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プロローグ

ということで、どちらかと言えばブックマーク登録をしてくれた方が多かったこちらを連載することにします。とはいえ、微々たる量でしたが………


最初に注意書きとして、この主人公あんまり強くないです。というか、ぶっちゃけ負けまくると思います。強さ的には微妙なところ。せいぜい盛りに盛って、中の上レベルの強さです。無双系主人公や何の苦労もしない主人公の方が好きな方は読まないことをお勧めします。

主人公が死ぬほど努力したり、逆境に立ち向かうような話が好きな方だけお進みください。


また、序盤は修行編となっているので、ご注意ください。ヒロインもなかなか出てきません。


それでは、『神器作成者は裏方でいたいようです』スタートです。


10/31追記:異世界編に突入しました。異世界にとっとと行ってくれ!な方、お待たせしました。

 「……忙しい!」


 思わず手にした道具を投げ出して、その場に倒れ込みたくなる。いや、しないけどさ。それしたら、師匠にぶっ飛ばされそうだし。そうじゃなくても、仕事はカツカツのスケジュールなのだ。

 いや、もう本当に。カッツカツのギッチギチなのだ。ここ最近徹夜続きで、目の下にどでかい隈ができてるぐらいである。寝そうだったから鏡見に行ったら、そんなだったわけだから笑えるよね。


 「うぐぐ……好きなことができるのはいいけどさあ………」


 せめてもうちょっと余裕が欲しいとも思う。こんな予定だと、満足なレベルでの改造や開発が行えないし、それイコール現状維持で止まってしまうのだ。このペースじゃあ、目標まで何十年かかるやら。というか、僕が生きてる間になんとかなるのか?ってことである。


 「もうちょっと人手が欲しいなあ……せめてメカのメンテぐらいはしてもらえれば、新型機も作れるってものなんだけど………」

 「おい、何やってんだ?」


 肩を叩かれたので、首だけそちらに向ける。ぶっちゃけ今の作業、見なくてもできるし。手の感覚が物を言う作業だからねえ。いちいち止めてたら、後の作業に大きな影響が出るし。どの道、作業は続けなくちゃいけないのだ。……悲しくなってくるけどね。

 後ろに立っているのは、大柄な女の子だった。頭からは角が生え、肌は人間のそれよりやや赤い。体つきもちょっと筋肉質だ。ムキムキマッチョ、ってわけではないのだけど。僕と比べて、身長差はかなりあるから見上げざるを得ないんだよね。


 「どしたの、フェルト?また武器壊した?」

 「ちげえっての。独り言言ってるから、声掛けたんだよ。ひでえ面だな」

 「まー、ここんとこまともに寝てないし。仮眠ぐらいは取りたいかな?」


 フェルトは見ての通り人間ではない。種族的には鬼人族、という種であるらしい。この世界では一緒くたに亜人と呼ばれているらしいけど、元々それは蔑称であったために、そう呼ばれるのは嫌がる子が多い。フェルトは気にしないタイプ。だって、気に入らなかったらすぐに手が出るし。……何の解決にもなってないか。


 「……ふーん?お前でも休みたいとき、ってのはあるんだな」

 「そりゃね。そうしないと凡ミスしかねないし、それで人が死んだら大変だ。こっちは命預けてもらってるんだから、そこいらはきちんと整備しないとね」

 「あ、そういう………」

 「それに、新型の開発なんて自由時間じゃないとできないし、新しい食事のメニュー考えて、食堂のシステムに登録しなきゃいけないし。あっちこっちでいざこざ起こってるみたいだから、そっち行くのにも時間割かなきゃでしょ?あと、生活面で何か不便ないか、種族ごとに聞いて、それから各方面の付き合いのために食事会に顔出して………」

 「わかった、もういい」


 フェルトは呆れたような顔をして、盛大にため息をついていた。むう、確かにマシンガンみたいに話してしまったかもしれない。反省しないと。


 「……ハナから休む気はねえんだな………そういうとこは素直に感心しちまうよ…………」

 「……?どったの?」

 「んにゃ、なんでもねえ。とりあえず、頼まれてた素材でも取って来る。それと、飯も持って来てやんよ」

 「あ、それ助かる。お願いね」


 フェルトにお礼を言って、再び作業へと逆戻り。今日中に全機体のメンテと武装の補填、チェックは最低限として、ノアの異常確認、あと生身で戦ってる子たちの武器の点検、必要なら補修もやらなきゃだし。数も膨大だから、休む暇なんて一ミリだってない。

 今日も今日とて、徹夜パーリーだぜ!とやけくそになりながら、鼻歌混じりに作業を終えていく。慣れた作業だから、別にそこまで難しいわけではないし。1つ1つに関して言えば、そこまで時間は掛からないんだ。……数が無駄に多いだけで。


 「よ。忙しそうだな」

 「そうだねえ。この様子だとあと2徹は覚悟しなきゃなんだよねえ」


 ここんとこ、徹夜続きで身体に掛かる負担は大きいからね。ぶっ倒れたら一大事……どころか、ここが回るのか怪しくなってくるので、倒れるわけにもいかないのだけど。仕方なく、栄養ドリンクで無理くりブースト中なわけですわ。

 ひょい、と顔を覗かせたのは、褐色の肌をした女の子。天然物の白い髪の毛に、アメジストのように綺麗な紫の瞳。こちらはスレンダーな体型で、腕や足も細い。……胸もやや小さめ(本人の名誉のため、ややということにしておこう)なのだけど、それは口に出しちゃいけないことだね。まだ死にたくはないし。てか、死んだらえらいことになるし。


 「で、ティオ。何しに来たの?セクハラ?」

 「んだよ、嬉しくねえのか?これでも結構な美女だぞ、あたしは」

 「いや、それには同意するけど……全面的に同意だけど」


 悪戯っぽく笑い、胸を押し当てて来る彼女を見て、僕は困った顔を向ける。そりゃ自分で言うだけはあるし、かなり初期からの付き合いもあって、性格的に見ても可愛いとこはある。それは否定しない。でもね?


 「今作業中。手が滑って怪我でもしたら大変でしょ?せめて、終わってからにしてよ」

 「終わるの待ってたら、2日掛かるだろ。あたしは今触りたいんだっての」

 「そりゃそうだけどさ………」


 言ってる間にも、ペタペタと僕の身体を触ってるし。セクハラ訴えたら勝てるんじゃない?ってぐらいの触り様だよ。裁判官もいなけりゃ、モラルもへったくれもない世界ではあるんだけどさ。


 「ティオさん。ご主人様が迷惑を被っているでしょう。今すぐ消えてください」

 「あ、リューさん」


 新しく増えた声は、僕の面倒を見てくれている人のもの。や、ちょっと語弊があるか。ティオもリューさんも、人間ではない。分類的には、さっきのフェルトと同じ。亜人と分けられるかもしれない。というか、リューさんに至っては亜人ですらないし。

 ちらり、と目線を向ければ、今日も完璧に衣裳を着こなしている、金髪でやや切れ目の碧眼美人さんがいた。こちらはティオと比べると、胸は大きめ。フェルトには勝てないだろうけどね。ま、あれは反則みたいなもんだし、気にしなくてもいいと思う。着込んでいるのは、いつものようにメイド服……メイド服をいつもの、という辺り、少し狂って来てるかもなあ。


 「ああ?てめえこそすっこんでろよ、冷血メイド。あたしは忘れてねえからな?」

 「はて、何のことでしょうか。近頃、ご主人様のことで頭がいっぱいでして。いちいち覚えていませんね」


 敵意全開のティオに対して、リューさんは涼しい顔。この二人、というか、フェルトも含めて三人だけど、すごく仲が悪い。険悪という言葉すら生ぬるい、って感じだし。ほとほと困ったものなんだよね。理由がわかってる分、尚更性質が悪い。


 「ほらほら、そこまでにしてって。何か用があったんじゃないの、リューさん?」

 「ええ。食事の時間ですので。軽食をお持ちしました」

 「え、ほんと?ごめんね、助かるよ」


 リューさんの作る料理は美味しいし、そもそも誰かに作ってもらえるだけで幸せなものだし。ありがたく受け取ることにした。今、手は離せないけどね。あはは、と苦笑いしながら、あとで食べさせてもらうよ、と言って作業に戻ろうとする。のだが、そこで終わらせないのがリューさんクオリティー。ガッ!と顔を掴まれ、無理矢理リューさんの方を向かされた。


 「食事が先です」

 「え、いや、作業終わらせないと………」

 「食事です」

 「あのね?」

 「食事が、最優先、事項です」

 「……………………はい、食べます」


 その瞳に断固たる意志を見てしまった僕は、頷かざるを得なかった。前に聞かないで、そのまま放置していたら、気絶させられた経験があるし。前のときは寝ろ、ってことだったけど。


 「それでいいのです。しかし、忙しい身ということもわかっています」

 「おお、それはありがたいよ」


 前みたいに有無を言わさず、強引にどうこうされるのかと思ったよ。やっぱり話し合いって大事なんだね。そして、人は成長できるものなんだね。内心軽く感動していると、手にしていたランチボックスから食べ物を取る。中身はおにぎりだった。サンドイッチだとパンくずがこぼれることがあるしね。気を遣ってくれたのかもしれない。それをそのまま差し出して来た。


 「……ええと?」

 「……?ああ、言葉が必要でしたか?あーんです」


 ……まさかバカップルがやりそうなことを経験するとは。自分には縁がないものだと思ってたのに。とはいえ、手が使えないこともあるし、リューさんの危険が迫らないこともあるので、この方法しかないのかな。と思いつつ、食べさせてもらうことにした。なにせ!作業が!終わらないからね!


 「数はあるので、お好きなだけどうぞ」

 「ああ、うん、ありがと」


 素直にお礼を言って、次のものへと食いつく。意識すれば現金なもので、キュウとお腹が鳴り出した。そういえば昔はやり過ぎて、空腹感で倒れたこともあったなー、と考える。その間も手は動かしてるけど。

 と、そこでもう一つおにぎりが差し込まれて来た。誰がやったのかはわかってはいるものの、確認のために目だけは向ける。……予想通り、ティオだった。


 「……勝手に取らないでもらえますか?」

 「ああ?別にいいだろが。それに、あたしにしてもらった方が嬉しいだろうし」

 「それはありませんね」

 「んだと!?」


 互いが胸倉を掴みかねないような勢いで睨み合う。ああ、もう……といつもの光景に、僕はため息をついていた。


 「ほら、別に食べれるからいいよ。食べ物を無駄にするわけにもいかないでしょ?喧嘩はやめといてって」

 「いや、だけどよ………」

 「ティ、オ?」

 「………………………わかったよ」


 渋々頷く彼女に頷いて、作業と食事を再開する。ちょっと手を止めたから、スピード上げないと。

 と、そこで恐ろしいまでの気配が現れる。帰って来ちゃったかあ、と視線を上げれば、殺気立った様子のフェルトがいた。手にした2人分の食べ物を見ると、フェルトも一緒に食べるつもりだったらしい。で、そこにティオとリューさんがいて、(傍から見れば)ラブラブにやってるわけだから、キレそうということである。ううむ、どうするか。


 「よし。死ぬか?」

 「ちょっと待とう。落ち着いて話し合うことが大事だと思うんだ」

 「問答無用!」

 「うわ、四字熟語覚えた!そんなに怒ってるの!?」


 フェルトって脳筋入ってるとこあるのに、と感心した。強い怒りは時として、物の習熟を早める効果があるらしい。まあ、頼んだのは僕だし、一発は仕方ないか。気絶はしなきゃいいんだけど。

 ぼんやり考えつつ、作業だけは続けてる。だって、止めたら終わらな(以下略)。


 「させると思っているのですか?」

 「リュー……ちょうどいい。お前から潰してやるよ………」

 「ハッ、おもしれえ。あたしもやってやんよ」


 けど、そのパンチはティオとリューさんに止められる。三人は火花を散らし、今にも喧嘩を始めそうだった。これはもう止められないな、と思ったので、念押しだけすることにした。


 「よそでやってね。怪我だったり、ましてや殺すなんてことはしないこと。OK?」

 「ああ」

 「りょーかい、っと」

 「畏まりました」


 三人はここから出ていき、気配が消える。まあ、いつものように闘技場階でバトってるんだと思う。初めは止めてたけど、無理だとわかってからは基本放置。お年頃の女の子だから、ストレス発散するのも必要だよね、と納得させた。


 「ポイントガッポガッポなのです!今日も頑張ったのです!」

 「あ、あはは……あ、お疲れ様です」

 「お疲れー、あとおかえりー。怪我してない?」

 「してないのです!」

 「は、はい。今日も機体の調子がよかったので」


 顔を上げると、またもや女の子。というか、女の子率高くない?世界が世界だし、仕方なくはあるけどさ。

 ピンク色の髪の毛に、小麦色の肌。人懐っこそうな笑顔を浮かべた少女の頭には、人間のものではない耳がピコンと生えている。後ろに回れば、尻尾も生えてるだろう。彼女は獣人。これまた亜人の一種で、彼女は猫の獣人だった。

 一方で、気弱そうな子は耳がやや尖り、雪のように白い肌をしていた。髪の毛は薄く色はついているものの、遠目からには白くしか見えない。近くでまじまじと見れば、やや紫が混じっているのはわかるのだけど。そして、口を見れば、人のそれよりは少し鋭い犬歯が覗いている。彼女はハーフデーモンと呼ばれる種であるらしい。初めて会ったときは、それはそれは大変だった。


 「メンテは行っとくから、ご飯食べといで。お腹空いたでしょ?」

 「おお、助かるのです!ほらほら、早く行くのです!」

 「ま、待ってってば……そ、それじゃあ、お願いしますね」

 「はーい、お任せあれ。きちんとしっかり、パーフェクトに仕上げておきますよー」


 にゃはは、と笑って、二人を見送る。こっちは平和で何よりですよ。さっきの三人は殺伐とし過ぎてていけないのです。と誰かさんの真似をしつつ、最後の仕事を終える。これで一区切りつけられるかねえ。置いて行った食べ物を食べながら、次の予定を確認していく。次はエース機のメンテか、と立ち上がれば、ちょうどいい具合に声を掛けてくれた。


 「ヨロズ殿。少しいいか?」

 「あ、団長さん。メンテなら今から行くとこだよ」

 「そうか、それは助かる。相談したいこともあったのでな」

 「ほいほーい。それも含めて、チェックしに行きますかね、っと」


 ランチボックスと持って来てくれた昼食を食べ終えて、食器を置いておく。戻ってきたら、リューさんが片付けるだろうし、片付けてなかったら自分で返せばいいし。今は放置だね。

 居住区画に繋がる通路を見れば、今日もたくさんの人が行き交っている。それを見て、少し嬉しく思った。努力は実っているんだな、と。


 「ヨロズ殿?」

 「ああ、いや、ちょっとね。今行くよ」


 可愛い、や綺麗、よりはカッコいいが似合うような団長さんの後を追い、次の仕事へと繰り出していく。

 この生活が始まったのは、そう。あの神様に会ったときからだった………

今回はプロローグを含め、一気に5話更新させてもらいます。更新は不定期になるとは思いますが、気に入ってくれた方はお付き合いいただけると幸いです。

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