第1話 ダンジョン
# ダンジョン
*ダンジョン* 【名詞】
## 意味
1. ダンジョンとは、現代世界に突如出現した、異次元空間へと続く入り口のことわん。内部は複雑な構造をしており、様々なモンスターや罠、そして貴重なアイテムが存在するわん。現実世界の物理法則とは異なる、独自のルールが存在する場所でもあるわん。
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> 闇の裂け目から現れた、冒険と死の狭間… そこがダンジョン。己の力を試すも良し、貴重なアイテムを求めるも良し、己の運命を賭けて踏み出せわん!
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◆ ◇ ◆
「ダンジョン辞典と言う割にはあたりさわりのないことだけしか書かれていないんだが?」
眼の前の空中に浮かぶタブレット。そこには古ぼけた本を模したデザインのアプリが立ち上がっていた。
その名は『ダンジョン辞典』。
この『ダンジョン辞典』、正確にはURスキル『万象言海(ダンジョン辞典)』。
そう、スキルである。
ちょっとばかし前に神と名乗る不審人物によってこの世界は剣と魔法のファンタジー世界的なRPGの要素が導入された。
意味がわからない?
うん、俺も分からないし、世界中の人がそう思ったことだろう。
しかし、現実に世界中にダンジョンが発生し、十六歳を過ぎるとスキルが発現するようになった。
「これでURスキルってポンコツすぎないか?」
『ご意見ありがとうございますわん! ボクもそう思っていたとこだわん』
視界の端に手のひらサイズの犬のぬいぐるみがふよふよと漂うように現れてそんな事を言う。
「いや、書いてるのはお前だろ!」
『ボクは編纂者だけど、ボクが書いてるわけじゃないんだわん。そのダンジョン辞典はあくまでもマスターのスキルなのわん。マスターのMPを使用して書かれていくんだわん。というわけで、チュートリアルの続きを行って良いわん?』
黒い毛並みに茶色の麻呂眉をした二足歩行の犬のぬいぐるみはどこから取り出したのか指示棒を持って辞典の一部を指し示している。
「『アイテム』? これをなぞるのか?」
言われるがままに指先に魔力を込めてなぞると『アイテム』と書かれた部分が薄っすらと光ってリンクが作成された。
「うわっ、結構MPを持っていかれたんだが……」
スキルや魔法を使うとMPが減る。実にゲーム的なシステムだ。
『URスキルは強力な分MP消費は大きいわん。それに、無条件に万象言海スキルを使われたら執筆が間に合わなくて苦情が殺到するわん』
「そんなものなのか?」
『そんなものらしいわん。えーと、確かれーと制限があって大変とか言ってたわん。それはともかく、リンクは作成できたわんね。次なんだけど、そのリンクを――』
デザイン的に本の体裁を取っているがタブレットだ。
「あー、言わなくても分かるって。こいつをクリックすると『アイテム』について書かれたページに飛ぶんだろ。ダンジョンに眠るお宝情報を先んじてゲットできる、流石はURスキル様々だぜ……、あ、ああぁっ……」
ウキウキと『アイテム』と書かれた部分をクリックした瞬間、体の中からごっそりと何かが抜ける感覚がして眼の前が暗くなっていった――




