【第12話】 初クエスト!
「うぉおおオォーー!」
・・・突然だが、今、俺は逃げている。
なんでこんなことになったのか。
ー2時間前ー
資料室を後にした俺は、早速1階のクエストボードで木級でも受注可能なものを物色。
その中から、比較的安全と思われる収集系クエスト「月見草」の納品を受注することにした。
当然スキンヘッドの窓口でな。
月見草は、このあたりでは町の北西にある小高い丘の上にのみ群生する植物で、薬草の一種となるそうだ。
依頼書には丘の場所の詳細と、草の特徴である薄紫色の葉のイラストが書かれている。
それを200g程度とのことで、報酬は1銀貨。
クエストの受注証を受け取り、協会を出た後、早速クエストに向かう・・・前にちょっとした準備と情報収集を。
スキンヘッドから聞いた雑貨屋へ向かう。
そこでまずは紙とペンを買う、5銅貨なり。
このゲーム、クエスト情報もさっきの資料室の情報も全く表示しやがらねえ。
そんなもん、忘れるだろうが、ってことでアナログにも程があるが、メモすることにした。
羊皮紙とか羽ペンじゃなくてよかったよ、本当に。
ってか、紙とペン売ってる時点で、これも仕様の内ってことか。
そして、回復薬。
一応回復の奇跡は取得したものの使い勝手が分からん。
標準的なものが欲しいと言ったら1個1銀貨だった。
結構高かったが、効果も確かめたいので購入。
そして、盾に通すための頑丈そうな紐を1銅貨で購入。
これで両手が使えるようになる。
よし、とりあえずの準備は整った。
町の北側の門から、いよいよフィールドに出ることに。
資料室にあったとおり、魔物襲撃を考慮されてか、外壁は高く厚い。
門番に協会員証を提示し、依頼による外出であることを伝える。
月見草の丘と思われる場所は、割と周りからわかりやすい場所にある。
そこに向かって30分〜1時間ほど町から北西に向かって歩き、丘の下に到着した。
太陽?はほぼ真上。
昼ごろかなと思いつつ、丘を登っていく。
街道を逸れてからこれまで、人影もなく、魔物にも出くわさなかった。
暇だな、と思いながらも登っていき頂上へ。
そこには目的の月見草が群生していた。
月見草の採取は草全体ではなく、葉だけで良いようなので、刈り取って採取することした。
「ざっ。ざっ。ざっ・・・・」
鞘から剣を抜き、黙々と刈り取る。
少し多めに採取しとこう。
・・・
・・
・
よしこんなもんだろう。
ここで、袋がないことに気づく。
しまった。
まあ、アイテムボックスに直入れすればよいとは思うが、入れたほうがバラけなくてよかったな。
採取した月見草を手に、アイテムボックスへ収納するイメージをする
・・・・お、月見草が粒子化して消えた。
視界のアイテムボックスにはちゃんと銀貨、リンゴ、協会員証、筆記用具、回復薬、月見草が表示された。
OKだ、あとは帰って報告。
早速丘を下っていく。
ガサガサガサ・・・・
右側の草地の方から物音が、と次の瞬間。
「ギャギャ!」
体長1m強程度だろうか、人型の物体が手にした棒状の木を振り回してこちらに突進してきた!
「うぉ!」
とっさには剣も抜けず、盾も紐から上手く抜けない。
視認した瞬間、とりあえず真横に翔んだ。
・・・幸いソイツはそこまで俊敏では無いようで、俺のとっさの横っ飛びに追随できずたたらを踏む。
一瞬の膠着状態。
すかさず、俺は剣を抜き下げ、盾を正眼に構える。
ソイツは尖った耳と吊り上がった目、土色の肌。
いわゆるゴブリンってやつか?
「ギャ!」
仮称ゴブリン・・・面倒だからもうゴブリンでいいや、は右手にもった木の棒を振り上げながら再びこちらに向かってくる。
武器を振り上げているため、軌道は読みやすく、動きもまるで人間の子どものようだ。
よし、盾を試すか。
「ゴン!!」
正眼に構えた盾と両足に力を入れ、木の棒を正面から受ける。
硬質な皮の盾は見事、仮称ゴブリンの攻撃を防いだ。
力もそこまで強くないのか、全く痛みも感じない。
「ギャ!ギャ!」
ゴブリンは、自分の攻撃が防がれたのに怒ったのか、両手を上げて叫んでいる。
次は、と。
・・・攻撃だ。
問題は攻撃力、そして反撃のリスクだな。
セオリーだと、防いで攻撃、避けて攻撃、パリイで攻撃ってところか。
ーぶんっーぶんっー
片手剣を下から振り上げて、振り下ろす。
問題ない。
「ギャ!」
怒っていたゴブリンが再び木の棒を振り上げて襲いかかってきた。
単調だな。
俺は再び、盾を正眼に構えて迎え撃つ。
「ゴン!!」
先ほどと同じ衝撃。
ゴブリンは盾の衝撃でややのけぞっている。
今だ。
右手の剣を水平にし、刺す形で、のけぞったゴブリンの喉元へ押し出す。
骨らしき硬い感覚になった瞬間、右に裂く。
ゴブリンの首からドス黒い血液がこぼれ落ちる。
「ギャ!ギャャーーー・・・・」
一発か。
ゴブリンは断末魔とともに首を押さえつつ、仰向けに倒れ込んだ。
・・・さて、初戦闘だったが、経験値とかどうなる?
様子を見ていると、ゴブリンが粒子化していく。
そして黒いクリスタルだけが残った。
・・・自分自身に何も変化はなしか。
黒いクリスタルを手に取る。
すると黒クリスタルもゴブリンと同様に粒子化を始めた!
「これも消えるのかよ?!」
粒子化した黒クリスタルが、俺の方に向かってくる。
それは、胸のクリスタルに吸収されるように消えていく。
これは・・・・経験値、だよなあ。
まさか、魔物化とか、魔物属性値、とかは流石にねえよな。
今のところ、魔物を倒す、黒クリスタルから経験値を自分のクリスタルに貯める、という理解でいておこうか。
ガサガサガサ・・・
先ほどの仮称ゴブリンが出てきた右の草むらから物音が。
ん?
またか?
「ギャ!ギャ!ガーーー!」




