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国境から始まる工業革命 ―転生エンジニア領地開発記―  作者:


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衝動と理性

とは言ったものの――


私は机の上に頬を乗せながら、天井を見上げていた。


出来てしまう。。。設計出来てしまう。

頭の中に浮かぶ図面。


構造。部品。補正。


それを“我慢している”この状態が、妙にむず痒い。


これはエンジニアの性分か?


いや。


単に興味の方が勝っているだけだな。

私は自分に正直だし未知の物を形に出来る。

それを試したくなる。

人間とはそういう生き物だ。


それが正しいとは限らない。


私は深く息を吐く。ならば完全に封じるのではなく、段階を踏めばいい。


基礎技術。精度。加工能力。


まずはそこだ。


武器ではない。技術基盤の強化。

そう言い聞かせる。

私はお母様の元へ向かった。


「今度は美容液を作りたいの」


半分本当だ。

石鹸とクリームの延長線上にある製品。

名目としては十分だ。


「研究のための部屋が欲しいの。石鹸工場の隣の小屋を使えないかしら?」


お母様は少し考え、すぐに微笑んだ。


「いいわよ」


……早い。


「ただし、安全面はきちんと整えること」


「もちろん」


私はさらに続ける。


「新しい道具を試すから、少し大きな音が出るかもしれないの」


これは多少、無理があるのは承知の上!だがこの世界では未知の技術だ。


“研究”と言えば通る。少なくとも今は。

お母様は特に疑問も抱かず頷いた。


「必要な物があれば言いなさい」


……ありがたい。そして少しだけ、罪悪感。

ちょい騙しているが完全な嘘ではない。

研究は本当にする。美容液も作る。


ただ――

その裏で、別の準備も進めるだけだ。

私は新たに与えられた小屋を見回す。

埃を払い、机を置き、工具棚を設置する。


ここは開発部屋。実験室。


そして――境界線。

ここで何を作るかで、未来が変わる。

石鹸とクリームは、順調に売れていた。


さくらの印は、既に話題だ。


貴族用は完売。

一般向けも注文が増えている。

お母様は大喜びだ。


「ほら言ったでしょう?売れるって」


その笑顔を見ると、胸が少し痛む。

私は今、技術で生活を豊かにしている。

それは間違いなく、良いことだ。


同時に私は、別の技術にも手を伸ばそうとしている。


強力な“何か”まだ形にしない。

準備は出来る。

まずは精度の高い加工技術。

均一な部品を作る能力。


規格を徹底した世界なら、いずれ可能になる。


焦らない。段階を踏む。

私は小屋の中央に立ち、静かに思った。


技術は中立だが使い方は、中立ではない。

私が踏み出す一歩は、小さい。


その先は、大きい。今はまだ美容液の研究。

生活向上の延長。

そういうことにしておこう。


……とりあえず。

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