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国境から始まる工業革命 ―転生エンジニア領地開発記―  作者:


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引き金

討伐後の詳細報告が、私の元に届いた。

死者は、いない。

けど、重傷者が二名に軽傷者が五名。


小型魔物数体の出現。


討伐成功。

被害軽微。

報告書は淡々としているし、数字だけ見れば、大事ではない。

私は、その紙をじっと見つめていた。


重傷。軽傷。


“軽い”という言葉の裏にある痛みを、私は知っている。


怪我は生活を止める。

止まった生活は、家族を止める。

討伐は成功したけど無傷ではなかった。

私は武器庫の報告書も確認する。


この世界の武器。


剣。槍。弓。クロスボウ。そして攻撃魔法。

攻撃魔法は、正直まだ実感が薄い。


炎を放つ。氷を飛ばす。


聞いてはいるが、体系的な理解はない。

少なくとも、再現性の高い量産兵器ではない。


物理武器は、私の知識から見れば原始的だ。


近接。投射。貫通。威力はあるが射程と精度、連射性に限界がある。


もし、もっと強力な武器があれば?

もし、遠距離から一方的に制圧出来るなら?


怪我人は減るはずだし、理屈としてはそうだ。


それは同時に、殺傷力の向上を意味する。

私は机に肘をつき、指を組む。


と言ってもな……。


この世界は中世相当。

いきなり産業革命は無理だ。


材料。加工精度。量産体制。


……。


ん?待てよ。私は目を閉じる。


スキル。

解析。エンジニア。

設計は、出来る。


試しに、頭の中で描いてみる。

前世で知っている拳銃。


ベレッタM1934。


旧イタリア軍のコンパクト拳銃。


私は何気に旧イタリア軍推しだった。

形状。構造。サイズ。

それを、この世界の材料事情に合わせて調整する。


口径。弾種。寸法変更。強度補正。


念じる。


設計。


――。


視界に、図面が浮かんだ。補正済み。

この世界の鉄強度に合わせた構造変更。


必要な金属加工精度。

部品分割。


弾丸寸法。

推奨火薬。


……。


弾薬。発射機構。加工器具。

必要な鍛造設備。


紐づいて、設計図が展開される。


私は息を呑んだ。


出来てしまった。


理論上、作れる。


この世界の技術水準で、再現可能な形に最適化されている。


エンジニアスキルは、現実的な落とし込みまで行う。


便利すぎる。


……いや、危険すぎる。


これは作って良い物なのかしら?

もしこれがあれば、小型魔物程度なら遠距離で対処出来るだろう。


怪我人は減るし討伐は安全になる。


人にも使える。


対人戦闘。戦争。暗殺。革命。

均衡は壊れる。


剣と槍の世界に、火器が入るがそれは、単なる改良ではない。


時代を飛ばす。


私はゆっくりと息を吐いた。

今の私は、内政屋だし流通を整え。

備蓄を増やし生活を向上させる者。


この設計は明確に“戦”の側だ。

私は既に、その一端を握れる位置にいる。

設計図は、まだ頭の中にある。

紙に落とせば、現実になる。


私は拳を握った。……今は、まだだ。

魔物対策。それだけで済む保証はない。

この力を、どう扱うか。


それを決めるのは――いずれ、私だ。

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