王城、国王との対面1
「すげぇ、嫌なんだけど」
「多少は身なりを整えねぇと、エリドと同じだぞ?」
ギルドに連なる店『天使の御洒落』。
そこで俺は正装に身を包んでいた。
「ほら、髪も整えるぞ」
「マジかよ。俺の髪そんな悪いか?」
「お前、修行中、適当に髪を切ってただろ。流石にそれじゃあダメだ」
クリクソンもしっかりとした服装になってるし、俺もさすがにちゃんとしとかないとダメか。
「ほれ、専門を呼んだから、しっかりと切ってもらえよ」
「分かったよ」
今回は、国王に招集されたのだ。
全くめんどくさいものだ。せっかくバレないように、仮面まで作ったってのに。これじゃあ意味が無い。どうやら、サクヤやエルサが口をすべらしたようだった。盲点である。
「──これで完璧」
しっかりと専門の方に髪の毛を切ってもらい、正装も着直した。
「俺、こんな柄じゃないんだけどなぁ」
「そんなこと言うな。お前のパーティ、女の子だらけだろ。一人ぐらいは褒めてくれるさ」
「そうかなぁ」
あのパーティメンバーじゃあ、誰も無理な気がする。いや、サクヤはしっかりと褒めてくれ··········ないな、うん。ないや。
「そっちは終わったか?」
「終わりましたよ」
おっ、最初に終わったのはサクヤか。ピンク色のドレスに綺麗にまとまった金髪。さすがは王族、俺なんかより余っ程似合ってる。
「どうですか?」
「うん、綺麗だな。さすがは王族だ」
「·····そうですか。ルーロ様も似合ってます·····よ?」
何故に疑問形なんだ。
そんなにか? そんなに似合ってないのか!?
「待たせたわね」
「レーデか。早かったな」
「クナイはあと少しかかるみたいよ」
うん、髪の毛の色に合わせて、赤いドレス。いや、紅の方が表現としていいのかな。
いつもはツインテールにまとまっている髪も、おろされており、艶がある。
「ど、どうかしら?」
「綺麗なんだけど、こっちは美しいって方が合ってるかな。どっちにしろ、似合ってるよ」
「る、ルーロも··········やっぱ、無理っ!」
そう言って、サクヤの後ろに隠れた。
サクヤもなんか笑ってるし、俺、似合わないのかな? ·····いや、まだ、クナイがいる。俺のメインヒロインだし、やっぱ、褒めてくれる·····はず。
「時間、かかった」
「大丈夫。それより──」
髪の毛の色と同じ、真っ黒なドレス。そんな美しいドレスに負けない程の、クナイ。
綺麗だし、美しいしで、なんとも言えないが、総評すると──
「·····可愛いな」
「ん?」
「いや、なんでもない。ドレス似合ってるよ」
「あ、ありがとう」
突然、下を向き始めて、またもやサクヤの後ろに隠れてしまった。
「俺は、どうかな?」
「ルーロは··········言えない」
ハハッ、なんかもう嫌だなぁ。
俺ってば魅力ないのかな? こういう時って、褒めてくれるんじゃないの?
「·····なんか、もう、いいや」
「貴方、勘違いにも程があるでしょ」
呆れながら、出てくるのはエルサ。
紺色のドレスを身にまとい、妖艶さを醸し出す大人な女性なイメージだ。
「エルサも似合ってるっすよ」
「そう? ありがと。そういうルーロも似合ってるわよ」
「ありがとうございますっ!」
「泣く程!?」
初めて俺を褒めてくれた。
思えば、レーデはもちろんのこと、妹も俺のこと嫌ってたし、いつもいつもギルの事を見てたから、俺を見てくれる人なんていなかった。
田舎でもギルばっかりモテて、俺なんか、俺なんか··········。
「つ、辛い過去があったのね」
「ぐすっ、もういいんすよ。行きましょうか」
どうやら、外に馬車が用意されているらしい。用意周到な国王で良かった。いや、当たり前なのかな?
とりあえず、王城に行くとしよう。




