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童話「かあさんあのね」が、生まれた背景  作者: 琴乃夕月
第1章 そしてわたしは目撃者の一人となった・・
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アンマン出発・・国境へ

アンマンで約1週間が過ぎたころ、それぞれが自分の役割を終え、いよいよイラクに向けての出発の時を迎えた。


チャーターしたトラックの荷台には、米・・そしてそれを守るように一番若いフォトジャーナリスト志望の当時大学生だった青年が乗ることになる。

私たちが乗るチャーターバスも、いつしか仲間が増えていた。

湾岸戦争が始まる前からイラクに入っていて、ずっと国境線で戦争反対を唱え、開戦を見届けて日本に戻り、再び援助物資を持ってイラクに戻る僧侶を中心としたグループに合流したのは、アメリカ人、イギリス人、ドイツ人、インド人・・年齢も国籍も元の職業もさまざまだったが、皆この戦争に何かしらおかしいものを感じていた。

純粋に、誰かを助けたいと感じている人も、真実を自分の目で確かめたいと感じているジャーナリストも、それぞれの目的は違っていても互いに命を預けあう仲間であることに違いはなかった。


用意したポリタンクに、ホテルの蛇口から水を汲む・・これが私たちの使うことのできる水。

そのまま飲むためのミネラルウォーターのペットボトルもあることはあるが、南部でコレラという情報がある以上、顔を洗ったり歯を磨いたりなどの生活用水も準備する必要があった。

それに最初の目的地であるバグダッドまでの総距離も、直線距離でおよそ800 ㎞・・その間ひたすら砂漠を行くことになるので、水は不可欠だった。

そして、最悪の場合、飲用には煮沸の必要があるが、火を通せばなんとかなるはずだった。


経済封鎖の続くイラクに入るには、自分たちの食料も確保する必要があった。

そのまま食べることができてカロリーが取れ、日持ちのするもの・・現在のようにウイダーインゼリーのような機能性食品はまだ登場していなかった・・当時のヨルダンで何が手に入ったか・・チョコレートやナッツ類、そしてオレンジとリンゴ。


5月も半ばを過ぎると、少し高地にあるアンマンからイラクに向かう道のりはかなり厳しいものになる。

道中、皆の水を飲むピッチが早い・・こんな状況だと、計算して積み込まれた水も予定の半分ほどで飲み干してしまいそうだった。

私たちは、少しでも暑さを凌ぎやすいようにと朝一番で国境につくため、夜になってからアンマンを出発したのだが、国境までの道のりの長いこと・・暗闇には何もないように見える道のりをただひたすらごとごとと走り続けた。

距離にして400 ㎞ほどあっただろうか・・(のちに調べたところによると、アルカラマ国境までアンマンから 331 ㎞ )

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