表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/155

Side Story 動き出す影


 一方で、暗闇に包まれた一室で、やけに陽気な声が聞こえてくる。


「はーい、では、不定期開催っ! 円卓会議を始めまーす。いぇーい、ドンドンパフパフっ」


 うざったいノリでスタートした長身で細身の男──ライナは、この場で一人、ういていた。


「うざい」

「·····ど、同感です」


 キリッとした勝気な女性であるオラクル、オドオドとしたビビり症な女の子がミランの鋭い言葉に、ライナは心のダメージを受けた。


「酷いよ、僕はこんなにも真剣なのに·····」

「真剣だったら、早く、要件を済ませてくれよ」

「んもうっ、せっかちなんだからぁっ!」

「うぜぇ」


 コホンっと気を取り直し、ライナは言った。


「同胞になれたかもしれない〝器〟が倒された」

「なに!?」


 オラクルだけではなく、ミランも驚いた様子だ。それほどまでに、今回、ライナが言った事実は予想だにしない事態なのである。


「ナラミくんとアクツくんは覚えているかい?」

「あの、イケメンな男の子ですか?」

「そうっ! そんなイケメンくんたちが必死に生み出した〝器〟が倒されちゃったってわけ」


 ライナの〝生み出した〟という言葉にオラクルが過剰に反応する。


「もしかして、魔王因子術式で生み出したのかっ!?」

「そうだよ?」

「ばっかじゃねぇの!?」


 オラクルは激しく怒った。


「力は無限じゃねぇって分かんねぇのかな。有限だし、貯めるのも精一杯なのによぉ!」

「気持ちは分かるけど、落ち着きなよ」


 ライナのなだめも、オラクルには通用せず、続けざまに怒りを吐露する。


「魔王因子術式って言うのは、恐怖から生まれた〝魔王因子〟を使うって、知ってんだろ!? しかも、それで産まれた〝器〟が倒されてんじゃ、無駄になってるだろーがっ!」

「はいはい、説明ご苦労さま。いちいち、説明しなくても皆知ってるから」

「知ってたら、魔王因子術式を酷使しねぇだろっ!」


 キリがないようなので、ライナはミランを頼った。


「よろしくしていい?」

「分かりました。《混乱》」

「·····あれ? なんで怒ってんだ?」


 ようやく息をつけた二人は、本題に戻した。


「んで、〝《破滅》の器〟が倒された原因を探りたいんだけど──」

「それは、アイツじゃないのですか?」


 アイツというワードにまたもやオラクルが反応しそうなので、ライナが口を抑え込む。


「もうこれ以上話を脱線させないの」

「んー、んーっ!」

「はぁ──《眠れ》」


 瞬間、オラクルは眠りについた。


「オラクルさんを落ち着けるのに魔王因子術式を使ってんじゃ、意味ないのよ。とりあえず、ミランちゃん、話を続けるけど、確かにアイツって考えるのが妥当なんだよね」


 二人が考えているのは、ある男である。


「魔王様が倒されてはや千年。僕たちが目覚めたのが百年前、力を奪われたのが五年前かな? 全く、忌々しい男だよね。アイツって」


 ライナは一見、へらへらしているが、その裏では激しい怒りをあらわにしていた。

 それはミランも感じ取ったようで、ビクビクしてる。


「あっ、ごめんね。怒りが抑えられなくて」

「はい、私も分かりますから」


 ミランも怒りが魔力に現れて、荒々しく一室を埋めつくしている。


「一番怒ると怖いのは、ミランちゃんだよねぇ」

「そんな事ないこともないですよ?」


 そして笑みを浮かべるが、やはり怖い。

 やっぱり、見た目で判断することはいけないらしい。


「そんなアイツは何処にいるのですか?」

「それが、分からないのなんの。何処に隠れているのか、しっぽも出さないんだから、大変なんだよねぇ」

「·····そうですか。(チッ」

「今、聞きたくない音が最後出てたよっ!」


 オラクルのツッコミをスルーしつつ、ミランは今後の予定を聞く。


「じゃあ、どうするつもりですか?」

「んー、アイツの件は僕に任せてよ。ミランちゃんは好きにしてていいよ」

「仮想魔界しか顕現出来ないですけど、出来るんですか?」

「うん、任しといてよ。僕も五年間、何もやってこなかったわけじゃないんだ」


 そして円卓会議が終わった。

 オラクルはそのまま置き去りにして、ミランは自慢の翼を生やして飛んでいく。


 それを眺めながら、ライナは一人呟いた。


「久しぶりの僕の本気。《逃避》の名にかけて、アイツは──()()()は絶対殺すよ。僕たちの力を返してもらおうかな?」


 不敵に笑ったライナの顔は、轟く雷鳴の光によって遮られたのだった。

これで物語は一段落ですね。

これからも不定期なのは変わりありませんが、よろしくお願いいたします。


下の✩✩✩✩✩から評価を。

ブクマ登録をして下さると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ