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国境から始まる工業革命 ―転生エンジニア領地開発記―  作者:


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子供の約束

草原の上での再会。

それから私達は、しばらくその場で話し続けていた。


五年ぶり。前世の記憶を持つ者同士。

話す事は山ほどある。


「それで?」


私が笑いながら言う。


「まきちゃんは何やってたの?」


私は肩をすくめた。


「内政、領地改革、インフラ整備」


私が吹き出す。


「同じだわ。私もよ、石鹸、商業、生活改善」


どうやら二人とも、やっている事はほとんど同じらしい。


まきちゃんは苦笑した。


「まあそうなるわよね」


この世界は技術が遅れている。

生活も不便。ならやる事は自然と決まる。


私が言う。


「まず生活改善、それから産業、そして領地力」


まきちゃんは頷いた。


「完全に同意」


しばらく話して、私達は一つの結論に辿り着いた。


「協力しましょう」


私が言うとまきちゃんはすぐに頷く。


「当然ね」


技術。情報。資源。交換すれば、開発速度は倍になる。


だが――私は少し苦笑した。


「とは言っても私達、まだ五歳なのよね」


私も同じ顔をする。


「それなのよ」


二人とも次期当主だがまだ子供。


つまり今ここで交わした約束は――


「ただの口約束」


まきちゃんは、はっきり言った。

私も頷く。


「そうなるわね」


政治。外交。国家。そんな物は、まだ私達の手にはない。

私達に出来るのはせいぜい領地の改善くらいだ。


だからこそ私達は次の話題に移った。


「現当主同士で話してもらう」


私がが言うとまきちゃんは腕を組んだ。


「それが一番早いわね」


伯爵と伯爵。大人同士で話す。

それが一番確実だ。

問題がある。私は空を見上げた。


「……いきなり話して」


「信じると思う?」


私が苦笑する。


「思わない」


いきなり言われても理解されない。

それどころか危険視される可能性もある。


転生。技術。協力。


そんな話。普通の人間なら信じない。

私達はしばらく黙った。

草原の風が静かに吹く。

そして私は言った。


「証拠が必要ね」


私が頷く。


「技術とか」


「成果とか」


具体的な案は出ない。


結局。その問題は――

その場では解決出来なかった。


まきちゃんは苦笑した。


「まあ、そのうち何とかなるでしょ」


私も笑う。


「そうね」


私達はまだ子供。出来る事には限界がある。

私達は知らなかった。

本人達の意思とは関係なく。

事態は、既に動いていた。


私が送った報告。

金銀、希少金属の鉱脈


それを聞いた現当主が――

こちらへ向かって来ている事を。


まだ私達は知る由もなかった。

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