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その6「同性婚?。私は認めるよ。反対する理由もないから」

これは、私が奥さんと出会う少し前の話だけど、同じように小説とか漫画とか、物語を創作する人間同士が集まってあーでもないこーでもないととりとめのない話を飽きることなくしてた時に、そこで一つの結論みたいに皆で納得した話なんだよね。


同性愛って、それ自体が自然の摂理だよな。自然の中でも同性愛の個体って生まれてくるらしいし、自然の生き物はそれも普通に受け入れてるのに、人間だけが認めようとしないよなって。


というわけで、私は同性愛の存在を否定しない。でも私は奥さんが好きだ。女性が好きだ。それでいい。それで何も問題ない。


当時の私は、病んでる状態からちょっとましになって、同じ趣味を持つ人間とならまあまあ普通に関われるようになってた。そこで、小説とか漫画の話だけじゃなく、それこそ人生論とか恋愛観とか死生観とか結婚観とか子育て論とかについてまで議論を交わしてたりしてたのさ。今の私の価値観の多くが、この時期に固まったと言ってもいいかもしれない。


でもそこまでは今回は関係なくて、話を少し戻して同性愛の話なんだよ。


光代らの小説を投稿した例の小説誌に投稿して掲載された三本目の小説が、自分が同性愛者だってことに気付いてしまった女の子の話で。


「…今日はその人に会いに行くんですか?」


光代´に尋ねられた私は、即座に首を振った。


そうしたいのはやまやまだが、彼女らは実は同性婚が認められてる国に移住して結婚して、そこでよろしくやってるらしいんだよ。だから、今回はそこまでは行かない。


「そうなんですか?。じゃあ、なぜその話を?…」


ん~、最近同性婚のことでいろいろ話題になったりするからね。それでちょっと思い出しただけなんだよ。光代´はどう思う?


「私は…よく分かりません…」


だよな。しきたりに従って近親婚とかも普通にやってた家系に生まれて、ほんの何十年か前まで世間から隔絶されてたし。


「そうですね…だから理解できないと言った方がいいかもしれません…家を継ぐ者を残すためには子を産むことが絶対条件でしたから…」


うん。でも、それはそれで逆に矛盾を感じるよ。


「…矛盾、ですか…?」


そう。男と女が番って子供を残すことが当然というのがその考えの根底にあるはずだろ?。そうあるのが自然だっていう。でも、実際に自然の中では相手を選ぶのはもう完全に自由意志。それに対して動物園とかで番わせるのは人間が干渉してるからこれは全然自然じゃないし、同じような理屈で勝手に相手を決めてるのからしてもう自然じゃないじゃないか。


子を残すことが自然だと言いながら、なのにやってることと言えば全然自然じゃない。にも拘らず、同性愛に反対する意見の中で大きいのは<自然の摂理に反する>ってやつなんだよな。おかしいよな~、矛盾してるよな~。自分達が散々自然に反したことしてるのに、本来同性愛の個体が生まれてくるのは自然なことの筈なのにそれを<自然の摂理に反する>とか、おかしいだろ?


「確かに…そうかもしれないですね…」


それに何より、今は結婚しないとか子供を持たないとかいうのもすっかり認められた価値観になってるだろ?。だから清真せいしんは、子供が出来ないことも理由にして家を終わらせようとしてるし、それが何となく認められる世の中になってるのも彼にとっては幸運だった。そうじゃない世の中だったら、分家とかからの突き上げももっと厳しかった筈だ。だいたい、分家からしてもう後継ぎがいないところの方が多いだろ?。それどころか後継ぎを作るはずの奴が結婚もしないでパラサイトシングルでかつニートになってる家すらある。そんな連中にあれこれ言われてもって感じはするだろ?


「そう、ですね…」


だから、同性愛を認めない根拠としての<自然の摂理に反してる>って理屈はもう完全に破綻してると私は思うんだよ。子供を作ろうともしないことも充分に自然の摂理に反してるんだから。それを認めるのなら、同性カップルに子供が出来ないのなんて別に問題じゃない筈だよ。


「そうかもしれないですけど…でも私は、女性に言い寄られても…」


あ~、それはそれでいいと思う。同性愛を認めても認めなくても好きになれない相手を受け入れる必要はないと思うから。同性かどうかじゃなくて、その人を受け入れられるかどうかで判断すればいいと思うんだ。私もそうする。


「…なるほど」


もう結局、同性愛を認めないというのはただの感情論になってるんだと思うんだ。宗教を根拠にしたってそれも結局は感情論だからさ。認めたくないっていう気持ちを強制的に変えさせるつもりはないけど、いずれそれは通用しなくなっていくと私は思ってる。


「そうなんですか…」


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