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元社畜はウィンドウで楽しい転生ライフを満喫中! ~ゲームのシステムを再現した万能スキルで、異世界生活を楽々攻略します~  作者: 鳥助


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72.ルメルの攻略法を探る(2)

 さっきは確かに、手応えはあった。けれど、期待していたほどではない。きっと、あれは決定打じゃなかったんだと思う。


 例えるなら中当たり、というところか。


 どうやらルメルにとって、他人の輪に入って親しく交流することは、最優先ではないらしい。となると、ルメルにとって一番大切なのは……やはり料理関係、ということなのだろうか。


 なら、次はそこを攻めるしかない。でも、料理で距離を縮めるとして、具体的に何をすればいい?


 前回のように、ちょうどいい「困り事」があれば話は早いのだけれど……。そんな都合のいい状況、果たしてあるだろうか。


「ねぇ、ルメル。最近何か困ったことはない?」

「困ったこと?」

「ほら、塩の時みたいにさ」


 こういう時は聞くに限る。すると、ルメルは考えるように唸った。


「うーん……最近は特にないかな。料理を教えてもらえて嬉しい、っていうのはあるけど」

「そっか……」


 私が分かりやすく肩を落とすと、ルメルはくすっと笑って、小首を傾げた。


「ふふっ、どうしたの? そんなに私に困ってほしかった?」


 その声音が、完全にからかいモードだ。ほほう……私に勝負を挑む気かね?


「そうそう。困ってほしかったともさ」


 私はわざと胸を張って言う。


「そこへ颯爽と現れる私。華麗に問題を解決して――『リオ、素敵……!』って、ルメルに惚れ直してもらう予定だったんだから」


 力いっぱい言い切ると、ルメルは一瞬きょとんとした顔をして――次の瞬間、耳まで赤く染めた。


「も、もう……そんな大げさなこと、出来ないよ……」

「いや、ルメルなら出来る!」


 間髪入れずに食い下がる。


「だって私たち、強い信頼関係で結ばれてるじゃない? 心と心が、ぎゅっと!」


 言葉に合わせて、見えない糸を引き寄せる仕草までつけると、ルメルは目を丸くしたあと、ふっと表情を緩めた。


「……そんなふうに思ってくれてたんだ」


 そう言って、少し照れたように、でもとても嬉しそうに笑う。


「なんだか……すごく嬉しい」


 大げさに言ったつもりだったのに、それはルメルの心にまっすぐ届いたらしい。その柔らかい笑顔を見た瞬間、今度はこっちの胸がぎゅっと掴まれた。


 ……ああもう。


 流石は王都一の美少女にして大天使ルメル。笑顔ひとつで人の心を翻弄するなんて――恐ろしい子……!


「全く、ルメルは人を堕とす才能に満ち溢れているよ。困ったもんだ」

「えぇ!? わ、私は普通だよ! 何、人を堕とす才能って!」


 素直な気持ちを口にすると、今度は慌て出す。こうも、色々な表情を見せてくれるなんて、なんてサービス精神が強いんだろう。


 って、いつも通りの流れになってしまった。今はそんなことじゃなくて、ルメルの攻略方法だ!


「ルメルを喜ばせたいんだけど、何があるかなー? やっぱり、料理関係とかがいい?」

「それ、本人に聞くの? でも、私の嬉しいことか……だったら、あるよ」

「えっ!? どんなこと!? どんなことでも一緒にやるよ!」

「私が言う前に、そんな事言っても大丈夫なの?」

「もちろん!」


 私が食い気味に身を乗り出すと、ルメルは可笑しそうに笑う。


「一緒に料理をしてみたいっていう希望があるんだけど……どうかな?」

「ルメルと一緒に料理?」

「私の家は料理店でしょ? そこでコックさんたちが楽しそうに料理をしている光景がとっても好きなの。だから、私もそれを体験してみたいって思ったんだ。でも、この年で料理が出来る子って中々いないでしょ? だから、今まで言い出せなかったんだ」


 確かに、それは中々言えないことだ。出来ないことを言われると相手も困ってしまう。優しいルメルなら言い出せずにいたのは頷けた。


 そんな、言い出し辛いことを私に言ってくれるのは、やっぱり好感度や愛情度が高いから? 今まで築いてきた信頼関係のお陰だろう。


 ルメルに認められたような気がして、嬉しい気持ちが湧き上がってきた。ふふん、もうすでに私ってルメルの特別じゃない?


「それで、どうかな?」

「もちろん、一緒に作ろうよ! ルメルの家はコックさんたちがいて調理場を使えないから、ウチで作らない?」

「えっ、いいの? 私が勝手に言い出したことなのに、リオの家にお邪魔しちゃって……」

「大丈夫! だから、学校が終わったら私のウチで料理を作ろう」

「……うん!」


 ルメルを誘うと、とても嬉しそうに頷いてくれた。よし、これでルメルの攻略法を探れる。あとは一緒に料理をして、どれだけパラメーターが変化するのか……楽しみになってきた。


「じゃあ、何を作ろうかな……。ねぇ、リオは何がいい?」

「二人で食べられるものにしようよ。クッキーとかがいいんじゃない?」

「窯使うけど、大丈夫?」

「大丈夫だよ。時々、窯を温めたりしているし」

「あっ、リオも料理するんだ。だったら、早く言ってよー。そう言う話、したかったのにー」


 そうだ、ルメルが料理が好きなのに料理の話題をあまり出していなかったな。だけど、これからは違う。もし、料理のことで攻めた方がいいのであれば、料理で攻めていけばいいだけのこと。


 ふっふっふっ。私の家でクッキーづくり、楽しみになってきた。

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