魔力操作の極致3
レーデの契約が終わった。
精神世界で一体何があったのか、それは定かではないがただ一つ。
レーデは今までとは違う。そんな気がした。
「俺もうかうかしてられねぇな」
「そうだねぇ。パーティのリーダーがメンバーより弱かったら示しがつかないからね」
そうだ。だから、俺も新しい戦闘スキルを手に入れなければならない。
「確か、ルーロがしたいのは瞬間的による魔力解放だったよね」
「そうだ。今まではその段階の魔力を纏ってただけだったけど、瞬間的に次の段階へと昇華して攻撃力を高めたい」
「その事なんだけど、まずはルーロの技の仕組みを知りたいんだ。解放状態とは一体なんなんだい?」
『死門』の先で手に入れる技というのは、前もクナイたちに説明したが、具体的なものとなると。
「魔力が普段どうなってるか知ってるか?」
「というと?」
「魔力は人間の力と同じでいつもは制御されているんだ。んで、命のピンチが訪れると火事場の馬鹿力的な感じで普段制御されている魔力が溢れ出る」
「へぇ。それと解放状態ってなんの関係があるんだい?」
それを説明するには、まず『死門』を開くのが手っ取り早いか。
右手を掲げると、継承した『死門』の一つ。最初に入った始まりの世界──破滅されし世界を展開する。
「ここは·····? 酷く魔力が強い。立っているのが精一杯だけど」
「ここは<破滅されし世界>といって、一つの世界の終末だよ」
濃密な魔力が重力のようにのしかかるのだが。
「この世界で〝火事場の馬鹿力〟を強制的に起こさせるんだ」
「そういう事か·····」
ドラは理解したように頷く。
「普段はセーブされているはずの魔力を火事場の馬鹿力を沢山起こさせることで普段かけられているはずの無意識の制御を壊したってことかい?」
「そうだ」
魔力操作。魔力制御を先に覚える理由がこれである。
何度も火事場の馬鹿力を経験することで壊したリミットを自分の意識で制御し直し、自在に解放すること──それが解放状態である。
「でも、それをするのにどれほど死に近い経験をしてきたんだい?」
「あー、覚えてないな。それに<破滅されし世界>はこれでも他の三つの門より優しいよ。魔力の密度が半端じゃないんだ」
「そんな修行方法で解放状態を会得したということか·····」
<破滅されし世界>を解くと、解放されたドラは考え始める。
「解放状態の仕組みは理解したよ。なら、僕がするべきことは一つだね」
思わず息を呑む。
さぁ一体どんな修行が──
「僕は見守っておくよ」
「えぇ·····そりゃねぇだろ」
修行だから張り切ってたのに。
「そんながっかりしないでよ。僕は見守るんだ。君にはしっかりと修行をやってもらうよ」
すると、パチンっと指を鳴らすドラ。
「この訓練場──もとい試練の間は僕が造った場所だから、簡単に改造が出来る」
すると瞬く間に広場が出来た。
上を見上げるととてつもなく巨大な塔みたくなっており、天井が伺えないほどに上に伸びた形状になっていた。
「ここは?」
「これは専用の修行場さ。今から、僕がここに隕石を落とす。それを避けながら──」
ドラの指さす方向にはしっかりと安全対策を取った精霊たちがいた。
「彼らに魔力弾を放ってもらう。もちろん君たち人間が扱えないような属性をもった精霊もいるよ。そんな彼らの魔力弾も同時に避けてもらう」
それってどんな無理ゲー·····?
「そんな顔をしないでよ。これでルーロの動体視力の向上と火事場の馬鹿力を経験させる一石二鳥の修行なんだ」
「でも、瞬間的な魔力の解放だぜ。これじゃあ魔力を奪ってれば──ッ!」
「気づいたようだね」
ドラは確かに人間の扱えないような属性って言った。
ということは──
「お察しの通り雷属性もいるよ。試練の内容は知ってるからね。雷属性に対応が出来ないこともバッチリと。これをずっとやるから、当然魔力も切れてくる。そんなことがないために早めに一時的な解放を会得することをおすすめするよ」
ずっとファーストだけを解放し続けていたら魔力切れで死ぬ。
かといって魔力の補給をしようともしても雷属性が邪魔するせいでそれも不可能。
圧倒的無理ゲーだが、やるしかない。
「いいぜ。かかってこいよ。一瞬で会得してやるっ!!」
「いい心意気だね。じゃあ早速始めよう。地獄の修行を──」
そして俺の修行が幕を開けた。
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