22話 深みのある存在って考えることが沢山出てきちゃうんだよね
幸せで豊かな【月の中】で暮らす、うさぎとかぐや。
ふたりは、MoonTube〈ムーンチューブ〉で見た
現代も大昔も、不便でコンランする場所【地球】の話に興味津々!
地球の子供たちは、タイヘンでカナシイらしい!
ふたりはサンタみたいにプレゼントを届けたらいいのでは?と思いつきました。
月といえばお饅頭!
うさぎとかぐやは、神様に許可をもらって地球旅行へ出発しました。
ルンルンでタスケルするのです!
タスケテを知らない地球の子供、桃太郎と幼い妹の桃子との出会い、地球で過ごす日々のなかで
うさぎとかぐやは、
大切な人を助けるとはどういうことなのか?
自らの過去と向き合い、深みのある存在へと成長していく。
自分のするべき事がハッキリして、
うさぎは目をキラキラさせていましたが……
深みがあるだけに、次から次へと考えた方が良さそうな事が思い浮かびます。
「……でもさ月へ帰ったら
また忘れるかもしれないよね…?」
地球から月へ転生して忘れてしまったように
桃太郎のことや、地球でタスケルを続けたい想いが
頭から消えてしまうのではないか?と感じたのです。
「そっ……そんなの嫌だ!!!」
うさぎは、大きな声で叫びました。
「この想いは僕のものだ!!
勝手なことはさせないぞ!」
「僕の気持ちは奪わせないぞ!
勝手に決めさせないぞ!
どんなに偉い神様にだって
勝手なことはさせないぞ!!」
うさぎは、これまで思い出した大切なことを
月のノートに書き留めておくことにしました。
おじいさんの悪口から
月にも制限があること
神様に監視されていること
それから
無意識に本音も…。
いつも使っている月のノートを取り出し、
フリクションで書き連ねていきます。
「僕は
《もともと ちきゅうのうさぎだった》っと
それでー…
えっと
《おじいさんのために ひにとびこんで
しんでしまった》」
「それから…その…
《じつは おじいさんは かみさまで》」
「つまりその…」
「《うそつきで》」
「…………《サイコだった》っと。」
「ここは強調しなきゃだなー」
「《おじいさんは》」
「《サ、イ、コ、ウ》………っと。」
「うわぁ!!!間違った!!!」
「くそっ!!!」
うさぎは、フリクションをひっくり返して
丁寧に《ウ》を消しました。
「サイコって、もっと書いておこう!
そしたら忘れたとしても、そうか!お爺さんはサイコか!ってなるもんねーーー!うんうん」
うさぎは、誰かと対話でもするかのように
ハッキリとした声で独り言を言いながら、書き続けました。
フカフカの手で沢山書いたのです。
桃太郎と桃子に出会ったことや、彼らの家のこと、
リアル森のカフェの地図も描きました。
忘れないように事細かく…
「深みのあるうさぎは忘れないぞぉ!
これで絶対思い出せるんだから」
集中して書き続けたはずの、
たくさんの文字の中に《おじいさんはサイコウ》と
大量に記されていることを、うさぎは気付きませんでした。
月のノートをバタンッッ!!!と閉じると
太ももに付いている、取り外し可能な月のポケットの中にしっかりとしまいました。
失くなったら困りますからね!
このポケットは、かぐやの觔斗雲を月のネックレスに収納するのと同じ原理ですが、うさぎのポケットは冷蔵機能まで付いているのです。
少しお高いこのポケットは、
大きいものを小さく収納できる魔法の便利ポケットです!
ノートもフリクションもスポン!!と入りました。
「これで
僕の気持ちは取られないね!
安心だ…」
「そろそろ
かぐやたちのところに戻らなきゃ」
月に戻らないといけないことを伝えるのは
少し億劫でした。
かぐやがキーキー言いそうだからです。
機嫌をとるためのMoonシェイクは、あいにく切らしています。
それでも、うさぎは申請書に書いた約束は守るのです。
「深みのある誠実なうさぎなのだ…エッヘン
サンタみたいだよねー
……それとも
やっぱ今ココは昔の日本だし
メロス的な感じかも?
うーん
…それはちょっと違うかなぁ??」
うさぎはひとり芝居でもしているかのように
いつも独り言が多いのです。
「そうだ、あれだ!
もし僕があの地獄変に登場したらさ〜
大殿たちを後ろ足でキックして、良秀の娘を助け出す
唯一の誠実なうさキャラかも!」
うさぎは、もう一度エッヘン!!と深みのある自分を称えました。
胸を張ってから
遠い村にある、草むらを出発したのです。
この物語は、読む人それぞれの感じ方があると思っています。
もし何か受け取ったものがあれば、感想を教えてもらえたら嬉しいです。




