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突き進め頂点へ! 日本競馬のゆめへ!  作者: シャルシャレード
2章 3歳
36/37

ホワイトジェムの次走

ーーーダービーの興奮が冷めやまぬままの2日後の火曜日、大田と松崎、そして清弘が話し合っていた。


 『次走はどうしましょうか。』

 松崎が大田に切り出す。


 『私としてはダービーを取れたので次は菊をという思いがあるのですが。凱旋門賞に出て力を試したいという思いもあります。清弘くんはどう思う?』

 大田が答える。


 『私としても菊花賞を目指そうとは思いつつもアドバンテージが得られる3歳のうちに行ってみたいという気持ちがあります。』

 清弘が少し考えてから答えた。


 『そうだな、それも考えられるが…。』

 松崎は詰まる。


 今この3人が悩んでいるのはホワイトジェムの次走のことである。従来であればダービーを制したあとは休養に入り、秋の戦線、菊花賞や天皇賞秋に向かうというのが主流であった。

 しかし、今は3歳でフランスで開かれる凱旋門賞に行くというプランもある。これは3歳のうちに行けば、斤量が軽くなることが要因と考えられる。1キロ違えば1馬身変わると言われる競馬でこのアドバンテージは非常に有効なのだ。条件面で古馬相手にかなり有利に立てる。そのため昨今の日本競馬界では3歳春シーズンに好成績を収めた馬が海外遠征を行うといったことも増えてきてはいる。

 ただ、ここに3人が考える不安要素がある。


 『ただ、3歳馬の遠征で好成績を挙げた馬っていないですよね…。』

 清弘は呟く。


 『そうだな、24年遡ってようやく3着に入った馬が見つけられる程度だ。』

 松崎が眉間にシワを寄せる。


 『馬場適性的にはヨーロッパ向きだと思うんですけどね。ホワイトジェムは。』

 清弘はホワイトジェムの重い馬場での走りとヨーロッパ的な血統を踏まえる。

 日本馬が凱旋門で最も苦しんでいる要因であろう深い芝への適性。凱旋門の芝はとにかくパワーが必要で、高速馬場と言われるようにパワーが無くてもスピードで勝ててしまう日本の馬場で強い馬とはとことん相性が悪いのである。

 清弘は、ホワイトジェムの母父はヨーロッパ種牡馬がいくつか掛け合わせてあり、今までの走りを見ても、パワーのある馬場にも適応出来ると考えた。


 『そこは大きいとは思うけど、正直馬体の成長を見てからでもいいんじゃないかと思うが。それに輸送の問題もあるしな。』

 松崎は清弘に反論をする様に言葉を発した。

 特に成長の余地を残している可能性のある3歳では勝ち負けにならないという可能性も大いにある。

それに加えて長距離の遠征のため、馬が体調を崩してしまうたまいやすく、そこもネックにはなっている。


 そこから、考え込んだため、しばらく無言の時間が流れ、大田が口を開いた。

 『凱旋門賞、行きませんか?』


 『本当ですか。』

 松崎は困惑と喜びが入り混じったような顔を浮かべる。


 『はい、ホワイトジェムのような最高の馬と巡り合えることはもう一生ないかもしれない。その馬でチャレンジしてみたいなと思いまして。それに、清弘くんが凱旋門賞に行きたそうな顔をずっとしていましたんで。』

 

 清弘はそれを聞いて苦笑いを浮かべる。

 『そんな顔してましたかね。』


 『うん、それを見てチャレンジしてみる気持ちが一気に湧いてきたよ。』

 松崎は、顔のシワをさらに深めるようにして笑う。


 『では、秋の大目標は凱旋門賞ということでよろしいでしょうか?』

 松崎は大田に聞く。


 『はい、よろしくお願いします。ホワイトジェムを世界一にして下さい。』

 大田さんがそう言いながら手も差し松崎と固く握手をする。


 『はい、全力で頑張ります。世界一になりましょう。』

 松崎は真剣な眼差しで返事をする。


 『清弘くんも、よろしくお願いします。』


 『はい、必ず期待に応えて見せます!』

 清弘の心の中は嬉しさで一杯になった。


 

 必ず期待に応える。そして、日本競馬を世界一にする。清弘は心の中で強くそう思った。


 

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