10−9 敗戦報告
魔法学院の応接室にレイラ、アニー、そしてレジーナが呼ばれ、学院に通う第三王子特別調査隊の面々に報告をした。
「浮浪者および野犬を操る闇魔法師がいる。レイラの闇魔法を奪う程の技能があり、また三十匹の野犬を操る魔力の大きさもある」
レジーナの報告に対し、第三王子エドウィンが尋ねた。
「レイラなら対処法はどう考える?」
「犬を防ぎ、浮浪者を防いでその間に闇魔法師を叩く必要があるけれど、肝心の闇魔法師の居場所が分からない。私の闇魔法を奪える能力がある以上、私も闇魔法にかけられる危険性があるから、例え居場所が分かっても迂闊に近づけない」
「闇魔法は、魔法師に近づかなければかけられる事は無いと考えて良いか?」
「一般的にはそうだけど、何らかの刺激で意識を奪われる可能性があるから、光、音声などの刺激にも注意する必用がある」
「やはり闇魔法師を特定しないと危険と言う事だね」
「そう」
続いて王子はレジーナにも尋ねた。
「レジーナの経験からすると、この闇魔法師の対処はどう考える?」
「水籠りの魔女の里には闇魔法に対処する知見は無いから、何とも言えません」
「それでも経験上、闇魔法に対処するとしたら何が有効だと思う?」
「とりあえず目を見ない事でしょう」
「それはそうだね」
続いて王子はジェシカに尋ねた。
「炎熱の魔女の里には闇魔法師に対処する知見はあるかい?」
「私は聞いたことがありません。炎熱の魔女達は、火力を重視しますから」
「あまり王都での活躍を期待したくない話だね」
「そうですか。基本は見敵必殺の姿勢です」
「つまり、精神を支配される前に敵に恐怖心を抱かせるという対処法と考えて良いかな?」
「そうだと思います」
更に王子は風塵の魔女カーラに尋ねた。
「風塵の魔女の里には闇魔法師に対処する知見はあるかな?」
「普通は近づく前に鎌鼬で切り刻むぞ」
「闇魔法師と判明し次第、処分すると言う事かな?」
「魔法属性は関係無いな。敵性魔法師なら切り刻むと言う事だ」
「ああ、そうだろうね」
そうして、王子は総括を求めた。
「そういう事だが、クライブとしては対処はどうしたら良いと思うか案を聞かせてくれ」
クライブはちらっと横を見た。普段は口数が少ない、妹の友人を。
「王子様」
クリスティンの呼びかけに王子は応えた。
「何だい?」
「闇魔法師の対策は決まったので?」
「決まったとは思えないから、クライブに尋ねたんだよ」
クリスティンは王子を睨んだ。王子は嫌がらせでクリスティンに話を振らなかったご褒美を貰って嬉しかった。ああ、この軽く塩味くらいの敵意が心地好い…
「今の会話でクライブお兄さんが結論付けられると思えません」
「まあ、やる気の無い人に振っても良い意見が得られないと思えたので、意見を打ち切ったのだがね」
更にクリステインは王子を睨んだ。ああ、ちょっと塩味が効いてきた。素敵だ…
「私が対処します」
「そうしてくれると有難いね。適切に対処してくれる人がいなくて困っていたんだ。何か必用な物はあるかい?」
「特には無いです」
「時間が必用かい?」
「週末までには解決するでしょう」
「素晴らしい。頼むよ」
そんなクリスティンにクロちゃんが声をかけた。
「俺も手伝おう。野犬なら俺でも対処出来る」
「そうね。お願いするわ」
ジャッキーも声をかけたが。
「打撃系の対処ならお手伝いするけど」
「多分、無用よ。ありがとう。今度スイーツを奢ってね」
「うん。じゃあ、頑張って」
そんなクリスティンを横目に、イザベラがレイラに話しかけた。
「おい、暗黒の、ちょっと面貸せ」
部屋を出てレイラがイザベラに言った。
「あんた達さぁ、私の名前覚える気がないでしょ?」
「お前も私の名前なぞ覚える気がないだろ?お相子だ」
「それで何?」
「まあ、あれだ。馬鹿な事をやる奴がいるから、ちょっと手伝え」
「言ってる意味が分からないわ。あの化け物に手伝いなんか必用ないでしょ?」
「それでもだ。あいつは時々馬鹿だからな。保険が必要だ」
そうして、クリスティンは王子命令の一筆を貰って、クロちゃんと二人で学院を出た。同じく王子に一筆を貰ったイザベラもレイラを連れて、おまけにアニーを連れて学院を出た。イザベラは保険を連れて行ったが、王子も保険をかけて、レジーナに後を追わせた。
あれ?行数はあった筈なのに詰めたら凄い文字数が少なくなった…次の日曜の更新には多めに書くようにします。多分。明日はキアラの更新です。




