2007年12月24日 ブラッド・イヴ5
『…ここを右に曲がったらすぐだよ‼︎みんな、急いで!』
リリーが先頭になり、5人の少女は廊下を駆け抜ける。
『リリーちゃん!そこに行くと脱出できるの⁈』
フレスベルグはリリーに話しかける。
『そこに行けばヘリポートがあるの!…そこのヘリに乗ればみんなで逃げられるはず!』
廊下は終わり、外への扉をリリーが押し開ける。
しかしそこには、予想とは違っていたヘリポートが広がっていた。
『…うそでしょ。そんな…』
そこには大量の死体と、壊れたヘリや装甲車が無造作に散らばっている光景が広がっていた。
リリーは膝から崩れ落ちる。
『そんな…これじゃ、逃げられない…』
エレナも涙目になり、アンジェラにしがみつく。
『ねぇ、アンジェラお姉ちゃん…エレナたち逃げられないの…?
また…実験台にされちゃうの?
…いやだよぉ、こんなところにいたくないよぉ…。』
エレナは泣きはじめる。
アンジェラは励ましたかったが、どうしようもできなかった…
突然、後ろの扉が蹴り開けられる。
開けられた扉から、たくさんの私兵がなだれこむ。
『いたぞ‼︎奴らは撃っても死なん、撃ってから捕らえろ‼︎』
アンジェラは私兵が構える前にいち早く肩からM107を手に持ち替え発砲する。
弾が当たった私兵の体がミンチのようにグチャグチャになる。
『みんな!早く物陰に隠れて!…まって、あのヘリ動きそうじゃない⁈』
アンジェラはヘリポートの隅にあるリトルバードを指差す。
『あのリトルバード…たぶん私兵のだね。たぶん私なら動かせるよ!』
サーシャは撃ちながら、みんなに話す。
『よし…、みんなある程度撃ったらすぐにあのリトルバードまで走るよ!』
リリーはそう叫んだあと、刀を抜き私兵の集団の中に切り込む。
あまりの素早さに私兵たちはなす術もなく、倒されていく。
アンジェラとサーシャは撃ちつづけ、フレスベルグは泣き続けるエレナをなだめる。
『よし…みんな走って‼︎』
全員はリトルバードまで走りだす。
絶対にここから逃げる。
全員がそう思っていた。
サーシャがコックピットに乗り込み、残りの4人は後ろに乗り込む。
『ここを、こうして…よし!エンジンスタート!』
リトルバードのプロペラが回りだし、その機械の塊は空へと浮かび上がる。
下から私兵に撃たれ被弾したものの、リトルバードは研究所から離れ、海の方へ飛び立つ。
『…逃げられたの?』
フレスベルグは弱い声でみんなに問いかけるに言った。
一瞬の間が出来たが、全員の顔に笑顔が浮かぶ。
『…逃げられたよ!やった!ここから脱出したんだ!』
エレナははしゃぎフレスベルグに抱きつく。
その目からはもう、悲しみではなく喜びの涙が流れていた。
みんなは、一気に気が抜けホッとする。
もう、これ以上実験台にされることはない。
無理に訓練をすることもない。
これからは自由なんだ…
その幻想を掻き消すようなアラート音がなる。
『そんな…テイルローターの出力が落ちてる…。このままじゃ墜落するよ!』
リリーはコックピットに駆け寄る。
『どうして…⁈…まさか、さっきの被弾で…』
そう言った直後、機体はクルクルと回り始め海へ一直線に落ちていく。
フレスベルグはエレナを抱きかかえ、リリーとサーシャは身構える。
アンジェラは天井に向かって手を伸ばしポツリとつぶやいた。
『あと少しだったのにね〜…ほんとに…あと少しで…
自由だったのに…』
アンジェラのか細い声は海へ沈んだ。




