表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の執事の落とし方〜最後の一手〜  作者: りらりら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/7

【第7話】解禁と、奪われた唇


首筋に落とされた熱い唇に、体に電流が走ったように跳ねる。



「あっ……ん……っ」



首筋から顎、そして耳たぶへと、焦らすように落ちてくる熱。


頭の上に拘束された手首を握る彼の力は強固で、逃げるどころか指一本動かすことすら許されない。



「アル……フレッド……」



私の掠れた声に、彼はぴたりと動きを止めた。

ゆっくりと顔を上げ、上から私を見下ろす。


眼鏡を外した彼の素顔は、いつも以上に整った目鼻立ちが露わになり、そこに隠しきれない色気が溢れ出ていた。


黒縁メガネという理性のフィルターがない素顔の彼は、あまりにも男で、直視するのが恐ろしいほどだ。



「……怖くなったか?」



地を這うような低い声。


彼は拘束していた私の両手首をゆっくりと解放すると、そのまま私の頬を大きな手で包み込んだ。



「散々煽っておいて、今更『やめろ』なんて言わせねぇぞ、エレノア」



執事の敬語も、お嬢様という呼び名すら捨て去った言葉。

その圧倒的な男の圧力に、息をするのも忘れてしまう。



「……やめろなんて……言わない……っ」



私が必死の思いでそう紡ぐと、彼の瞳が甘く歪んだ。



「……いい返事だ」



低く囁かれた直後、視界が彼の影で覆われる。

塞がれた唇から、熱い息が流れ込んできた。



「んっ…………!?」



甘く、激しく、私のすべてを貪るようなキス。


呼吸の隙間さえ与えられないほど深まるそれに、私の頭の中は真っ白になり、彼の手のひらに縋りつくことしかできない。



今までずっと耐えてきた彼の抑圧された感情が、怒涛のように押し寄せてくる。




どれほどの間、そうされていたのだろう。

ゆっくりと唇が離されると、銀の糸が小さく光って途切れた。



「は……っ、あ……っ」



肩で息をする私の額に、彼は自分の額をこつんと押し当てた。


呼吸を整えながら、熱を孕んだ瞳でじっと私を見つめる。


そして、私の耳元へと唇を寄せ——とどめを刺すように、低く笑った。



「明日、公爵閣下に引導を渡してくる。……お前は俺の妻になるんだ……覚悟しとけ」


「っ……あ……!」



その言葉に、胸が破裂しそうなほど跳ね上がる。



耳元から顔を離した彼は、サイドテーブルから黒縁メガネを取り上げると、ゆっくりと顔に装着した。


すっと指先でフレームの位置を整える。


たったそれだけの動作で、彼はいつもの「完璧で隙のない執事」へと瞬時に戻っていった。



「……失礼いたしました、エレノア様。夜も更けてまいりましたので、どうぞお休みくださいませ」



恭しく深々と一礼するアルフレッド。


けれど、黒縁メガネの奥の瞳は、二度と隠しきれない濃厚な独占欲と愛しさを宿したまま、私を射抜いていた。


ドアが静かに閉まり、一人残された私は、真っ赤になった顔を枕に押し当てる。



(……ズルい……ズルすぎる……!)



お堅い執事を攻略して勝利したはずなのに、完全に彼の手のひらの上で転がされていたような気がする。




でも——

明日、彼が本当の「貴族」としての身分と私への愛を明かし、父に挑む。


半年どころか、たった一ヶ月で終わった私たちの駆け引き。



甘くて痺れるような夜の余韻に包まれながら、私は最高に幸せな気持ちで瞳を閉じたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ