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公爵様は見る目がない!  作者: 猫森まりも
第二部 夫婦、初心者から始めます
22/44

それからのお話~公爵夫人の日記より

初めてちゃんと会話して、ちょっと分かり合えたサロンでのお茶会から、もう二ヶ月も経った。


あの日から数日後にはコモンノ男爵との話し合いが行われ、私も同席させてもらえたので公爵夫人としてではなく、エトワール商会の商会主マクワイア伯爵として『お話し』させてもらった。


具体的に言えば、私が鑑定した通りの金額との差額の支払いを要求し、その上で男爵が売りつけた品をエトワール商会で買い取った。そして口止めの意味も込めて彼の商会を傘下に加えた上で改名させ、改めて彼にその商会の運営を任せた。


今回の彼の詐欺行為も公爵家にとっての汚名も全てなかったことにした。



それから間もなくして、契約内容の見直しという話し合いをしたのだが、結論から言うとおかしな項目を削除しただけに留まっている。


削除されたのは、社交禁止と行動制限。社交活動は自由にして構わないし夜会などにも同行して欲しいということを言われ、財産管理に関しては信頼しているから君の裁量でうまく運用してくれて良いし、用事を逐一執事を通さなくても構わない、とのことだった。


初対面の無関心ぶりやらその後のよそよそしさなどはどこへやら。雇用主と労働者の距離感ではなくなったが、夫婦らしいかと言えばまだまだだ。



正直、社交はあまり好きではないけれど、交渉術や話術ならそれなりに覚えがあるので乗り切る自信はある。ただ、夜会となると自信がない。何せ、十六歳の時にデビュタントで参加したっきりなのだ。これは話し合いの必要がある。



契約上はその程度の変化しかなかったけれど、そのかわり。公爵様はたまの休日にはティータイムを一緒に過ごすようになったし、食事は可能な限り一緒にとるようになった。


ティータイムではあの日からご贔屓になった、目立たないがハズレのない洋菓子店『フルール・ブラン』から買い付けるようになったスイーツを一緒に食べて、その日のスイーツに合わせてシュリーが選ぶ紅茶を楽しんで。何気ない会話をする。その日の出来事、好きな食べ物の話、好きな色、好きな花、ちょっとした思い出話。



レオニス・フォン・ローゼンベルク公爵は、今年で二十五歳。好きな色は青、好きな花は薔薇。大分悩んで答えたから、今まで考えたことがなくて、やっと思いついたものを答えたようでもあった。私に付き合って食べるようになったスイーツで、特別気に入ったのはチーズケーキなのだそう。紅茶はシトラスのフレーバーティーが進みが早かったので、好みなのかもしれない。



私はエリーナ・マクワイア・ローゼンベルク公爵夫人、またはエリーナ・マクワイア伯爵。今年で十八歳。二年前にデビュタントを済ませてからは、ずっと領地に引き籠っていた。好きな色は白だったけれど、最近は紫も好きになった。マクワイア領でよく見られるからか、ユリの花は好きだったけれど、公爵邸でロイヤルローズを見てからは薔薇の魅力に魅かれている。スイーツは食べ辛さが難点だけれど、ミルフィーユが好き。『フルール・ブラン』のショートケーキも絶品だと思っている。紅茶はストロベリーのフレーバーティーがお気に入り。



あの日、お互いを名前で呼び合おうとは言ったものの、私はあの時の一度以外、呼べていない。照れ臭さと恐れ多いという気持ちがあって、『旦那様』と呼んでいる。私が名前を呼ぶのを誤魔化して呼んだら、アジル達も何故か旦那様と呼ぶようになって。私の呼び方についてもややこしくなってしまうので『奥様』に戻してもらった。みんなには迷惑をかけて申し訳ないと思ったけれど、テリア曰く「みんな旦那様、奥様と呼びたがっていたので大丈夫ですよ」とのこと。


つまるところ、結婚したのだから旦那様が妥当なところに、私が厄介な話を持ち込んでしまったせいで有耶無耶になっていた、と。


勿論、旦那様にもそのことは話したけれど、私が出したおかしな条件のために君が考えてくれたことなのだから気にしなくていい、と言って許してくれたし、大して気にも留めていないようだった。



何にせよ、社交界に出るまでに私が考えた設定にも落としどころを見つけなければならないので、その点も相談中である。



片付いていない問題もまだまだあるけれど、それなりに充実していて楽しい日々を過ごしていたところで、つい先日のこと。



「すまない、エリーナ。伝えるのを忘れていた。来月、王宮で開かれる夜会に一緒に参加してもらいたい」


「何ですって…?!」



一通の招待状が届いたことで、平穏な日々が終わりを告げた。



twitter始めました。更新状況など呟きます。

@nek0m0r1

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