5「魔法具と魔獣」
倉庫の片付けに戻ってきたはいいが、やっぱり
物が多すぎる。その大半が何に使うか分からない物だから余計に選別が難しい。
「ん?なんだこれ」
首…輪?だろうか。それも動物用っぽい。
犬でも飼ってるのか?
「坊主、そりゃただの首輪じゃなくて魔法具だからな。気をつけろ」
「え?」
突然後ろから声をかけられた。
誰だ…?この人。
サーカスの人なのだろうか。
「坊主が新しく雑用で連れてこられたっていう奴隷だろ」
「あ、は、はい。フェアベルゲン・ガルバザールと申します。よろしくお願いいたします」
「ガルバザール?団長がつけたのか?その名前」
「え?はい。そうですけど」
「ハッハッハッ!全く何考えてんだか。どこに奴隷に自分と同じ名前つけるバカがいるんだよ」
「は、はぁ」
すごい笑ってる…なんなんだまじで…
「わりぃわりぃ、名乗ってなかったな。俺はシュマイヒラー・レイサス。シュマイヒラーって呼んでくれ。担当は魔獣使い。よろしくな」
魔獣使い…か。やっぱりサーカスの仲間だったようだ
「はい。よろしくお願いいたします」
「聞いたところによると記憶喪失なんだって?」
「はい…自分の事はおろか、この世界の事についてもほとんど何も覚えていないんです」
「そうか。お前も大変だな。じゃあ魔獣だ魔法具だって言われてもわかんねぇか」
「そ、そうですね…」
「っし。ならシュマイヒラーお兄さんが教えてやろう」
「ほ、本当ですか!是非お願いします!」
「お、いい食い付きだ」
これはラッキーだ。
魔法具も魔獣も内容を知れれば魔法についての知識が増えるかもしれない。
「まぁそうだな。まずは魔法具だな。魔法はわかるか?」
「はい。今日からファータに教わってます」
「そうか。なら話は早え。魔法具は簡単に言えば魔法が込められた特殊な道具の総称だ。魔法具には常時発動型、起動型、使用型と三つの種類がある。常時発動型は込められた魔法が常に発動状態になっているものを指し、起動型はキーワード、又は一定の魔力を込める事で発動する。使用型は一度使用すれば崩壊してしまうとそれぞれ特徴が異なるんだ」
「なるほど…」
「次に魔獣な。この世界には魔物と呼ばれる魔力で体が構成されている凶暴な生物がいる。魔獣は魔物の中でも知能が低い動物的な物を指す名前だ。基本的には凶暴だが手なずければちゃんと言うこと聞くぜ」
魔物か。なんだか怖いな
「以上が魔法具と魔獣の説明だ。わかったか?」
「はい、丁寧にありがとうございました」
「 いいんだよ、このサーカスに来たら雑用だろうがなんだろうが仲間だからな。仲良くしようぜ。あ、ちなみにその魔法具は躾用だ。試しに手に持ったままにしててみな」
「は、はい」
「ニヒトグット」
ビリビリビリビリッ!
「痛ってぇ!」
シュマイヒラーが単語を発した途端電流が身体中に流れた!
めちゃくちゃ痛い!
「はっはっはっ!びっくりしたか?これが起動型の魔法具だ!」
びっくりしたか?じゃねぇよ!
痛ぇじゃねぇか!ふざけんな!チャラチャラ野郎が!!
「そーんなおっかねぇ顔すんなよ〜」
「何やってる…シュマイヒラー…」
「うおっ!びっくりしたぁっ!?脅かすな!ヒルテン!」
ん?誰だ?またサーカスの人?
「新しい魔獣の躾をするんだろ………檻の扉開けっ放しになってた……それでヒッツさんが…ブチ切れてた…ぞ…」
「ま、まじぃ!?しまった!」
「あ、あのぉ…そちらの方は?」
「ひっ、ひぃぃい!誰だ…!お前は….!」
顔がとんでもなく真っ青になったぞ?
大丈夫か?
「こ、こ、こ、こ、子供…?!ひ、ひ、ひぃぃぃぃ!」
「お、おい!待てよ!ヒルテン!」
「あ、あれぇ…?」
走って行ってしまった。
僕が何かしてしまったのだろうか…
「ったく。仕方ねーなぁ。あいつはヒルテン・シュー。俺と同じ団員だ。人見知りが凄くてな。初対面相手じゃいつもああなっちまう。アリスとは別ベクトルで人見知りだから色々厄介だぜ…全く」
「な、なるほど…」
このサーカス…人間関係での苦労が多そうだな…
「っと、忘れるとこだった!その首輪貰ってくぜ。とっとと調教しねぇとヒッツさんにどやされんのはごめんだからよ!んじゃまたな!フェアベルゲン!」
「は、はい!色々とありがとうございました!」
「おう!」
走っていってしまった。
台風みたいな人だったな…。
まぁでも新しい知識を手入れることはできたし、サーカスのまだ見ぬ一員も知れた。
魔法具に魔獣か…。それに魔物。
もっともっと知識を増やしていかないとな。
この本に書かれた魔法についてもちゃんと色々見ておかないと。
よし、頑張るぞー!!
あ、そうだ
僕の仕事は…倉庫の片付けだった…
6話に続く




