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童話「かあさんあのね」が、生まれた背景  作者: 琴乃夕月
第2章 現実に見えていたものと、そこで感じたもの・・
20/34

信じる対象が違うとき・・ぶつかれば戦争、認め合えれば共存

宗教に関してそれほど詳しくもないのに、宗教云々について述べることはできない。

ただ、一般的な日本人がどんなふうに考えていて、その感じ方(とらえ方)が、ほかの国の友人たちとどのくらい違う感覚なのかということは、短い期間だったにせよウイーンで学生時代を送り、そしてまたこういった形で中東で過ごして、様々な国籍の友だちができる中でおぼろげながらわかってきた。


特に絶対神を信仰している人たちにとっては、自分の神様が一番だと思っているので、同じように絶対神でありながら別の神様(あるいは同じ神様なんだけど、違う教義)を信仰している人とはどうしてもぶつかり合うようだ。

このあたりのことは、ごく一般的な日本人である私にはよくわからない感覚だ。

私たちは、クリスマスにケーキを食べるが、クリスマスだからといってイエス様に対して祈りをささげるわけではない・・クリスチャンでなければ、これが普通の感覚だと思う。

ただ、私たちは、毎日の食事のシーンにおいて、その命をいただくことに対して、感謝の言葉である「いただきます」という言葉をもって、食事を始める。


また日本人の場合、仏教のなんらかの宗派を自分の家の宗教として信仰している家庭は多いかと思う。

その際、別の宗派を信じているからといって、そのことによって誰かといがみ合うことというのはほとんどないと思う。(一時期問題となったオウム真理教といったカルトや、世俗的な新興宗教は別として・・通常のケースで、誰かを自分の宗派に勧誘することもしない)

そしてそのほとんどの人が、死んだら御坊様にお経をあげてもらって、お墓に入り、永代供養とかしてもらい、毎年お正月には初詣に神社に出かける・・

もちろん中には神様と仏様を一緒に家の中にお祀りしている家も珍しくはない・・神棚と仏壇がセットで家の中にあるのは、私の住む地方では結構当たり前の風景だ。

これは、神仏習合の習わしが残っているのだろうが、これを特に意識することもなく平然とやってのけるのが私たち日本人の感覚だと思う。

だからといって、それは信心がないのかといえば、合掌することが自分の生活の中に入りこんでいることによって、「こういうことは人としてしてはいけない」と感じるブレーキの役割を果たしてくれる程度の気持ちはみんな持っていると思う。

道徳の授業がなくなって久しいし、核家族社会になってからは特に、家庭でもあまり躾というものが行われなくなってきているが、それでも道を外さずに済んでいるのが、たぶん毎日手を合わせ、命の大切さを感じてきた私たちのDNAに組み込まれた良心と呼ばれるものなんだと思う。


私たちと同じように、多くの神様を信仰している国がある。

ギリシャ神話、ローマ神話に出てくる神様は、いかにも人間臭くて私は好きだ。

私たちのように多くの神が自分の身の回りにいて、すべてのものに神様が宿っていると考える国の人たちは、おそらく自分と相手が違う神様を信じていたとしても大きな問題は起こらないと思う。


そして多分、どの宗教でも・・たとえ絶対神を信じる一神教だったとしても、きちんとした信仰を持っている人は、ほかの人が違うものを信じていてもそれをないがしろにすることはない。

ごく一部の狂信的なといわれるとんがった人たちの存在が、すべての宗教をややこしくしているんじゃないかと思ったりする。


例えば、イラクでは同じイスラム教徒でも、シーア派と呼ばれる人たちが南部に多く住み、バース党に代表されるスンニー派の人たちがティクリットからバグダッドを中心とした中央部に多く住んでいる。そして、北部には現在クルド人自治区となっているが、本来はクルド人とは、トルコとイラク、イラン、シリアの国境地帯に跨って住む人たちで、(紀元前6世紀の半ばに、ペルシャ人によって滅ぼされたメディア人が、起源となっていると、クルド人の中では伝わっている。)この人たちは、かつてペルシャから伝わったゾロアスター教(拝火教)を崇拝していたが、7世紀にアラブ人によって征服されてからはイスラム化が進み、現在では75%がスンニ派、15%がシーア派だと言われている。ただ、こういう定住せず国を持たずに、あちこちを移動してきた民族のために、キリスト教やユダヤ教、アレヴィー教(シーア派とゾロアスター教、トルコのシャーマン信仰との融合宗教)やイェズディー教(シーア派とキリスト教、ゾロアスター教、ユダヤ教の融合宗教)のクルド人たちもいて、なかなか難しい・・


こういう対立を生みかねないちがう宗教の入り混じるイラクを、一つに束ね率いるためには、相当なリーダーとしての資質が必要だったと思われる。


(2003年にイラク戦争があり、フセイン政権が崩壊し、アメリカが占領統治する中でイラク政府が出来上がったがそれからのイラクは内戦に次ぐ内戦・・ユダヤ教徒、キリスト教徒をはじめとするムスリム以外の人々は、サダム・フセインの政権下で享受していた安全のほとんどを失い、多くの人が移住した。これはいったい何を意味するのだろうか‥)

挿絵(By みてみん)

クルディスタンの居住区域の地図を載せました。

クルド人の住むクルディスタンは現在、国境線によって4つの地域に分割されています。

この地図はこのサイトから引用しています。

http://www.geocities.jp/kuludojp/nyuumon/nyuumon.html

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