動き出す二人
フランチェスカは空港へと向かう。
タクシーの座席に寄りかかりながら外の景色を眺めていた。
「すんなり事が進むとは思えないが」
フランチェスカの隣に座る男が独り言を呟く。
「フレデリックはいつも物事を深刻に捉えすぎなんですよ」
フランチェスカが目も合わせずに、フレデリックの独り言に答えた。
何かを思案しているのか、その声には心がこもっていない。
「ここまで何年もかけて準備して、調べ続けて、ようやくわかったんです。もう終わらせてやりますよ」
「しかし、ハル氏は君が消えた事には既に気づいているだろ? 君を探し始めているに違いない。もし彼が現れたら、きっと邪魔されるよ。その時はどうする」
フレデリックはどこかフランチェスカを心配するような声で話しかける。
「大丈夫です。もう、先生と会う事は無いはずですから。ありがとうフレデリック。昔からずっと力になってくれて。感謝してます」
「そりゃ、俺にだってこんなことをするだけの理由があるんだ……」
間もなくタクシーは空港に到着する。
「それに、万一のためにジャックがいる」
「ジャックさんは、先生に顔が割れてます。何も起きなければ良いんですが……」
フレデリックはタクシーの荷台から荷物を出す。
旅行カバンが二つ。
フランチェスカ達がこの後行おうとしている事を考えれば、それは少なめの荷物の量に思える。
「じゃあ、行くか」
フランチェスカとフレデリックは静かに歩み出した。




