表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
斜め上から見た美しい世界〜間違ったのは誰?正しいタスケル出来たのは誰?  作者: RiderLisa


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/53

52話 後光差す

幸せで豊かな【月の中】で暮らしている

うさぎとかぐやは、MoonTube〈ムーンチューブ〉で見た、現代も大昔も不便でコンランする場所【地球】の話に興味津々!


地球の子供たちは、タイヘンでカナシイらしい! 


ふたりは、サンタみたいにプレゼントを届けたらいいのでは?と思いつきました。


月といえばお饅頭!

神様に許可をもらって、地球旅行へ出発しました。


ルンルンでタスケルするのです!


タスケテを知らない地球の子供、桃太郎と幼い妹の桃子との出会い、地球で過ごす日々のなかで、大切な人を助けるとはどういうことなのか?   


かぐやとうさぎは、自らの過去と向き合い、地球で磨かれ、深みのある存在へと成長していく。

「あたいは…ちょっとジュースを頂いただけなの!

さよなら!!!」


トナカイさんは、神様の怖い顔を見て一目散に逃げ出しました。


「何をしている…」


「えっと…」

うさぎは目をキョロキョロさせて、ピクニックの言い訳を考えました。

「最後の晩餐ですよ」

タヌちゃんがすかさず冷めた口調で言いました。


「うさぎ」

神様は、宙に浮きながら顔をグルグルさせて

うさぎに近付いてきました。

相変わらず怖い顔ですが…発した言葉は意外なものでした。


「サンちゃんとは今ケンカ中なんだ」


「え?」「ん?」

うさぎとかぐやは、意外すぎる告白に驚いて顔を見合わせました。


サッ…

サンちゃん???


それってサンタのことだよね?


うさぎは、ニヤッとしてしまいそうな顔を何とか抑えました。


サンちゃん?

え?

なんでサンちゃん?


「あっ…あの…神様

サンちゃんって……サンタのことですよね?」

なんとか平静を装ったキリリとした顔で、うさぎは言いました。


「そうだ、サンちゃんとはサンタのことだ」


かぐやは、ブハァ!!!!と吹き出しました。


「なにを笑っている」

神様は、怪訝な顔でかぐやの方に視線を移しました。


かぐやは「ヒー!ヒッヒッヒッ!!」と返事をしています。



今のうちに僕の顔をなんとかしないと!!!

笑うな!うさぎ!

がんばれ!!!


「サンちゃんに、月のことを聞いてみたい気持ちもあるが…今ケンカ中なんだ、うさぎ」


やめて!!!

同じ内容繰り返さないで!!!


こっち見ないで!


かぐやは、アッハハハ!!!!と遠慮なく笑っています。


信じられない!かぐやの馬鹿!


「そうだったん すね…神様

でも 大丈夫でっ す

今サン…タの他に、月について知っている人が

ここに向かっていますから」


うさぎは真面目なのだ

こんなことは朝飯前

神様を気遣い

決して、かぐやのようには笑いませんでした。

うさぎは堪えきった自分を褒めました。


よし!!


タヌちゃんはギャップ萌えしないタイプなのか

面白くなさそうな顔でゼリーを食べ続けていました。

それを見て、うさぎの気持ちは落ち着きました。


ホッとしていると

再びかぐやのヒッヒッヒッという、キモい笑い声が耳に入ってきました。


「そんなに面白いですかぁ?」

かぐやの顔を覗き込みながら、タヌちゃんが言いました。

このまま、かぐやに集中するのは危険です。

ほんとに遠慮がないんだから!


「神様!トナカイです!

さっきのトナカイさんが、月の形のことを知っている子を呼んでくれました!」


「そうか」


「はい!少しお待ち下さい!」


神様は俯いて、どこか寂しそうな表情をしていました。

月の神様といえば、怖い顔です!

今は、眉を少し下げて切なげな表情で話しているのです。

かぐやのせい…?という訳じゃなさそうです。


「懐かしいな…サンちゃんのトナカイか…」


「はい!

………神様

サンタとは友達なんですね」


「大昔のことだ。

よくソリに乗って遊んだものだ」


「あの……ケンカ…したんですか?」


「つまらんケンカだ

サンちゃんは自由な奴でな

私の憧れでもあった」


「え!!神様にも憧れの人がいるんですね!」


「もちろんだ

自由なサンちゃんが羨ましかった。

キツく当たりすぎたのか、いつからか会わなくなってしまった」


「そうなんだ…

でもサンタはきっと気にしていませんよ!」


「……。」


気が利かなかったのだろうか、神様の返事はありません。


この会話は、かぐやとタヌちゃんにもしっかり聞こえているようです。

いつの間にか、親友の引き笑いは収まっていました。


「帝ちゃん…いや、帝釈天とも友達だった」


「え?!」


「お前の愛するお爺さんだ」


「はい!友達?」


「あぁ。

帝釈天だ」


「はい…知っています

今…お爺さんは、どこにいるんでしょうか」


「知らないな

もう誰にも会っていないんだ」


「そうですか」

うさぎは、神様がいつも一人で月を周り、

みんなを見守っている姿を思い出しました。


「寂しくないんですか…?」


「そうだな、そんなときもあった

今はやることがある

だから寂しくはない」


「……神様は頑張りすぎですよ」

うさぎはふと思ったことを自然と伝えられたのです。


「いつも一人で、沢山の住人を見守っていますよね。

僕にも何か出来ることはありませんか?」


神様はびっくりした顔をしていました。

しかし、そのあとニコッと微笑み

光る手でうさぎの頭を撫でてくれました。


「さすが月の兎だ」


なぜか池で溺れたときのことを思い出しました。

ナデナデされて嬉しかった時のことです。


ビチャビチャになった身体は、思いのほかずっしりとして、小さい身体だったときの親友は、岩でも持ち上げているのか?というくらい、重そうにしながらも

抱きかかえてくれました。


親友は何度も『大丈夫?』と聞きました。


申し訳ないので、なぜ池なんかに入ったのか説明しました。

『みんなを楽しませたかった』

毎日つまらなさそうな住人たちのために、池に入って有名な映画のシーンを演じようとしたのです。

サメに喰われたみたいに、うわぁ!!と暴れようとすると、片足が池の底のドロドロした土に嵌ってしまい本当に抜け出せなくなってしまったのです。

罠にハマったように、一人では這い上がれませんでした。

なんとも間抜けでしたが、親友は馬鹿にしませんでした。

『いくらみんなを楽しませるためっていっても、一人で無理しすぎ』と言われたのです。 

『一緒に楽しもう?一緒に何か出来ないか考えよう』

濡れた頭を撫でてくれた親友は、微笑みながら言いました。


うさぎと話していると、

神様は大昔のことを思い出したのでした。


「お前も池で溺れたことがあったな」


「え?あっ…はい」


「あれから池やプールを禁止にしたが。

実は、我も池で溺れたことがあるんだ」


「えぇ!!!?神様が!?」


「あぁ。

そうだ。

みんなを楽しませようとしていたら

本当に溺れてしまったんだ。

やり方を色々間違えていた頃だ」


「そうなんですか!

僕はかぐやに助けられました

……神様も助けてくれた親友がいた?」


「あぁ、いたよ」


「…」


「失敗した我に『俺にも助けさせてくれ』と言ったんだ」


「…それは…最高の親友ですね」


「そうだな

サンちゃんが手を掴んでくれた

我のヒーローだ」


月の神様の失敗談…

神様でさえ助けられた経験があるのだ


しかし、なぜ急にそんな話をしてくれたのか。

うさぎは何を言うのが正解なのか分かりませんでした。

かぐやの方を見ると、優しく微笑んでいました。

タヌちゃんはそっぽを向いていましたが、耳はピンッと立っています。


「うさぎ、狸をここへ迎え入れるのは

大きな変化だ。

住人たちへの説明もある。」


「え!?あっ…はい!」


「それに、我は狸は好きではない。

しかし

助け合いの心や他者から学ぶことを

放棄している訳ではない」


「はい!もちろんです!」

うさぎは真っ直ぐ神様を見て答えました。


「お前とかぐやが、あの狸をどうしても助けたい気持ちは伝わった。

本来なら助けることは出来ない

それはここの安全が最優先だからだ」


「はい…

そうですよね」


「しかし、

狸が我の知らないことを知っている

それも伝わった

ひとりの譲れない信念を貫けば

良いこともあるが

時に溺れることがあるのも知っている」


「え?それって…

どういう意味ですか…?」


タヌちゃんを見ると、真剣な顔で神さまを見つめていました。


「狸は、月へ貢献することが出来るか?」

神様は尋ねました。


「勿論。

狸は、あなたたちが知らないことを

沢山知っています。

教えるのは大好きですよ」


「何かやらかせば、すぐに地球へ送り返すからな」


「いいですよ」


返事を聞くと、神様は背中を向けて宙に浮いていきました。

神殿の方向へ徐々に高く上昇していくと…

更に全身がハッキリと光り始めました。


「神様!ありがとうございます!」

うさぎとかぐやは、去っていこうとする背中に声を掛けました。


「神様!笑っちゃってごめんなさい!

それに…

あの!私

じつは!!」


「お前のルール違反のことなら知っているぞ、かぐや」


「あ…」


「罰として神殿の掃除だ」


「はい!!!!」


「しかし

違う方法で助けたいと思う気持ち

見事であった」


「え!?」


「成長したな


かぐや姫」



かぐやの顔は、みるみるうちに明るくなっていきました。


「お前も…

よく地球の頃の自分を思い出せたな

さすが月の兎だ」



「ありがとうございます!!!!」

うさぎは頭を下げて感謝を表しました。



「よい。


お前たちが狸を池から引き上げたんだ


素晴らしい貢献だ


タスケルは成功したな


見事であった


引き続き 励め」



光り輝き、眩しいほどの後光が差す瞬間


タヌちゃんは叫びました。


「神様!

恩にきります!

精一杯やらせて頂きます!」


いつも無表情か怖い顔しかしない神様が、

わざわざ身体ごと振り返り

本当に驚いた顔をしていました。


タヌちゃんは地面におでこをつけて、土下座をしています。


神様は何も言いませんでした。


僅かにニコリと優しく微笑んで、月の神殿へ戻っていきました。


神様はやっぱり神様でした。


神様を神様にしてくれる敬意と感謝の念も、

後光を更にキラキラと光らせていました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ