21話 お家芸【制限】
幸せで豊かな【月の中】で暮らす、うさぎとかぐや。
ふたりは、MoonTube〈ムーンチューブ〉で見た
現代も大昔も、不便でコンランする場所【地球】の話に興味津々!
地球の子供たちは、タイヘンでカナシイらしい!
ふたりはサンタみたいにプレゼントを届けたらいいのでは?と思いつきました。
月といえばお饅頭!
うさぎとかぐやは、神様に許可をもらって地球旅行へ出発しました。
ルンルンでタスケルするのです!
タスケテを知らない地球の子供、桃太郎と幼い妹の桃子との出会い、地球で過ごす日々のなかで大切な人を助けるとはどういうことなのか?
自らの過去と向き合い、深みのある存在へと成長していく。
「制限!!」
うさぎは再び大きい声で叫びました。
魂消た(たまげ)!!とばかりに、フカフカの手はダランとして開いた口がふさがらないのです。
地球の専売特許のはずなのに…。
月にも制限があることにショックをうけました。
地球は制限だらけなことで有名です!
觔斗雲はルール違反であり、どんなに望もうが雲の上は歩けません。
さらに驚くのが、地球の人間は自分の顔を自分で見ることは絶対に出来ません。
鏡は自分ではありませんから、本当の意味で自分で見ている訳ではないのです。
自分という存在を認識することが難しい世界です。
月では、それがロマンチックだと捉える人たちもいます。
オンリー・ワン的な感じが素敵だとときめくのです
月の住人のように、誰かになることを許されていない世界です。
住人たちは、お互いの許可さえあればこんな感じです。
『あっあのさーちょっと君になっていい?』
『うんうん、いいよー!ちょうど僕も君になりたいと思っていたんだよー』
こんな会話は、地球ではあり得ないのです。
月はそれくらい自由で便利で幸せな場所!!
だったはずが…
実は、月にも変えられない制限があったことに気付き、深みのあるうさぎはコンランしていました。
地球に行けるかどうか、うさぎの一存では決められないんだから!元々それは制限じゃないか?
なんで気付かなかったのか…
神様に『ちょっと神様になっていいですか?』と、声を掛けれる馬鹿はいないのです。
無理矢理、神様に判子を押させることは出来ない!
地球と同じ制限がしっかりと存在していました。
「かぐやが地球に行く為には、僕のポイントが必要だし、ひとりでは行きたくても行けないもんね!
僕がいつ地球に戻れるかも、神様次第なんだからさ!
間違いなく制限ってやつだね」
フカフカの胸は、縄で縛られ
抑えつけられるような感じがしました。
月にも制限がある事実は、うさぎの心をグルグルに縄で縛りつけるチャーシュー状態なのです。
実は…
制限は悪いことばかりではありませんね。
今の自分を美味しくするためにあるのだと、
深みのあるうさぎでも、今はまだ気付けませんでした。
風で草たちが、ユラユラと揺れ
うさぎのフカフカした白い毛も同じ速度で
同じ方向にサラサラと靡いています。
腹の底から沸いてくる音は、美しくはありません。
全然素敵なんかじゃないのです。
神様に見張られている制限のある月へ転生し
なにもかも忘れて、真実に気付かずヘラヘラと存在していた気がしたのです。
「今までの僕は浅くて薄っぺらだったよ…
こんなに深みのあるうさぎだってのに!!」
ペラペラな浅いうさぎになってしまったのは、
無理矢理月へ連れてきた、嘘つきなお爺さんのせいではないか?
うさぎはそう感じました。
いや…月の神様のせいかもしれないな。
月に転生したら、何故か忘れん坊になり
地球旅行をするまで深みのあるうさぎだったことなど1ミリも思い出さなかったのだから!
とにかくふたりの神様のせいだと思いました。
「神様は信用ならない…
やっぱりサンタしかいないよ!
僕はサンタみたいになるんだ!
サンタみたいに自由な立ち位置で
これからも地球でタスケルする!!」
うさぎは立ち上がり、決意しました。
それでも約束は守らなければ!
真面目なのです。
おまんじゅうはもう無くなってしまうので
一旦月へ戻ってから再び地球へ来ること、
次は長期滞在することを心に強く決めたのです。
「すぐ地球に戻ってくるんだ!」
日本の文豪が創った物語、地獄変に出てくる娘くらい桃太郎にはタスケルが必要だもの!
桃太郎もサンタみたいな守護聖うさぎになら、
《大丈夫じゃない》と言うはずだ!!
ちゃんとサンタみたいになるんだ
そしたら拒絶のモワモワ〜なんてきっとされないはずさ!




