エピソード0:三度目の夏と、覚醒のバディ
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新連載『死に戻った新米刑事は、生真面目先輩とやり直し(と恋)を始める』【第1部:時をかける誓い編】が開幕いたします!
プロローグとなるエピソード0では、すべての悲劇と試練を乗り越えた先にある、二人の甘く濃密な「三度目の夏」の日常と、覚醒した最強バディの姿をお届けいたします。
読者の皆様に最高の未来の光をお見せした上で、次回第1話より、すべての起点となるあの日――運命の7月15日の惨劇へと物語が動き出します。
倉敷美観地区の美しい情緒と、濃厚で甘い恋、そして切なく熱い警察サスペンスをぜひお楽しみください!
プロローグ(エピソード0):三度目の夏と、覚醒のバディ
ジリジリと肌を焼く夏の強い光芒が、倉敷美観地区の白壁の土蔵群と、倉敷川の青々とした柳並木を色濃く浮かび上がらせていた。
倉敷川の川面には、涼やかな川風にそよぐ柳の緑と、澄み渡る夏の青空が揺らめいている。観光客の手漕ぎ舟がのんびりと揺れる情緒あふれる美観地区から少し離れた、静かな住宅街。
その一角に佇む築浅マンションの402号室には、外の酷暑を忘れさせるような冷房の心地よい冷気と、それ以上に甘く濃密な熱気、そして一筋の甘苦い吐息が満ちていた。
「……ん……っ、せんぱぁい……」
朝のまどろみの中、柔道でしなやかに鍛え上げられた168センチの美肢体をたおやかにくねらせ、村瀬いづみはゆっくりと両腕を伸ばした。ポニーテールを解いた黒髪が、柔らかい朝の光を浴びて艶やかに肩へと散れている。
服を着込んで寝ると肩が凝るという持論ゆえに、ベッドの上のいづみが身につけているのは下着のショーツ1枚のみ。はだけた掛け布団から露出した無防備な素肌は、朝の光を受けてしっとりと輝いている。呼吸に合わせてたおやかな胸の起伏が優しく上下し、その先端に宿る小さなツボミが、朝光の中で秘めやかな存在感を放っていた。
「……ふあ……ん、先輩……?」
ぼんやりとした頭でベッドの脇へ伸ばした手が捉えたのは、昨夜そのまま床へ脱ぎ捨てられていた、178センチの田中のグレーパーカーだった。
いづみはそれを手にとると、ふわりと漂う大好きな先輩の香りを愛おしそうに吸い込み、そのまま素肌の上に直接スリーブを通した。
普段、倉敷署刑事課で見せる凛とした佇まいは影を潜め、今のいづみはオーバーサイズのパーカーを羽織っただけの無防備きわまりない姿だった。フロントジッパーは全開のままだ。動くたびに華奢な鎖骨のラインやすいすべとした首筋、キュッと引き締まったウエストのくびれが覗き、ダボついた生地の隙間から、白身を帯びた柔らかな隆起と、その先にある秘めやかな突起のシルエットが惜しげもなくチラついている。
ダボついた袖口からちょこんと出た指先で目をこすりながら、いづみはフローリングの床を滑るように歩き、キッチンへと向かった。
そこでは、ピンクのフリルエプロンを身につけた男が、フライパンに向かって真剣な眼差しを注いでいた。倉敷署刑事課一係の巡査部長・田中健人(29)。普段は猛暑であってもスリーピーススーツを几帳面に着用し、黒縁メガネの奥に鋭い知性を光らせる生真面目な男だが、この402号室では手際よく朝食を仕上げる完璧な「オカン系料理男子」だった。丁寧にとられた昆布と削り節の香りが、部屋を満たしている。
「へへ……先輩の背中、おーっきい……」
いづみは萌え袖を伸ばした両腕を広げると、後ろから田中の広い背中にぎゅっと抱きついた。
素肌の上に羽織った薄手のパーカー越しに、互いの体温と鼓動がダイレクトに伝わる。柔道で鍛え上げられたしなやかな体幹と、それに反する女性特有のふんわりとした甘い柔らかさが、田中の逞しい背中に熱を帯びてぴったりと吸い付いた。薄手の生地越しに、ツンと硬さを増した先端の存在感がダイレクトに押し付けられる。
「ぐわっ!? お、お前、村瀬っ!? 何してんだ、火使ってんだぞッ!」
味噌汁の味をみようとお玉を持っていた田中は、背中に伝わる柔らかく瑞々しい触感と素肌の熱気に、一瞬で耳の根元まで真っ赤にして固まった。
「えへへ……だって、先輩のいいにおいがするんだもん。お出汁の香りと……私の大好きな先輩のにおい」
いづみはスリスリと頬を田中の背中に押し当て、背中から耳元へと甘く湿った吐息を吹きかけた。
「だとしても前全開で抱きつくなバカ者ッ! 萌え袖でそんな無防備なはだけ方見せつけられたら、俺の理性が保てるわけないだろッ!」
「もう……私の身体、ぜんぶ見て、抱きしめて知ってるくせに……」
いづみはさらに身体を摺り寄せ、全開になったパーカー越しに、温かい素肌と柔らかな胸のカーブを田中の背中に力いっぱい押し付けた。
「知ってるからこそ、一瞬でスイッチが入るんだよッ!」
田中はたまらずコンロの火を止めると、お玉を置いて素早く振り返り、いづみの細い腰を引き寄せて己の胸へと力強く抱きすくめた。
「あっ……先輩……っ」
はだけたパーカーの隙間から伝わる、互いの素肌の生の温もりと、早鐘のように打つ心音。熟した苺のように頬を染め、上目遣いに潤んだ瞳で見つめてくるいづみ。しなやかな胸のふくらみが田中の厚い胸板にしっとりと押し潰され、互いの素肌の熱気がじりじりと密着する。田中は逃げる隙を与えず、いづみの後頭部に優しく手を添えると、情熱的にその甘い唇を奪った。
「んっ……ふ……っ……んん……っ」
甘い吐息が漏れ、深く絡み合う舌先。互いの口内に広がる灼けるような体温と、痺れるような愛の甘美さ。田中はいづみの細い腰を力強く抱き寄せ、逃がさないように何度も角度を変えて、深く深い接吻を重ねていく。
昨夜もこの部屋で、互いの肌と命を慈しむように何度も深く愛し合ったばかりだった。死線を越えて結ばれたあの夜から、田中の抱擁はどこまでも深く、激しく、そして甘い。
「……ん……ふあ……っ……先輩、息が……っ」
「……朝から俺を焦らすお前が悪い」
深く長い接吻を終え、唇を離した田中が、低く熱く掠れた声で呟く。いづみはうっとりと瞳を湿らせ、朱に染まった頬を田中の胸元にそっと預けた。
「……ふふっ。先輩がかっこよくて優しすぎるのがいけないんです……」
職場での完璧な新米刑事という顔の裏で、自分だけに見せるこの甘えん坊でズボラな素顔。田中はいとおしそうに溜息をつくと、いづみの頭を優しく撫でまわした。
かつて1周目の世界で散った命。絶望の底で流した涙と、【死に戻り】を経て辿り着いたこの【3度目の夏】。全記憶を保持したまま戻ってきた二人は、刺客の目を眩ませるためにこの402号室で緊急避難的な同棲生活をスタートさせた。いまの二人は、警察内部に潜む巨大な闇組織を駆逐するために戦う、最強の『記憶持ち恋人バディ』だ。
「さあ、冷めないうちに朝飯を食うぞ。今日は勝負の日だからな」
「はいっ! 先輩のご飯も……先輩のことも、だーい好きです!」
温かい朝食を前に笑みを交わし合う二人。この甘く愛おしい日常こそが、二人が命を懸けて守り抜くと決めた宝物だった。
――画面が一転する。
重苦しい取調室の静寂の中。
殺風景なコンクリートの壁に囲まれた、倉敷署取調室1号室。
鉄製のパイプ椅子に腰掛け、逃げ場を完全に失った倉敷署刑事課一係長・鳥居信一郎(54)が、醜く歪んだ顔で嘲笑を浮かべていた。
「ふふ……ハハハッ! 愚かな若造どもめ。俺を捕まえたつもりか? この街の闇は、俺一人を消したところでどうにもならんのだよ……!」
鳥居は奥歯の裏に隠し仕込んでいた、猛毒のガラスカプセルを噛み砕こうと、力強く顎を閉じかける。警察の取調べで証言を遮断し、組織の秘密を守るための自決工作。
だが――。「させるかッ!」いづみのしなやかな肢体が、電光石火の速さで交錯した。
柔道黒帯の洗練された体さばきで鳥居の顎を下から跳ね上げ、鋭い関節固定でその噛み合わせを瞬時に封殺する。
動きに合わせてスーツの胸元が激しく上下し、凛とした美しさと強靭な躍動感が取調室に閃く。
「がハッ……!??!」パキィッ!
と甲高い音を立てて床へ弾き飛ばされるガラスのカプセル。
不気味な猛毒の液体が床に広がり、不快な臭気を放つ。鳥居が絶望と痛みに目を剥く中、いづみは冷徹で不敵な笑みを浮かべ、隣に立つ田中とデスク越しに深く不敵な視線を交わした。
田中は凛とした足取りで歩み寄り、いづみの肩にそっと手を置いた。
「残念でしたね、鳥居係長。あなたの思考も、奥歯のカプセルの存在も、私たちはすべて知っていました。あなたが10年前に村瀬五郎警察官を暗殺し、大野木源造を処分した全証拠は、すでに手中にあります」
「な、なぜだ……!??! お前たち、一体なぜ……!??!」
動揺し怯倒する鳥居を見下ろし、二人は静かに、しかし絶対的な絆を秘めた笑みを深めた。
「私たちの前で、二度と死んで逃げられると思わないでください。あなたの罪も、背後に潜む『とぐろを巻いた蛇』の暗躍も……すべて私たちが暴いて見せます」
『――どうして私たちが、こんなにも甘く過酷な「三度目の夏」をやり直しているのか。すべての始まりは、あの猛暑の7月、私たちが惨殺された「最初の惨劇」からだった――』
プロローグ(エピソード0)をお読みいただき、本当にありがとうございました!
3周目の完全攻略&甘々避難同棲を描いた冒頭プロローグから始まり、次回第1話より、すべてが始まった運命の7月15日――「最初の惨劇」の幕が開きます。
二人がどのように支え合い、そして絶望的な死線を乗り越えて愛を深めていくのか、ぜひ期待してお付き合いください!
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次回、第1話の更新もお楽しみに!




