード。ベテラン探索者でも苦戦するような強敵だわん。そして、最深部の十階層には、巨大な「フライングシャーク」が待ち受けていると噂されているわん!ボクもまだ詳細な情報はつかめてないんだけど、かなり強力な魔物らしいわんよ!この迷宮特有の、探索者を惑わすちょっと不思議な重力魔法陣は、再構築後も健在だわん。移動に慣れが必要なギミックは、深層にも存在するから気を付けて探索するわんね!
## 追記メモ
- 再構築後の第三迷宮の五階層には、以前の迷宮にはなかったはずの、レアドロップ率が高いと噂のユニーク魔物がいるらしいわん。特定の条件でしか出現しないっていう未確認情報もあるから、検証の価値があるかもしれないわん。
- ボクのナビゲーターさんから聞いた話だわんが、第三迷宮は、特定の迷宮管理者が関わると迷宮再構築が頻繁に起こりやすいらしいわん。この迷宮は、特にその影響を受けやすい特性があるのかもだわんね。
◆ ◇ ◆
「なあ、わん太……、この情報マジ?」
それは、不忍先輩の一言からだった。
「ねえシンラっち~、第三迷宮の情報は更新されないの?」
先輩とは正式にパーティを組むこととして彼津野第三迷宮調査の計画を練っていたのだが、ダンジョン図鑑を眺めていた先輩がふと思い出したように言ったのだ。
「あ、そういえば『ダンジョン辞典』には更新機能があるって言ってましたよね?」
確かにあった気がするが使ったことはないな。
『あるわん。スキルの熟練度も上がったし、第三迷宮には一度入ってるから多分ちゃんと更新できるわん!』
そして、自信満々なわんこをつつきながら更新したページをみんなで見たところで若干頭を抱えているのが現在の状況である。
「……えーと、まだ六階層以降には降りてないんだよな?」
「一応六階層があることまで確認をしただけと聞いてます。ギルドの予定的にも今日までは従来の五階層までの変化を確認すると……」
「つまり、ここに書かれているのは未確認情報。しかも、この情報が正しければ六階層以降で急激に難易度が上がるにゃ。リツリツ、この情報はギルドに伝えるかにゃ?」
「うーん、とりあえずこの更新されたページはまだ非公開にしてるんだけど、未確認情報をギルドに伝えても情報の出どころが聞かれるし……、うん、公開だけして私達は上層の調査に留めましょう」
「そうだにゃ、下層は厄介そうだから上層だけに留めるのが良さそうにゃ」
先輩と立夏さんで上層調査の計画が立てられていく。
まあ、俺としてもまだ一回しかダンジョンに潜っていない超初心者だからそれで良いのではあるが……。
「このページの内容ってどれくらい信憑性があるんだ?」
『ふぇっ? あると言えばあるし、ないと言えばないわん』
「俺としてはこの情報、ほら、六階層に『ダークエルフ』って書いてあるのが気になっているんだが?」
ダンジョン辞典のページ、六階層の出現モンスターとしてシャドウウルフはともかく、なぜかダークエルフと書かれている。
ダークファンタジー寄りのRPGならばモンスター扱いの場合もあるが、どちらかというと最近の創作ではエルフやダークエルフは普通に意思疎通できる存在として扱われている。
もしやダークウルフの書き間違いだったりするのだろうか。
「あー、シンラっちはそれを聞くんだ。それ、ホントにダークエルフだったら絶対めんどい事になるから触れなかったのににゃぁ」
「そうですよ、きっとダークウルフって書いてあるんです。わん太君の手が滑ったんです、間違いありません。私、そんな厄ネタ見てませんから」
現在のところダンジョンに知的生命体、俺達と意思疎通ができる存在がいたという話は聞いたことがない。
確かにこの情報に信憑性があってダークエルフが居たとすれば大きな問題、いや、社会現象となるだろう。
うん、辞典で眺めるには良いが自分で関わりたくはないな。
そうは思いつつも指は自然と『ダークエルフ』をなぞり、リンクを作成していた……。




