13 永遠はいらない
最終話です
「……魔女いなくなりましたね」
気の抜けた私がようやく言えた言葉はそれだった。見れば分かるようなことを言う必要などないけれど、今は何を言うべきか分からない。
「あぁ」
短く返事をしたアレンもまだ、夢でも見ていたような不思議な感覚のままなのだろうか。とりあえず……二人とも生きていたことを喜べば良いのだろうがそんな気分でもない。
「永遠の愛の余命って矛盾してますよね」
魔女の事を思い出した。よく分からない。でも考えてみたら魔法なんてもの自体がお伽噺のように信じられないものだ。
「永遠という言葉に余命は確かに変だな。永遠なのに余命があるのは可笑しい」
少し考えると納得したように頷いたアレンに少し笑みが漏れる。
「そんな話をしている場合じゃないかもしれせんね」
魔女の言葉の矛盾など気にしても仕方がないのに……やはりまだ動揺している。
「食事を食べ損ねたな」
アレンも少し笑った。その笑みがあまりに綺麗で何となく気恥ずかしくなった。
「笑うようになりました?」
思わずそんな言葉が口をつく。
「そうだな。ミシェルも表情が変わるようになった」
今まで、二人で笑い合うことも少なかった。私もアレンもあまり言葉にしないし、表情も変わりにくい。
「そうですね。不本意ながらあの魔女のお陰でしょうか」
あの魔女に関わってから、随分と感情的になった。それに、言葉で伝えないと伝わらない。それに後悔する。今回は最悪な事態は免れたが、魔女の気まぐれがなければ悔やんでも悔やみきれないことになっていただろう。
「魔法は懲り懲りだ。だが、一つ学んだ」
私の頬にアレンの手が優しく触れる。くすぐったく感じ思わず身動ぎする。そんな私を見るアレンの瞳は優しい。
「永遠と余命には矛盾が生じるということですか?」
恥ずかしさを紛らわすためかそんなことを言ってしまった。
「それもそうだが……愛は言葉にしないと伝わらない事だ」
「そう……ですか」
真っ直ぐな瞳に思わず目を逸らしそうになるが、そんな気持ちとは矛盾して私の目はアレンに見惚れるように離せなくなっている。くすぐったく感じたのは、体ではなく心だ。
初めてだった。こんなに温かい気持ちになったのは。
きっとこれが恋なんだろう。もちろん、今までもアレンのことは好きだった。でも、何か違う気がする。
「だからこれからは伝える。俺はあまり喋るのが得意ではない。でも、好きだミシェル。これからも……ずっと」
「私も喋るのは得意ではないです。永遠なんていらないから……それでもアレン貴方を愛しています」
私は笑った。アレンと共に。魔女の魔法は、夢かまぼろしか……それとも呪いか。永遠の愛はないし、いらない。一緒に老いて、一緒に笑い合えればそれで幸せだから。もう一度彼に恋をした。
私は、ふと東の森を見た。あの魔女が馬鹿だねぇと嘲るように言った気がした。
最後まで読んでいただきありがとうございました(*_ _)♡
番外編は、もし希望があれば書こうかと思ってます!




