Story memoryⅧ
広場から離れ…気がつけば湖畔にいた。
泉の近くに植えられた大樹に背を預け、何をしていたかというと…
ただ、泣いていた。
これじゃ皆に心配かけちゃうじゃないか…落ち着こう。
そう思って、…“僕”がやったのは…
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(アクア視点)
フィー。彼女の案内で、彼がいるという場所まで来れたが…
アクア「…ここは…」
あの方や、フレア様…皆が気に入っていた。精霊の湖畔。
だが…この場所を知っているのは王家に関わった人間ぐらいしか…
ディアマ「…!おいあれ!?」
アクア「?……!」
ブライト「…あれは…」
ファイ「…」
彼は…泉の中央。つまり、水の上に立っている。水の上で、彼は何かを唱えている。
ファイ「…『全てのものには、光と闇が存在する…影は光に近い闇。我らは影を扱う者…』」
…この言葉は──
『──いいかい。僕達が使う魔力は、何かしら源となるものが存在するんだ』
『…みなもと?』
『そう。元を辿れば全て、光と闇のどちらかになる。
君達の場合、僕とは違って、光が源かな』
『ひかり…』
『あの…。ひかりがみなもとなのに、どうしてまほうのかずがすくないのですか?』
『うーん……光の場合、源のままだと、あまりにも大きすぎるし物体がない、僕達人間では扱える量が少ない。火や水、草…物体があるものに変換し、人間に扱えるレベルで、次々に新たな術が生まれていった…
…僕はそう考えてる』
『はいはいしつもーん。
オレたちがひかりなら、アンタは?』
『アンタって…一応歳上…まあいいや。
僕の場合、少し複雑でね…“光に近い闇”、“闇でありながら光に属する”。…影はどちらにも属し、どちらにも属さない』
『…なんかむずかしーな』
『…ライト、どうだ?』
『うーん…』
『……』
『あはは…ちょっと早かったかな?
…それじゃあ、もうひとつ。属性によって、基礎詠唱が異なる。
見本として、影一族の基礎詠唱をやるから、見てて…』
…あの言葉。幼い頃、この場所で聞いた…。
基礎詠唱。
ファイ「…『姿変われど魂同じ。
我の眠りし前世____・______の力、再び我の元、現世に甦れ』…」
…『影一族』の魔術詠唱。だがひとつだけ、よく聞こえなかった。
しかし、そんなことを考える間もなく、一瞬何かが光ったかと思うと突然…彼が目の前から消えた。
……微かに気配を感じる、だが…
アクア「………この魔力……まさか…」
「…そのまさかさ」
ディアマ「うおっ!?」
ブライト「ディアマ、君はもう少し女らしくだな…」
…隣が騒がしい。
どうやら彼は何かで僕達の意識を一瞬逸らし、その間に僕達の後ろに移動したようだ。
彼の姿を見た途端、小さい少女が彼に飛び付いた。
ファイ「…フィー、ごめんね。急にいなくなって。
…ん?目元?……あ…」
彼の頬を小さい手で叩く。…目が赤く、多少濡れている。
…なるほど、彼女はああやって言いたいことを伝えるのか。
ファイ「…格好悪いよね…動揺して逃げ出すなんて」
ブライト「…」
ファイ「…あの方が会いたがっている、『シャドウ・トワイライト』と会わせるには…
──『僕』が直接、あの方に会いに行かないといけないのに…」
僕は最初、理解できなかった。
だが…どこかで、分かっていたような気もした。
シャドウ・トワイライト
ナイトシェイドの王子、サンプロミネンスに騎士として仕えるが20年前に死没。




