青き騎士姫《ブルーナイト》
さて、本編が遂に始まります。
これからもよろしくお願いします。
「でっけぇ!」
俺はその巨大な都──王都・カシオスに思わず声を上げてしまった。
田舎育ちである俺には普段見慣れない光景であったからだ。
「二度目だけど、あの時とは全然違うな」
かつて一度だけ訪れた時も、幼かったためにここまで感嘆した訳じゃない。
だが、今改めて見ると、思う想いも変わってくる。
ワクワクしてきたぁ!
「おっと、その前にエルサを探さないと」
「呼んだかしら?」
なんとタイミングの良い。
声のした方向へ振り向くと、美しい女性が立っていた。
「貴方がエルサさんですか?」
「えぇ、エルサでいいわ。エリドから貴方の話は聞いてるし」
·····エリド?
「『黒き亡霊』の本名よ。それに私も今日は普段着だけれど、結構な有名人なんだから」
有名人?
そう言われて、俺はマジマジと観察してみる。
綺麗な青髪に、腰に携える細剣。立つ佇まいは背筋が伸びており、美しさを感じさせる。
もしかして──ッ!
「『青き騎士姫』ッ!?」
「あんまり大きい声で言わないの。さっきも思ったけど、貴方、思ったことを口に出しすぎよ?」
「すんません」
指摘され、周りを見ると騒ぎ過ぎたからか人目が集まっていた。
自重しなければ。
「さて、話を戻すけど。貴方の願いは冒険者試験を受けることでいいのよね?」
「うすっ!」
「なら、防具や武器を装備しなさい」
俺の今の格好は黒いマントを羽織っただけの村人みたいな装備だ。
まぁ、今のところはこれで充分だしな。
「これで大丈夫です」
「貴方、マントだけじゃ──」
「このマント、シャドウウルフの毛皮から出来てます」
「は?」
「他にも多数の装備は『死の谷』で生息している魔物の素材から作られているので、パッと見はアレですけど防御力だけは保証します」
「··········あのバカはなんてものを」
エルサが頭を抱えている。
「·····なら、いいわ。とりあえず着いてきなさい」
エルサに促され、俺は王都へ入っていった。
王都の中へ入ると、周りには人、人、人ッ!
人口密度やべぇなと思いながら、それでも必死について行く。
「ここよ」
立ち止まった先にあったのは周りとは違い、一際目立つ建築物が建っていた。
これが、冒険者ギルド·····ッ!
数多くの冒険者がこのギルドに所属し、あの伝説のパーティ『龍殺し』も所属している、俺の憧れの場所。
「嬉しそうね」
エルサが俺の姿をみて微笑んだ。
「当たり前じゃないっすか! 師匠やエルサもここに所属しているなんてッ!」
「興奮するのも分かるけど、本番はこれからよ? 貴方の詳細までは知らされてないんだから、出来るだけ私のそばを離れないでね」
「うすっ!」
俺は逸る気持ちを抑えて冒険者ギルドの戸を叩いた。
やっぱり、ここも人、人、人ッ!!
だが、先程とは違い、オーラがあった。
どの人も、歴戦や死線を潜った戦士なんだと思うと憧れと同時に、強いライバル感が胸に込み上げてくる。
俺はこれから、この人たちと背中を合わせ切磋琢磨し、最強の冒険者を目指すんだッ!
今考えただけで、オラ、ワクワクすっぞ!
「··········貴方の考えていることが分かるのだけれど」
「マジか、エルサってエスパーだったんすね!?」
「いや、顔に出てるから」
俺が〝エルサ〟という名前を口にした瞬間、オーラが殺意にへと変わり始める。
どうした? と辺りをキョロキョロすると、一人の巨漢が俺の目の前に立ちはだかった。
「おいおい、坊主。エルサさんを呼び捨てはないだろう?」
どうやら、エルサを呼び捨てにしたことを怒っているらしいな。
だが、許可は貰ったもんな·····。
「エルサ本人が良いって言ってんだ。別に構わねぇだろ?」
師匠は冒険者ギルドを説明する時、基本的な会話は荒々しくと言っていた。
なんでも、下に見られないことが重要らしい。
冒険者ギルドでは喧嘩が日常茶飯事。血気盛んな奴らが多いから、下に見られるとダメだと。
だが、丁度いい塩梅で接しろとも言われた。
毎回喧嘩してたらキリがないからだ。
すんません、師匠。
どうやら、穏便に済ませることは無理そうっすね。
「お前如きひよっ子が呼び捨てしてる事が気に食わねぇんだよ!」
「じゃあよ、俺如きひよっ子に負けるお前は、何っ子なんだ?」
「このクソガキがッ! ナメてんじゃねぇぞッ!!!」
エルサが俺を助けようと細剣を抜きだそうとする。
なので、これは俺の獲物だと分からせる為に目線を合わせる。
この間、一秒。
そしてそのまま、おっさんの魔力を刈り取るように、右手で空を切った。
「──ッ!?」
「このおっさん、倒れましたよ? だれか、助けてやってくださいっ!」
別に全部を奪ったわけじゃないので、しばらくしたら目を覚ますだろう。
突然、ごっそり減った魔力に驚いて気絶しただけだからな。
「フフっ、まさかエリドと同じとはね」
「師匠の秘密を知っているんですか?」
「彼と私は同じパーティよ。秘密を知らないでどうやって背中を預けられるというの」
伝説のパーティ『龍殺し』のメンバーはそれぞれ色に沿った異名を付けられる。
『黒き亡霊』、『青き騎士姫』のように、その風貌と色で付けられた二つ名だ。そして、このようなメンバーが残り三人いる。
何処にいるかまでは知らないが、この人たち全員に会うのもまた俺の夢である。
「貴方の力の一端。エリドと同じだけど、その程度なら、冒険者試験で一位になる事は難しいわよ?」
「エルサも言った通り、これは一端っすよ?」
「じゃあ、楽しみにしているわ。貴方の力がどこまで彼に至っているのかを·····」
そして、試験会場にへと向かったのだった。
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では『幼馴染ざまぁ編』をお楽しみください。




