これを序章として始まる物語
あれからもう、一年の月日が流れた。
「遂に、お前も十六歳になった」
「うすっ!」
感慨深い。
あの時から一年も経ったなんて信じられない。
だが、ここで得た力は信じられる。
「ニャァッ!」
師匠と話していると、邪魔者が入った。
見たところ、アイシングキャットか。
『氷の猫』という異名を持つ、水属性の派生である氷の魔法を放ってくる魔物だ。
「うるせぇ」
「ニャッ!?」
「死んで黙りやがれ」
攻撃される前に一瞬で出来るだけ魔力を吸い尽くす。
魔物との戦いにおいて、重要な知識だ。
「お前も見違えるほど強くなったな」
「師匠のおかげですッ!」
「お前も一応、極致の域まで達している。分かっているな? アレをする時は──」
「慢心するな、ですね?」
「そうだ」
アレは別に特別な力でもなんでもない。だから、使用する時は慢心なんてしない。自分が勝つその瞬間まで集中を途切れさせるな。というのは師匠の教えである。
「案ずるな。お前は世界最強になる資質を持った、偉大なる男だ。その事に自信持って、堂々としていればいい」
「うすっ!」
今考えただけでもワクワクする。
これから俺の力が幼馴染を、世界を驚愕させるんだから、胸が躍るのは仕方ないことである。
だから、この道を歩ませてくれた師匠には感謝しかない。
「師匠っ!」
思えば地獄のような日々だった。
一週間、師匠の力を借りずに谷の最奥でサバイバル生活をしたし、師匠とのタイマンもした。死の谷に住んでいる魔物は全種制覇している。
「長い間お世話になりましたッ!」
「あぁ、何度も言うが幼馴染や周りのバカにしてくる奴らが突っかかってきたら、魔力を奪ってこう言ってやれ──」
「「──ざまぁ」」
「ですよね?」
「そうだ」
〝ざまぁ〟というのは師匠から教えてもらった。
というのも、スカッとするし、爽快な行為なのだという。
他にも師匠は俺の知らないことをいっぱい知っている。
例えば、レーデの話をした時だ。
「ツンデレなんて珍しいッ!」
いつもの師匠とは違う、新たな師匠が見れた瞬間であった。
「俺もツンデレは会ったことないな」
その時の師匠が連呼していた、この〝ツンデレ〟という言葉も教えてもらった。
その辺も師匠に感謝している。
「お前のした事は決して無駄じゃない。お前の力はお前だけのものだ」
「うすっ!」
「·····幼馴染に会ったらツンデレだけは怒ってやるなよ?」
「分かってますよ」
師匠はあれから〝ツンデレ〟だけは怒るなと五月蝿いのだ。
『その子、絶対ツンデレなだけだから。いつか、デレを見せてくれるからッ!』と何度も言われる。
別にレーデの事はそれほど怒っている訳じゃない。
あの時、レーデだけは止めてくれたからな。
「じゃあ師匠、俺は行きます」
「おう、行ってらっしゃい。話は既につけてあるから、エルサという女性を訪ねろ。多分、王都の入口にいると思う」
「うすっ!」
俺は『魔力操作』を施し、身体能力を強化する。
そして、谷を乗り越える為、思いっきり跳んだ。
勢いよく跳躍すれば、視界は見慣れた岩肌から快晴の青空にへと切り替わる。
燦々と煌めく太陽が俺を激しく照らした。
「綺麗だなぁ」
遠くにはこれから行く予定であるラーマ王国の姿が見える。
あそこにギルたちも来ているんだ。
アイツらを倒して、目指すは冒険者試験一位。
そして、世界最強の冒険者にへと、俺はドンドン成長していく。
俺の物語はこれを序章として今始まるのだ。
次章は名ずけるなら『幼馴染ざまぁ編』かな?
俺は期待に胸をふくらませながら、大地を蹴った。
もちろんこれで終わりじゃないですよ!
むしろ、次章から本編です。
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