第三十三話 殿下のお願い
殿下は一旦言葉を切った後、続ける。
「わたしはあなたにお願いしたいことがあります」
とても真剣な表情。
緊張しているようだ。
何をおっしゃろうとしているのだろうか。
もしかして、
「今夜わたしと一緒に過ごしてほしい」
とおっしゃるのだろうか。
もしそうおっしゃられたとしたら……。
一緒に過ごすということは、ただ、お茶をするだけのことではないだろう。
殿下とキスをして、二人だけの世界に入っていく。
そう思うだけでも、心が熱くなってくる。
でも、わたしでいいのだろうか、という気もする。
今のわたしは、身分的に殿下とは釣り合わない。
それでもわたしを求めてくれるのであれば、これほどううれしいことはない。
身も心も殿下に捧げていく。
恥ずかしい気持ちは大きいが、それを乗り越えなければならない。
そう思っていると、殿下は、
「今までわたしが出会ってきた人々の中でもトップクラスの人材だと思います。あなたには知識と提案力があります。それを生かして、この王国の活性化の為、力を貸してくれないでしょうか」
と言った。
思いもかけなかった話だ。
わたしは少しガッカリした。
殿下と一夜をともにするかもしれない、という夢想をしていて、そういう話がくることをほとんど予想していなかったからだ。
でも仕方がない。
まだまだ殿下とわたしは、そこまでの仲になるには時間が必要なようだ。
殿下は続ける。
「あなたはこれからわたしと一緒に王宮に行き、そこで、私付のアドバイザーになってもらいますと思っています。王太子付アドバイザーという正式な役職です。そして、王宮の中にある空き部屋に住んでいただきたいと思っています。お受けいだたけないでしょうか?」
殿下に評価をしていただけるのはうれしい。
でも……。
「わたしは、身分的に無理ではないかと思います。王宮で仕事をするのは、それなりの身分が必要だと思いますので」
わたしがそう言うと、
「身分などというものは関係ないです。わたしは、あなたに大きな可能性があると思っているからこそ、この話をさせていただいているのです」
と殿下は熱を込めて言う。
殿下のお気持ちはうれしいけど……。
「わたしのことについて、まだほとんど話をしていなかったので、話をさせていただきます」
わたしはそう言って、自分のことについて話をし始めた。
婚約破棄をされたことや追放されたことを言うのは、つらいものがあったが、自分の今の状況は伝えておかなければならなかった。
今は追放されて、貴族ではないわたし。
この状況を聞けば、
「やっぱり貴族でないと」
と言われてしまうかもしれない。
いや、
「こんな人だったとは……。幻滅してしまいました。あなたにはアドバイザーは無理ですね」
と言われる可能性だってある。
それだけでなく、
「わたしはあなたのことが嫌いになりました。今すぐここを出て行ってほしい」
と言われることもないとは言えない。
しかし、わたしは殿下に婚約破棄と追放のことを話した。
もしそれでもわたしを受け入れてくださるのであれば、王国と殿下の為に一生懸命尽くしていきたいと思っていた。
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