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魔石クラフター2~ダンジョンのおくすり屋さん  作者: 高瀬あずみ


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5.はじめての納品


今回、ほとんど納品の手順説明回となります。


 ダンジョンゲートを出て、協会の建物に入案内板に従い『買い取り』コーナーを目指す。売店横から通路が伸びて、沢山の椅子が並んだ広い場所に出た。これが納品のための待機所。銀行や役所みたいに受付番号が出て来る機械から紙を受け取ると、ファストフードみたいに正面のスクリーンに番号が表示される仕組み。自分の番号が「受付可能」欄に出て来るまで座って待つ。


 春休みの平日なので、同年代かそれより上の学生っぽい人たちがちらほら。大抵はパーティを組んでダンジョンに潜るから、数人で固まって座っている。二人組はほとんどいなくて、三人から五人のパーティが一番多い。フィールド型だけなら、もう少し人数がいてもいいけれど、洞窟型も攻略するならば、通路の狭さもあって、結局三~五人が一番動きやすいんだって。


 私みたいに一人で座っている人は……少しはいる。浅い層専門か、駆け出しか。あるいはパーティメンバーが見つからないか。学生だと学校の仲の良い相手と組むことが多いけれど、職業やスキルにレベル、あと性格とかが合わないと続かなくなる。ランクの高いダンジョン(Cランク以上)に潜るようになると、何日も一緒に過ごすから、そこで拗れることもあると天良(あに)が言っていた。


「マジで性格は重要。学校で昼間だけ一緒に過ごすのと違って何日もになると、お互い“素”が出るから。後なあ。男女混合チームは難しい。恋愛のもつれで解散するパーティも多いぞ。幸い、ダンジョンは安全地帯が限られているから、盛ったりってことまでは行かないけどな」


 男女で組むのは、うちの両親みたいに知り尽くした夫婦とかでないと、恋人同士でも破局したりするんだって。怖いなあ。他人事だけど。



 五分ほど待つだけで、自分の番号がスクリーンに表示されたから、そこで指定された場所に向かう。待機所の横から細い通路が伸びていて、通路の両側に一定間隔で扉がある。扉には部屋番号がついているから、スクリーンで指定された部屋を探す。入口の機械に受付の紙を通すと扉が開く仕組み。中は個室というか小部屋になっている。


 小部屋は、とても狭い。部屋の幅に作り付けの机があって、その前に椅子がひとつ。家族から聞いていた通りに椅子に座って待つと、机の前の壁がモニターとして起動する。まずは、DDの資格証であるドッグタグの読み取りを求められ、それが済んでから取引開始だ。


『本日は納品ですか?』


 YESのところをタッチするとまた質問が表示された。


『納品内容は、1.ドロップアイテム 2.作成物』


 作成物にタッチすると名前が羅列される。ちなみにドロップアイテムの場合も同じらしい。リストにない場合は「その他」をタッチ、もしくは音声にて入力する。何か分からないものの場合は「不明」で進める。


 私の場合は「納品」「ポーション(低級)」なので迷いようもなく。タッチして少ししたらモニターが消えて、代わりに投入口が現れる。そこに、アイテムボックスから取り出したポーションを入れていく。投入口は深いし、更にベルトコンベアーみたいに置いたものが流れていく仕組み。ただその行先は暗く、覗いてもどうなっているか見えない。

 投入して後続がなくなったと判断されると投入口が閉まってモニターが復活する。


『納品は以上ですか?』


 ここで再びYESをタッチすると。


『査定に入りますので、そのままでしばらくお待ちください』


 と出て、よくわからないアニメーションがくるくる映っているのを眺めながら待つことになる。



 この壁の向こう、投入口の先には協会の職員がいて、そこでアイテムの鑑定がされるのだと両親が話してくれた。受け取ったアイテムによって担当が振り分けられる。この部署で働いているのは全員が鑑定スキル持ちだけれども、熟練度が違うからだ。ちなみにポーションの鑑定は、職員の誰にでもできるから対処は早いだろうと聞かされていた。

 その通りで、五分も待たないうちにモニター表示が変わる。


『本日の納品は、ポーション(低級)×60本 でお間違えありませんか?』


 再びのYES。


『買取金額は、ポーション低級一本につき500円 となります。

 60本の合計金額は30,000円 です。

 以上で決定の場合はYESを そうでない場合はNOをタッチしてください』


 YES、はいはい。


『入金は 1.現金支払い 2.口座振り込み 3.一部現金一部振り込み のいずれかをお選びください』


 DD資格を取ったら、専用口座の開設が義務になる。未成年の場合は当然親の承認が必要だ。私も口座を作ってもらった。なので、2の口座振り込みを選ぶ。

 そうすると、モニターの下から受領書(実質レシート)が発行される。それを受け取って、用意していたクリアファイルに入れた。これは、扶養控除の金額を越えたら納税が必要となるから、その場合に必要なんだって。


 ちなみに、仕組み自体はどのランクのダンジョンでも同じだけれど、EとFのダンジョンだとここまでしっかりした小部屋とかなくて、それこそ有人窓口で処理されるんだそうだ。この藤川みたいなDランクダンジョンより上は取り扱いアイテムも買取金額も大きくなる。それを他の人の前でやりとりするのは危険だし、あとは個人情報の保護だとかで、小部屋でのやりとりになったんだって。


 この納品小部屋はAからDまで共通の大きさや仕組みで、パーティの場合は代表者一人だけが入って手続きをする。他のメンバーは待機所で終わるまで待つ。単純に小部屋に入りきれないから。パーティだと全員の資格証を預かって入室して、大抵は口座に均等割りで振り込むのが普通みたい。自分たちの思う貢献度で金額に差をつけるとトラブルになることも多いらしく。ただ、受領証の偽造は出来ない上に、個人名とパーティ全体の今回の支払金額全額が印字されているので、代表者による金額の誤魔化しといった不正もできないようになっている。このシステムができるまでに、一通り色々な問題が起こった結果こうなったと。


 金銭に関してはきちんと決めておかないと人間関係も簡単に壊れるから注意しろ、と家族にもずっと言われて来た。私はクラフターだから自分で作る方だけれど、『戦士職』や『魔法職』で得られるドロップアイテムで大金を得られることだって珍しくない。そうなると皆、欲が出ておかしくなるのも多いそうだ。そうなるとパーティ解散で済んだら良い方で、暴力沙汰に発展したりもするらしい。レベルが上がった状態での対人戦は、周囲にとっても危険だから。巻き込まれて怪我とかしたくない。


 現在のシステムで何とか回っているけれど、問題がないでもない。個人の証明である資格証を短い間でも当人以外が預かるのもどうか、とか。複数名が入れる部屋にするのが一番なのだろうけれど、そうすると部屋数が限られて、処理に時間が掛かり過ぎるとの予想もあって、もしかしたら今後また変わっていくんじゃないかな。




 私が今回納品したのは、昨日の半分と本日の全部。


「いやこれ、まずいんじゃないの」


 新高校生(予定)が、二日で三万はかなり稼ぎすぎというか。

 ただ年齢は関係ないんである。低級ポーションの買取金額は一律500円だから。ちなみに売価は一律700円である。

 昨日デビューの私のクラス1でも、兄の見せてくれたクラス10でも同じ。熟練度が上がるとMPも増えて、作れる数も増えると聞いている。それこそ一日で何百本とか。そうなると単純計算でもなかなかの金額になるから、内訳であるクラスは問題にならなくなる。作成するときの疲労度やMPの減りも軽減されるらしいし。



 つまり、ポーション作成スキルは美味しいんである。稼げるという意味で。ダンジョン内だと外の市販薬やら病院で処方される薬はほぼ効かないと証明されている。効かない外の市販薬よりはマシだから、初心者の私の作ったものでも一律に扱われるのだ。


 アクセサリーを作っている従姉の砂耶は私と同じ『創造職』だけれど、ポーション作成スキルは持っていない。砂耶自身はアクセサリーが作れたら良いみたいで、不満はないそうだけど。職業の割り振り同様に、最初に与えられるスキルも、個人の資質と性格で変わるらしい。つまり、私にはポーション作成が向いているとダンジョンに判断されたってこと。


 ちなみに、「創造職」の中でこのスキルを持っているのは三割くらいだそうだ。熟練者ががんばって普及してくれているから、あと納品義務もあるから、低級ポーションの数はなんとか足りている状態らしいけれど、DD以外にも外の一般人からも求められるから、「早く沢山作れ」と暗に求められることになる。


 正直、初心者も初心者な私の作ったものに当たった人には申し訳ない気持ちでいっぱいだ。できるだけ早くにもっと効能が高いもの、作れるようにならないと、この申し訳なさは消えないんだろうなあ。


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