第2話 おっさん × キャラメイク
「ゆっくり眠れるとはこれ程に幸せだったのか」
布団に潜り続けてはゴロゴロと寝ることを繰り返していた。
しかし、今日はサービス開始日。キャラメイクは1時間前から出来るとのことだから、是非ともキャラメイクからスタートダッシュを切りたい。
「我が家、今何時かな?」
『16時5分です。ウォランスルーナのキャラメイキング及びチュートリアルの開始時間まで残り1時間と25分です』
そうか、もうそんな時間か……。お布団は素晴らしいな。
「シャワーを浴びるのでその間に軽い夕食を頼む」
『かしこまりました』
今の時代は何でもコンパクトコンパクトと小さくすることに拘るが作る方としては、なかなかに辛い制限だ。
そんなことを思いながら、ヘルメットタイプのFD型VR機にゲームカセットを入れて起動した。
『フルダイブ型VR機FDVR-X21068の初期設定を行います。利用にはご利用者の登録が必要性なため、他の方がお使いになる場合は別途、設定から登録を行ってください。全身のスキャンを了承しますか?』
「了承。スキャン次いでに健康状態も教えてね」
『かしこまりました。スキャンを開始します……』
『スキャン中……』
『スキャンが終わりました。スキャンを元にアバター情報を作成……』
『作成完了。登録完了。初期設定が終わりました』
『健康状態は良好です。ただし右足の小指の爪がもう少しで巻き爪となるので整えることを推奨します』
「そうなのか、後で切っとくかな」
『このままカセットを起動しますか?』
「よろしく頼むよ」
カセットを選択すると真っ白い雲の地面と青空、女神のような格好をした女性が迎えてくれた。
『ウォランスルーナの世界へようこそ』
『現在ご利用可能なサービスはアバターの作成とチュートリアルのみとなっております。冒険までは今しばらくお待ちください』
『何をなさいますか? 手元のタッチパネル、または思考入力、口頭にて選択ください』
ーーーー
・アバターの作成
・チュートリアル
・設定の変更
・何もしない
・ゲームを止める
ーーー
「アバターとチュートリアルを頼むよ」
『かしこまりました。始めにアバター作成場所へと移動します。アバター作成後にチュートリアルへと以降しますが、アバター作成場所へ戻ることが出来ますのでご安心ください』
女性が手を叩くと一瞬で上も下も星空の空間へと移動した。
『ここはアバターを作成する星々に囲まれた神聖な場所となります』
『現在はVR機に登録されている内容を世界観に合わせ独自に美化した状態のアバターが目の前に用意されています。』
『元のタッチパネルから操作して自分好みに編集してください。またアバター作成終了も手元のタッチパネルからお選びください』
「ありがとう」
ほおほお、まあ美化したとはいえ65歳だとこれだよな。これじゃあ冒険者というより村人だ。
せっかくのVRMMOだから、ここは二度目の青春! 思いきって年齢は若くしたい所だな。まあ、一度も青春したことないけどな!
『年齢を65歳から最低年齢の10歳に変更』
『年齢の変更に伴い、身長を自動的に変更』
『警告:本体に登録されたデータと設定された数値の比率が異なるため動作が正常に行えない可能性があります。続行しますか?』
「続行でおねがい」
俺がオタクやってた携帯ゲーム機時代の頃だと、操作キャラは可愛くないとやる気出なかったな。この最新機のお陰で比率自由自在で動作出来るはずだから試すしかない。ここは思いきって性別も女の子にするしかないな。
『性別を男性から女性に変更』
『警告:本体に登録されたデータと設定された性別が異なるため動作が正常に行えない可能性があります。続行しますか?』
「続行」
俺がオタクとして過ごした時代だとロリキャラは金髪ロングというイメージだったが今はどうなんだろうか……。
『髪色を白から金に変更』
『髪型のベースをカッパ頭からロングストレートへと変更』
良いな金髪ストレート。カッパ頭なんかよりフサフサでとても良いな。で、肌は美白にして。
『肌色を薄い茶色から美白に変更』
眼は碧色だな。昔会った外国のスポンサーが金髪に碧色の眼だったがあれは男女問わず綺麗な組み合わせだな。
『瞳の色を黒から碧色に変更』
冒険者だし目元と眉はキリッとした感じにして、口は微笑みだな。唇は柔らかい感じで……。
『顔に細かな変更がありました』
『顔に細かな変更がありました』
『顔に細かな変更がありました』
『顔に細かな変更がありました』
目の前には、温かく可愛い笑顔をした美少女が立っていた。
我ながら、なかなか良いセンスをしている。
あとは種族決めた後に体型弄って終わりかな……て、多いな、しかもステータスの補正とかあるのか。
「すみません。種族についての説明お願い」
『かしこまりました』
『ウォランスルーナにて異界の民である皆さんがお選びいただける種族は多種多様です』
『具体的には世界に存在している陸上の種族であればお選びいただくことが可能となります』
『そして、大まかに分類すると人類、獣類、鳥類、虫類、精類となり、この分類内であればハーフがお作りいただけます』
『また、人類種以外は現実の体との比率差から、慣れるまでに大きな時間が掛かるかと思われます』
「なるほど、人類種以外だとこのキャラメイクした子はどうなるの?」
『基本的にはそのキャラメイクをベースに変換されます。獣のウルフであればこのように』
手を叩いて、少女の隣にウルフを2頭出して見せてくれた。
確かに面影がある。鬣が金色のウルフの方は目が碧色で心なしかキリッとしている。そして何より赤ちゃんサイズだ。
「んーこれじゃあ、せっかくのキャラメイクが見れないのか。差は体感したかったけど人類以外は無しだな」
「人類種について詳しくお願い」
『かしこまりました』
『人類種は大まかに人の形をした生物を分類したカテゴリーです。リストをお手元に表示します。ハーフになる場合、親元補正を割った分を足した補正が掛かります』
『【人類】
・人
DEXへの補正(中↑)VIT・STR・INT・AGIへの補正(小↑)
・小人
DEXへの補正(大↑)INT・AGIへの補正(中↓)
・巨人
STRへの補正(大↑)DEX・AGIへの補正(中↓)
・鳥人
AGIへの補正(大↑)VIT・STRへの補正(中↓)
・機人
VITへの補正(大↑)INT・AGIへの補正(中↓)
・魔人
INTへの補正(大↑)VIT・DEXへの補正(中↓)
・聖人
INTへの補正(大↑)STR・DEXへの補正(中↓)
・獣人
STR・AGIへの補正(中↑)INT・DEXへの補正(小↓)
・魚人
INT・AGIへの補正(中↑)VIT・DEXへの補正(小↓)
・精人
INT・AGIへの補正(中↑)VIT・STRへの補正(小↓)
・木人
DEX・AGIへの補正(中↑)VIT・STRへの補正(中↓)』
Oh……目がチカチカ。
「な、なるほどな、ステータスについての説明もお願い」
『かしこまりました。リストをお手元に表示します』
『【各ステータスについて】
・VIT
体力、防御力、魔法防御力が上昇
・STR
筋力、物理ダメージの上昇
・INT
魔力、魔法ダメージの上昇、魔法関係のスタミナ減少軽減
・DEX
感覚、手先の器用さが上昇、生産関係のスタミナ減少軽減
・AGI
速度、スキル速度が上昇、スキル関係のスタミナ減少軽減』
・LUCK
幸運、拾い物の高レア度遭遇率上昇、ドロップの高レア度の確率上昇
ふむふむ、昔の記憶だと器用貧乏は辛い思いするから特化か全振りにはしたいな……。ただ、捨てたらヤバい気がするのもいくつかあるな。
「まあ、これはMMO。殺られる前に殺れれば勝ちなんだから、どんな時も筋肉があれば何とかなるな」
「すみません、とりあえず背丈最低の巨人をお願いします」
『かしこまりました』
パンッと手を叩き、大人サイズの少女を出した。
目の前に不敵な笑みをしたアマゾネスみたいな顔の少女が立っている。
顔が恐いな……。それに大人サイズの子供も無いな。となると、ハーフだな。
STRに補正掛かってる獣人とハーフにするか?
「すみません、背丈最低で巨人と獣人のハーフでお願い」
『かしこまりました』
パンッと手を叩き、獣人の少女を出した。
思ったよりもモフモフしている。
この世界の獣人はもしかしたら獣がそのまま人になったタイプなのか?
巨人のおかげで肌がそこそこあるが、表情が野生味溢ている。
獣人の獣部分は獣類で選べるものなら何でも選べるのか……ただ、どれ選んでもあの美少女の顔にするのは難しそうだな。
仕方ない、人にしてみるか。これでダメなら巨人を諦めるかな。
「背丈最低で巨人と人のハーフをお願いします」
『かしこまりました』
パンッと手を叩き、始めに作成したアバターによく似た少し険しい表情の少女を出した。
おお、背丈は最初よりちょっと伸びたぐらいになるのか。表情が少し険しいが弄れば何とかなりそうだな。
『顔に細かな変更がありました』
『顔に細かな変更がありました』
『顔に細かな変更がありました』
『顔に細かな変更がありました』
しっかりとした綺麗な顔をした可愛い美少女に出来上がった。
「じゃ、これでよろしくお願いします」
『かしこまりました、次に声質の設定をお願いします』
『お手元のパネルからベースをお選びください』
『現在の設定はこちらです』
「こんにちは、よろしくお願いします」
おおう、俺の声だ。この見た目でこの声は酷い。女性のベース①はどんなかな。
「こんにちは、よろしくお願いします」
お!品も活気もある感じで合ってる気がするな。
パネルに表示されている時計を見た。
細かく設定できるみたいだが、チュートリアルに時間残したいことを考えると作成時間もそろそろ押して来てるな。
「これでお願いするよ」
『かしこまりました、アバターを保存しています』
『保存が完了しました。チュートリアルに移りますか?』
『ああ、頼むよ』




